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ハイスクールD×D 紅い神喰狼と赤龍帝

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手合せ

~真紅狼side~
イッセーの隣で、俺もリアス・グレモリーの悪魔業界のお話を受けている。


「――――ということで、私達は太古の昔から三すくみ状態で争っているのよ」


“天使”、“悪魔”、“堕天使”ねぇ。
そりゃまぁ、御苦労なことで。
俺を無視した状態でリアス・グレモリーはイッセーと共に話を進めていく。


「―――天野夕麻」


リアス・グレモリーがイッセーに向けて呟くと、イッセーの声に怒気が含まれていたことに気が付いた。
というか、そいつって確か………


「………彼女は私達の敵………堕天使なの」


イッセーは心底信じられない様な表情をしている。
その後、イッセーに近づいた理由を並べ、イッセーにも“神器”が宿っていることが分かり、発現させた。


「なんじゃぁぁあああああ、こりゃぁぁぁぁあああ!!?」


イッセーの左腕には赤くて龍のような籠手がくっついていた。


「おー、すげぇ、イッセーの腕が籠手になったし」
「………なんで、真ちゃんはそんなに驚いてないのかしら?」
「この程度で驚くかよ、朱乃。俺の日常、忘れたか? ウチの父さんと母さん以上の事にどうやって驚けと言うんだ?」


事実を至って平然と述べると、朱乃は母さんと同じ仕種で手を頬に当てながら、苦笑していた。


「………あー、そうだったわね。アナタのお父様とお母様を見ちゃうとこの程度じゃ驚かないわよねぇ(苦笑)」


俺達だけ納得して頷いているが、イッセー達は取り残された状態だった。
それに納得できなかったのか、リアス・グレモリーが訊ねてきた。


「朱乃、話が見えないんだけど………どういう事なの?」
「そうですね………簡単に言いますと、真紅狼の家では、この程度(・・)の現象は日常茶飯事起きていると言っておきましょうか」
「蒼騎くんの家は一体どうなってるのよ………?」


こちらに興味ありげに視線を向けてくるが、体験したいのか?
止めとけ、いくらあっても足りないぞ? ………肉体的、精神的の意味でだが。


「というか、貴方、彼女が堕天使だった事を知ってたわね?」
「まぁ、その現場近くに居たしな」
『えっ?!』
「バッチリとイッセーが光の槍で貫かれていた所も見ていたし、リアス・グレモリーが紅い魔方陣から出てくる所も見たぞ?」
「………全然気配が感じられなかったわ………あなた、本当に人間なの?」
「ああ、人間だよ? ちょっとばかし、“特別製(・・・)”………だがね」


俺は意味深な笑みを浮かべる。
それを探る様にリアス・グレモリーはこちらを覗いてくる。
つーか、俺も“神器”宿ってるんだっけ?
帰ってみたら、発現出来るか試してみよう。


「どうでもいいから、イッセーに状況を教えてやれよ」


その言葉でリアス・グレモリーははっとなり、咳払いを一度したあと、再びイッセーに今の状況を教えていた。
~真紅狼side out~


~リアスside~
蒼騎くんの正体が掴めない………
今までの会った人間の中でも、もっとも分からないわ。
まず、私達の様な異常な存在に気配すら感じられないほどの持ち主なんて、あり得ない。しかも、逆にこちらの正体を薄々ではあるが勘づくってこともおかしい。
でも、朱乃は蒼騎くんのことを信頼してるみたいだし………現状は敵ではなさそうね。


「―――――ということで、貴方は私、リアス・グレモリーの眷属の悪魔として生まれ変わったの………私の下僕悪魔としてね」


すると、イッセーは困惑な表情を浮かべていた。
取り敢えず、もう一度紹介させておくことにした。


「じゃ、もう一度祐斗、お願い」
「はい。僕は木場祐斗。兵藤一誠くんと同じ二年生ってことは分かってるよね。えーと、僕も悪魔です。よろしく」
「………一年生。………塔城小猫です。よろしくお願いします。………悪魔です」
「三年生、姫島朱乃ですわ。一応、研究部の副部長も兼任しております。今後もよろしくお願いします。これでも悪魔ですわ。………最後に真紅狼の“許嫁”ですわ」


朱乃の最後の言葉だけが、やたら強調して聞こえたわね。


「そして、私が彼らの主であり、悪魔でもあるグレモリー家のリアス・グレモリーよ。家の爵位は公爵。よろしくね、イッセー」


改めて紹介が終わった後、私は蒼騎くんの方を見た。
彼を見てみると………………寝ていた。


「朱乃、起こして」


朱乃は蒼騎くんの耳元に口を近づけて、息を吹きかける………すると、彼は…………


「うおぅっ!? ビックリしたぁ!!」
「よくもまぁ、こんな状況で寝られるわね………」
「すみませんね。俺の毎朝はDead or Aliveなものなんで、眠いんですよ」
「人間の家で、そんなことあるわけないでしょう?」
「いえ、部長、彼の話は本当ですよ?」
「………はい?」
「だから、本当の話だって言ってんだろ。その証拠にほら、俺の左耳、見てみろ」


彼の左耳を見ると、傷痕が付いていた。


「傷が付いてんだろ? これが証拠だ」


彼の体を良く見てみると、すでに完治したモノばっかだが、それでも若干見えにくいがあちこちに痕が残っていた。


「じゃあ、本当なの?」
「さっきからそう言ってるじゃねぇか」


蒼騎くんは『ふー、やれやれ』という表情をしながら、ため息をついていた。
私は呆気にとられていたが、当初の目的を果たす為に頭を切り変えた。


「………蒼騎くん」
「真紅狼で構わん。そう呼べ」
「分かったわ、なら、私の事は………そうね、『部長』もしくは『リアス』って呼んでちょうだい」
「ああ、分かった」
「じゃ、改めて………真紅狼。ちょっと手合せをお願いしたいんだけど、いいかしら?」


真紅狼は怪訝そうな表情で、こちらを疑う。


「何故?」
「貴方の力がどんなモノなのか、気になったから」
「相手は誰よ?」
「祐斗、行けるわね?」
「はい。いつでも行けますよ」
「相手は木場か………なら、俺も剣士として相手してやろうかね」


彼の懐から、二本の刀が出てきた。


「貴方、侍なの?」
「“侍”……“侍”か………ちょっと違うな。俺の本来の得物は“短刀”だが、今は手元にないから、こちらで戦うんだよ。………勘違いするなよ? 先程、俺は『本来の得物は“短刀”』と言ったが、刀も慣れ親しんだ得物だ。俺は状況に応じて戦い方を変えるから、得物も自動的に変るんだ。だから、木場を舐めているわけじゃねぇぞ」


真紅狼は私達に納得させるように聞こえた。


「―――ということらしいけど、祐斗。いいかしら?」
「ええ。僕も“刀”との手合せ経験は少なかったので、戦ってみたかったんですよ」


祐斗も準備オッケーのようだったので、夜まで待った後校庭で始めることにした。
~リアスside out~


~朱乃side~
夜になり、私達は夜の校庭に出た。
その後、木場くんと真ちゃんはお互い十分な距離を取った後、構える。


「………じゃあ、手合せを始めるけど……真紅狼、本当に照明を付けなくていいのね?」
「照明なんか付けたら、人が来るだろうが。メンドイのは嫌いなんだ。面倒が起こらない様にやるしかないだろう?」


部長は、真ちゃんに再度訪ねていた。
部長の懸念しているところは、夜になると人間では視野が極端に狭まり、逆に私達は“夜”が活動時間帯の為、能力も視野も向上することを心配しているみたいだが、真ちゃんにとってはそんなモノは要らぬ世話だ。


「部長、真紅狼も『要らない』と言ってますし、始めたらいいんじゃないでしょうか?」
「……そうね。では、両者準備はいいわね?」
「「はい/ああ」」
「では…………………………………始め!」


部長(リアス)の合図が出ても、いきなり互いが動くことは無かった。
~朱乃side out~


~木場side~
部長の合図があったが、僕は攻められずにいた。
今まで何人もの騎士や素手の相手をしていたが、ここまで間合いが取りづらいとは………
しかも、二刀なんだが構え方が特殊な構え方だった。
普通、二刀流なら両手に一本ずつ持ち、刃は下向きの筈だが………彼の場合、小さなラックを左手に持ち、鞘を固定して刃だけを取り出せれる仕様になっていた。


「まるで……………居合いのようだね」
「“居合い”か…………攻撃する時、この型が一番攻めやすいからこうしているんだがな………」
「………でも、そろそろ間合いの方も測れたし、行くよ!」


僕は一気に加速して、彼の目の前まで距離を詰める。
手に持っていた剣で首に目掛けて横に一閃した。
もちろん、寸止めはするつもりだった。
だが、寸止めする前に聞こえてきた音(・)が出てきた。


ガキィン!


「……え?」
「なんだ、そんなにおかしいか? 俺がお前の攻撃を反応して、刀で受け止めたことが」


馬鹿な?!
僕が距離を詰めていた時には、まだ手すら動いていなかったじゃないか!
なのに、一閃するまでに刀を抜き、その上僕の攻撃を防ぐなんて………。


「騎士ともあろう者が、動きを止めるなよ。迎撃を食らうぜ?」


――地禮・疾雷の型――


「稲妻三段切り!! ―――――疾ッ!!」


彼は僕の隙を見逃すことなく、二段目のラックに固定されている刀を引き抜く。
下段、中段、上段と順に下から素早く斬りつけてくる。
しかも、振るう度に稲妻が轟く。


「くっ!」
「まだまだ! 間合いにそちらから入ってきてくれたんだ、もうちょっと付き合えや」


――火燐・二の型――


「はぁっ!!」


彼は先程の刀を鞘に戻して、鍔も拵えも立派な刀を取りだして彼は刀を振るう。
すると、振るう度に業火の壁が一瞬だけ僕に襲いかかって来る。
これは、完全に彼のペースだな。
どこかで、リセットしないと終始彼に主導権を握られたままはグレモリー眷族の『騎士』を務める者として、失礼にあたる。
だからこそ、僕は“神器”を起動した。


「“魔剣創製(ソードバース)”!!」


ガキィン・・・


「なんだと?」
「悪いね、僕も“神器”持ちなんだ」
「………物質生成タイプか?」
「まぁ、そんなところだけど………ただ、剣のみになるけどね」


僕が地面に刺さっている魔剣の柄を掴むと、彼はその場から離れて様子を見ていた。
判断力が早く、距離を取ることは正解だけど………
“速さ”なら、負けない!
僕は後退している蒼騎くん目掛けて一気に距離を詰める。


「………くそ、速い!」
「これで………終わりだ!!」


今度こそ、勝利を宣言した。
だが、またもやその宣言は失敗に終わった。


ガキキィン!!


「………今度こそ勝ったと思ったんだけどな………」
「いやいや、今のはちょっと危なかったぜ。二本抜いていないと負けてたな」


彼は咄嗟に二本の刀を引き抜いて、交差するように僕の魔剣を防いでいた。


「………長い手合せはグダるし、そろそろ幕引きとしよう」


彼はそう喋った後、“火燐”に力を込めて、僕の魔剣を弾き飛ばした。


ガァィン………!!


「くぁ?!」


手が痺れるほどの強烈な衝撃が両手を襲い、数秒間だけ僕は魔剣を持てなくなった。
だが、彼にはその数秒間で充分だったらしい。


「電鋼刹火!!」


――電鋼刹火――


彼は右手に持っている“地禮”と左手に持っている“火燐”を左から右に横に一閃。
僕は避けることが出来たが、次の一撃には対応できなかった。
なんと右手の“地禮”をしまう事無く、そのまま僕の顔の前に突き出してきた。


「……………()った」
「………僕の負けだ」


負けを認めると、彼は“地禮”と“火燐”を再び懐にしまった。


「なかなか良い手合せだったよ、蒼騎くん」
「木場はスピードが主軸の剣士だったから、ちょっとばっかしやりづらかったな。あと、俺の事は『真紅狼』でいい」
「分かったよ、真紅狼くん」


そうして、僕と真紅狼くんの手合せは終わった。
~木場side out~


~リアスside~
今、二人の手合せが終わった。
どちらも魅せる場所があったが、まさか祐斗が負けるなんて………思ってもみなかったわ。


「朱乃」
「なんですか、部長?」
「真紅狼は他にもなにかやってるの?」
「う~~ん、詳しい事は私は知りませんわ」


親しい朱乃ですら、分からないことはあるみたいね。
取り敢えず彼の実力が分かった事だけでも、よしとしましょう!
~リアスside out~


彼の事はちょっと注意しておかなきゃ。 
 

 
後書き
零児はカッコいいと思う作者です。
私のムゲフロexccedでも、前線主要メンバーの一人です。 
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