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万華鏡

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第十二話 来てくれた人その五


「あんなの吸ったらバンドなんかできないわよ」
「あれっ、アーティストの人って結構吸ってるわよ」
 彩夏は里香の話を聞いてすぐに言った。
「藤井フミヤさんとかね」
「ああ、チェッカーズのメンバーって殆ど全員だったよな」
 美優は藤井フミヤの名前を聞いて彼がかつていたグループの名前を出した。
「煙草吸ってたよな」
「あのグループ元々不良だったからね」
「っていうか昔の不良って大体吸ってたよな」
「今だってね」
「アーティストだけじゃなくてスポーツ選手とかでも吸うよな」
「元西武の工藤さんとかね」
「だよな」
「全部駄目よ」 
 里香はそうした職業の人間の喫煙を全否定した。
「スポーツ選手もアーティストの人もね」
「どっちもなの」
「煙草はすぐに息があがるから」
 肺に負担がかかるからだ。
「歌手とかだと肺が命なのに」
「それに喉もね」
「喉にもよくないから」
 彩夏の言葉に応えても言う。
「だから絶対にね」
「そうした人達に煙草はよくないのね」
「そう、よくないから」
 こう言うのだった。
「勿論私達もね」
「というかね」
 景子がパソコンの前に座り続けている里香に言ってきた。
「私達高校生だから」
「それでっていうのね」
「吸うこと自体が駄目じゃない」
「けれど吸う人はいるじゃない」
「そうだけれどね。やっぱりね」
 法律違反になるからよくないというのだ。
「問題外でしょ」
「それはそうだけれどね」
「まあとにかく。私達は誰も吸わないからね」
 勿論景子もだ。
「煙草についてはそういうことで」
「絶対に駄目だから」
「里香ちゃんって本当に煙草嫌いなのね」
「身体によくないから」
 全てはそこにあった。
「お酒はお薬にもなるけれどね」
「煙草は違うからね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「うちの家じゃ煙草は二十歳になってもね」
「絶対に禁止なのね」
「お酒はいいの」
 このことは何度も言う里香だった。
「お薬だから」
「飲み過ぎても?」
「それでもよ」
 こう琴乃にも答える。
「黒田武士みたいにね」
「黒田武士って」
「ひいお祖父ちゃん、今も元気だけれど」
「その人が言ったの?」
「そうなの。お酒は飲んでこそだって」 
 それも大量にだというのだ・
「そうじゃないと駄目って。ただし」
「アルコール中毒ね」
「毎日飲むのなら少しずつでないと駄目だって」
 この条件があるというのだ。 
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