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髑髏天使

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第九話 氷神その八


「覚えておくことだ」
「ウェンティゴか」
「これから楽しませてもらう」
 また彼に言うのだった。
「久し振りにこの世に出て来たのだしな」
「久し振りか」
「どれだけ経ったかは忘れた」
 時間の概念の違いが彼が人でないことを教えていた。そのことをあえて言うのも神としての余裕であろうか。
「しかしだ。出て来たからにはだ」
「どうするつもりだ?」
「楽しませてもらう」
 不敵な笑みがさらに強まりそのうえで彼に言ってきた。
「思う存分な」
「闘いをか」
「そうだ。見たところ貴様はまだ大天使か」
「わかるのか」
「聞いてもいる」
 聞いても、と言ってきたのであった。
「それもな」
「あの二人からか」
「ほう、すぐに答えが出て来たな」
「こちらもわかっている」
 牧村はウェンティゴを見据えて言い返した。彼が魔神の一人であっても臆するところはなかった。むしろ睨み返さんばかりの勢いを静かなその中に秘めていたのだった。
「貴様等のことはな。十二魔神だな」
「そうだ」
 ウェンティゴはその問いに答えてみせた。
「それが我等だ」
「今は三人というわけか」
「安心しろ。それでは終わらん」
 ウェンティゴの不敵な言葉は続く。
「あと九人いる。同胞達はな」
「それが全て俺に倒されるというわけだ」
「面白い。自信があるというのだな」
「俺は髑髏天使」
 臆したところなぞ微塵もない言葉であった。
「貴様等を倒す者だからだ。それも当然だ」
「一つ言っておく」
 ウェンティゴは牧村の今の髑髏天使としての言葉を受けても感情を変えない。しかしここであえてといった感じで彼に言ってきたのであった。
「我等は神だ」
「それはわかっているが」
「神は死ぬことがない」
 彼が言うのはこのことであった。
「だからだ。倒れることはない」
 こう告げたうえでさらに言葉を続けてきた。
「封印されはするがな」
「なら封印してみせよう」
 牧村はそれならば、といった感じでまた答えてきた。
「貴様等をな。全てな」
「面白い。久し振りにこの世に出て来たかいがある」
 目まで笑っていた。心から笑っているのがわかる。だがそれは人の、また魔物の笑いでもなかった。絶対なる存在の、神としての、その笑いで牧村に応えているのであった。
「今の髑髏天使は実に面白い相手だ」
「面白いか」
「最高と言っておこう」
 その神の目で見つつ牧村に述べた。
「今度の髑髏天使はな」
「最高か。違うな」
「ほう」
 牧村の今度の言葉にも楽しそうに左眉を上げてきた。
「俺は最高ではない」
「では何だというのだ?」
「最強だ」
 こう断言する牧村だった。
「今までの髑髏天使の中でな。勘違いするな」
「わかった。では最強の髑髏天使よ」
 彼もそれを受けて言葉を変えてきた。 
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