| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ソードアート・オンライン~神話と勇者と聖剣と~

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

SAO:アインクラッド~神話の勇者と獣の王者~
  荒れ狂う狼(後編)

 アマテラスとの戦闘開始から一時間が経過した。

 残るやつのHPは2本だけ。しかし奴は、もはや本来の姿からはかけ離れた存在となっていた。

「ガアアアア!!」
「ギュオオオ!!」
「キシャアア!!」
「ルオオオオ!!」


 本来の狼の頭、さらに右尾の龍頭、左尾の龍頭、中尾の龍頭・・・。合計で4つの頭を持つ異形の狼は、それぞれの頭で大きく息を吸い込んだ。

「来るぞ!!HPゲージがもうすぐ尽きそうになるとこの技を出すようになる。絶対に当たるな!!」

 ゲイザーが叫ぶ。恐らく、あのブレスには・・・。

「ぐっ!」

 俺の左手に、不快な感覚が走った。そこにあるのは、三十分ほど前に受け、いまだにエフェクトすら消えぬ、黄金の傷跡・・・。

 アマテラスの、特殊能力(アビリティ)。攻撃した相手に、効果時間《自分が死ぬまで》という凄まじい持続時間の、一分につき最大HPの1割を削る傷跡を残す。

 アマテラスの回転蹴り・噛みつき・噛みつき・噛みつき・爪振りおろし・再び回転、という大技を回避しきれず、受けてしまったのだ。
 
「セモン、気をつけろ。あいつの本気はこんなもんじゃない」
「わかってます。・・・絶対、勝つ」

 アマテラスの四つ首から、黄金のブレスが放たれる。

 思いっきり横に飛んで回避。凄まじい威力に、周りのエフェクトが歪んで見える。

「今だ、攻めるぞ!!」

 ゲイザーが叫ぶ。アマテラスは、大技を出すとかなり長い硬直時間を科せられるのだ。

「いくぞっ・・・!!・・・《マインドゲイジ・シュート》!!」

 ゲイザーの拳が光り輝き、同時に彼のHPゲージが一割ほど削れる。

 《流星拳》専用ソードスキル、《マインド・シュート》は、自分のHPと引き換えに威力をあげられる。そして《流星拳》のソードスキルには、ほかのスキルにはない絶対的なアドバンテージがあるのだ。それは・・・。
 
 密着状態から打つと、威力が倍になる。

「覇!!」
「ごああああっ!?」

 アマテラスが怒りの声を上げる。

「まだ終わってねえぞ!!」

 俺も刀を振る。もうかなりの回数のソードスキルを放っている。あくまでも予備。それに専用ソードスキルさえ使っていないが、《神話剣》の放つスキルは大幅に強化されているのだ。専用武器でなければ、耐えるのは難しい・・・。
 
 俺は、この刀があと数回のソードスキルの使用で砕けると判断した。そうなったら、もう《神話剣》は使えない。なら・・・

「砕ける前に、倒すッッ!!」
 
 片手剣ソードスキル《バーチカル・スクエア》。

 四連撃は次々アマテラスの横っ腹にヒットした。

「ぐおおおおお!!?」

 アマテラスが身悶える。

「それだけじゃ、終わらない」

 今まで後衛に出ていたコハクが、いつの間にか前衛に出ていた。槍・・・《妖魔槍》専用装備、《魔槍オクタスン》がひときわまばゆい紫の光を宿す。あれは、《妖魔槍》専用最上位スキル・・・

「・・・《ネメシス・フラワー》!!!」

 紫の軌跡を描き、オクタスンが7連撃を放つ。だが、この技はまだここから・・・。

「イッ・・・アアアアアアアアアアアアッ!!!」

 裂ぱくの気合いと共に、全14という、怒涛の連撃がさらに叩き込まれる。そこに、さらに七連撃。
 
「オオオオ!!!」

 計28連撃の槍術を食らったアマテラスのHPがついに残り一本になる。

 四つ首はなおもうめき、叫び続けている。

「どうだ・・・!!」
「まだだ。気をつけろ」

 ゲイザーの緊張した声が届く。

「ここからが・・・」
「な、なに・・・あれ・・・」

 コハクが、絞ったような声を出す。

 そちらを見ると、アマテラスが、ついに最後の変身をしようとしていた。

 だが・・・それは、今までのものと比べると異質だった。
 
 突然アマテラスが金色に輝き始め、その背中に亀裂が走る。

 そして・・・。

「!!!」
「!?」
「・・・来たか」

 白銀の鱗をきらめかせ、黄金の角を持つ竜が、姿を現した。(ドラゴン)ではない。東洋の竜に近いフォルムのそれの横に、新たに、もう一本のHPゲージが伸び、名前が表示された。

               <ザ・アマノイカズチ>

「コオオオオオオオオオオオオオ!!!」

 神罰の雷の名を関する竜は、雄々しく、高々と、吠えた。 
 

 
後書き
 次回に続きます。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧