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万華鏡

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第十一話 流鏑馬その十三


「そうだ。女子青年は完全に婦人会の下にあるからな」
「殆ど全部を支えているのね」
「天理教はとにかく女の人の力が強い」
「ううん、神社以上なのね」
「その方がいいかも知れないがな」
 そして父は天理教のそうしたところを肯定したのだった。
「女の人が強い方がな」
「そういうものなのね」
「そうだ。しかしだ」 
 父はここで話を戻してきた。
「神社のホームページに募集の欄を置くか」
「そうしたらいいって教えてもらったのよ」
「わかった。それでは女の子達に話しておく」
 そのホームぺ^−ジを管理している彼女達にだというのだ。
「そうしておく」
「お願いね」
「だが。とにかく流鏑馬はな」
 父もこの儀式については難しい顔で言う。
「人がいない」
「どうしてもそうなるのね」
「難しいからな」
 それも尋常ではなくだ。
「弓だけでも馬だけでもな」
「どっちもよね」
「弓もあれで扱うのが非常に難しいものだ」
 父は首を捻り実際にそうした顔で娘に話す。
「それはわかるな」
「ええ、一応は」
「引くだけでも力がいる」 
 まずはそこからなのだ。
「そして狙いを定めて射るが」
「動かない状態でも的に当てることは」
「とにかく難しい」
 そうだというのだ。父もよくわかっている。
「だからオリンピックの競技にもなる」
「アーチェリーね」
「日本の弓道とはかなり違うが弓は弓だ」 
 だから基本は同じなのだ。
「その的の中央を射抜くことは例え自分が動かない状況でもだ」
「かなり難しいのに」
「馬に乗って走りながらだ」
「しかも乗馬も必要よね」
「これもまた難しい」
 父もまた馬のことについてもそうだというのだった。
「手綱を持たず馬を操る」
「危ないし」
「相当な馬術が必要になるものだ」
「しかも射抜かないと駄目だから」
「昔ならどうか知らないが今は出来る人は殆どいない」
 これが父の出した結論だ。
「だから八条神社でも一人だ」
「そうなのね」
「さて、本当に誰か来て欲しいが」
 父は神主の服の下で腕を組んで述べた。
「誰が来るかな」
「本当に誰か来てくれればいいね」
「全くだ」
 神妙な顔で娘に答える。
「そうすれば八条神社も助かる」
「そうよね、本当に」6
 景子は里香達のアドバイスをそのまま父と兄に話視二人から八条神社に話が入った。それがまた一つの話になるのだった。


第十一話   完


                           2012・10・7 
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