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髑髏天使

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第八話 芳香その二十一


「その通りよ。私達はそれぞれ千里眼を持っているから」
「それもまた神の力というわけか」
「ええ。わかっているのね」
「神であるというのを聞けばな」
 サイドカーの側に立ち冷静な言葉で二柱の神々に対し告げるのだった。
「それも頷ける」
「左様ですか」
「それはまた随分と物分りがいいわね」
「しかしだ」
 だがここで彼は言うのだった。
「こちらとしては一つ聞きたいことがある」
「何でしょうか」
「俺と闘うつもりはないのか」
 鋭い目での言葉であった。
「この俺と。それはないのか」
「今のところは」
「ないわ」
 二人は静かに彼の言葉に答えた。
「それはありません」
「安心していいわよ」
「今なら俺を確実に倒せる」
 牧村が今度言うのはこのことだった。
「間違いなくな。大天使でしかない俺は」
「我々は神ですので」
「だからよ」
 牧村の今の言葉に応える形での今の二人の言葉だった。
「魔物はそれ相応の相手と闘うものです」
「私達もそう」
 自分達もだというのだった。
「この十二魔神はね」
「そういうことです」
「だからか」
 牧村は二人の言葉を聞いてまずは納得するのだった。
「そういうことか」
「はい、そうです」
「だから今は」
「それはわかった」
 とりあえずは彼等の言葉に納得するのだった。
「だから今は俺と闘わないのか」
「貴方はさらに強くなります」
「今よりも」
「大天使よりさらにか」
「その通りです」
 老人が言うのはそういうことだった。そしてそれは女に関しても同じであった。
「まずは今より上にあがられることです」
「待っているわ」
「その時をか」
「楽しみにしていますので」
「その時をね」
 こう述べて笑う二人であった。
「さて、それでは」
「また会うけれど闘うのはまだ先ね」
「先か。しかし」
 牧村は二人を見据えてさらに問うてきた。
「貴様等は一体」
「我々が!?」
「どうしたのかしら」
「魔神であるのはわかった」
 まず言うのはそれであった。
「しかしだ」
「しかし!?]
「神の思い通りになるものばかりではない」
 このことを彼等に告げた。
「それは覚えておくことだな」
「わかりました。では覚えておきましょう」
 老人はいつもの温和な笑みで答えはした。
「ですが力は違うのは確かですよ」
「そのことは貴方が覚えておくことね」
「なら近付いてみせる」
 側にサイドカーが来た。それに乗る。ヘルメットを被りつつ最後に彼等に対して言うのだった。
「貴様等にな」
「楽しみにしているわ」
 女の言葉が最後になった。そうして今は彼等は別れた。また会うのはわかっていた。だが今は別れ次の闘いに備えるのであった。


第八話   完


                 2008・11・28 
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