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髑髏天使

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第五十五話 魔水その十六


「そう簡単にはやらせん」
「決してだ」
「何があろうともだ」
「では仕掛けてくるのだ」
 神がその言葉を返す。
「来い」
「言われずともだ」
 死神はその両手の鎌を投げた。両手に持って右から左に振り下ろす様にしてだ。
 そのうえで鎌を神に投げる。鎌は激しく回転しながら神に向かう。
 向かいながらだ。その鎌がだ。
 紅蓮の炎に包まれる。その炎でだった。
「貴様を消す」
「その炎の輪でか」
「これならどうだ」
 神に対して問う。炎の輪を見据えながら。
「貴様もかわせるか。それとも」
「それとも?」
「防げるか」
 こう問うのである。
「この鎌の炎を」
「ならばだ」
 神の言葉はここでも冷静なものであった。
 そしてその冷静さのままだ。彼は動いてみせた。
 右手を前に出した。それでだ。
 鎌の前に水の車が出来た。それがだ。
 炎の輪に向かいだ。次々にぶつかるのだった。
「水の車輪か」
「私は水ならだ」
 それならばだ。どうかというのである。
「自由に使えるのだ」
「だからか」
「そうだ、こうする」
 こう話すのである。
「これならばどうか」
「仕方がないか」
 死神はだ。炎が水により消されていくのを見てだ。すぐに決断した。
 鎌を見据え。こう言うのだった。
「下がれ」
 その言葉を受けてだ。鎌は回転を続けながら戻った。
 そして彼の手に戻った時にはだ。炎は消えていた。炎の輪は失敗に終わった。
「小細工は通じないという訳だな」
「その様だな」
 髑髏天使が彼の横に来て応えた。
「この程度ではな」
「この神は倒せない」
 二人はこのことを認識していた。
「ではどうするか」
「それが問題だな」
「さて、それではです」
 虹蛇が二人に声をかける。
「どうするかですが」
「御互いにだな」
「どうするかだな」
「どうにかしなければ敗れてしまいます」
 虹蛇は現実も話した。彼等の今の現実をだ。
「勝たなければなりません」
「そうだ。私に勝てなければだ」
 どうなるか。それを話すのは神だった。
「貴様等は死ぬ」
「そうだな。死ぬな」
「我々がだ」
 それは言うまでもなかった。そうしてだ。
 髑髏天使と死神はだ。また構えを取った。そこにだ。
 目玉が出て来てだ。彼等に言ってきた。
「いいかな」
「何だ」
 死神がその目玉に問う。
「何の用だ」
「苦戦しているようだけれど」
「そう見えるか」
「うん、見えるよ」
 まずはこう告げてからの言葉だった。
「だから出て来たんだよ」
「ただ出て来ただけではないな」
「当然ね。それだけじゃ負けちゃうからね」
 目玉は死神の顔の横に来て話す。
「絶対にしないよ」
「ではどうする」
「ここに呼んだよ」
 目玉が言うとだった。 
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