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髑髏天使

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最終話 日常その三


 それでだ。彼はその北乃きいについて話した。
「有り難いな」
「有り難いか」
「北乃きいちゃんがいいって言ってもらってか」
「外見がいいだけじゃない」
 それだけではないというのだ。
「しかも演技力もある」
「だよな、演技力もな」
「それもあるよな」
「そうだよな」
「だから余計に好きだ。将来が有望だ」
 北乃きいについて話していってだ。そこからだ。別の女優の話もした。
「それと最近小池里奈もだな」
「あの娘もいいよな」
「あの娘も外見もいいし演技力もあるし」
「コミカルな演技なんか特にな」
「抜群にいいからな」
 こう話していくのだった。牧村は日常の生活を楽しんでいた。
 それは研究室でも同じだった。そこでもだった。
 博士にだ。こう話すのだった。
「楽しくやっている」
「そうか。楽しいか」
「ああ、楽しい」
 まさにだ。そうだというのだった。
「とてもな」
「ならよい。もう君は髑髏天使ではないか」
「変身はできる」
 それはできてもだというのだ。
「だが。もうだ」
「そうじゃな。戦いは終わったな」
「戦いが終われば髑髏天使になる必要もないな」
「うむ、ない」
 実際にだ。ないと話す博士だった。
「君はそれを自分で終わらせたのじゃ」
「俺自身でか」
「無論君だけではないがな」
 博士は自分の席に座っていつも通り話すのだった。
「死神や魔神達もいてじゃ」
「それでだな」
「よくやった」
 博士は彼にあらためて話した。
「ここまでな」
「そうだよね。まさかね」
「混沌まで封じるなんてね」
「そこまでやるなんてね」
「凄いよ、本当に」
 妖怪達、いつも通りいる彼等もだ。牧村にこう話してきた。彼等は今もお菓子やジュースを楽しんで集っている。研究室のいつもの風景だ。
 その風景の中でだ。彼等は牧村にいつも通り話し掛けてきているのだ。
「髑髏天使の階級も全部昇ったし」
「天使長になったしね」
「それで混沌の神々を全部倒して」
「封印したんだね」
「封印はしてはいない」
 牧村はそのことはそうではないと話した。
「俺は倒しただけだ」
「そうじゃ。倒したことは倒した」
 博士もそれは言う。
「しかし神は死なん」
「また蘇るな」
「千年後か一万年後か」
 遥かな未来でもだ。何時かは必ずそうなるというのだ。
「必ず蘇る」
「じゃあ危険は去っていないんだね」
「そうなるよね」
「僕達が生きているうちに出て来るんだね」
 妖怪達の基準での話だ。彼等の寿命は人間のそれとは違っている。それで彼等が生きているうちにはだ。また混沌が出て来るというのだ。 
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