| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

髑髏天使

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十五話 魔水その十四


「私の力。他の神々とは違う」
「話は聞いた」
「そこまではな」
 二人も怯むことなく返す。
「確かにな」
「聞かせてはもらった」
「そうか。それは何よりだ」
「それではだな」
「いいな」
 また話す彼等だった。そしてだ。
 そのうえでだ。彼等はだ。
 それぞれの構えに入った。
 牧村は両手を拳にしてそれを己の胸の前で打ち合わせる。
 死神は右手を拳にして己の前に置く。そうして。
 白、青の光に包まれ。その姿を変えたのであった。
「行くぞ」
「その魂、刈らせてもらう」
 右手を一旦開いて握り締め、鎌を一閃させる。それと同時に姿も変えた。
 魔神達もだ。それぞれ戦う姿になっていた。
 その姿になってだ。最初に百目が声に問うた。
「では貴方もですね」
「姿を現せというのだな」
「はい」
 声に対して一言で答えた。
「そうしてもらえますか」
「わかった。それではだ」
 声が実体化した。それは。
 蛸を思わせる漆黒の頭、それに蝙蝠の翼、そして鋭い爪が生えた手足、その姿の巨人だった。それがおぞましい水の世界に出て来たのである。
 その姿でだ。神は言った。
「これが私の真の姿だ」
「水の神クトゥルフのだな」
「如何にも」
 死神の問いにも答えた神だった。
「その通りだ」
「貴様の名前は知っていた」
 死神はその神を見据えながら述べた。
「確かにな」
「そうだな。しかし」
「しかし。何だ」
「私の強さは知らないな」
 それはだ。どうかというのである。
「知っているか。どうだ」
「察しはついてはいる」
 死神は神を見据えながら述べた。
「貴様は。これまでの三柱の神よりもな」
「そうだ、強い」
 その通りだと。また答えた神だった。
「私より強い神はナイアーラトホテップと」
「あの黒い男か」
「そして混沌の原初の二神」
 この名前も出た。
「アザ=トースとヨグ=ソロホートだけだ」
「その連中だけか」
「如何にも」
 神は今度は髑髏天使の問いに答えた。黄金の姿になっている彼にもだ。
「その通りだ」
「そうか。それではだ」
「私を倒しそうしてだな」
「そうだ、最後までいかせてもらおう」
 鋭い声で言う髑髏天使だった。
「必ずな」
「そうするか。では来るのだな」
 この言葉が戦いのはじまりになった。そしてだ。
 まずはだ。魔神達がだ。それぞれの光を放ったのだった。
 それが神を受ける。だが。
 神はそれを受けてもだ。全くだった。
 動じない。そしてこう言うのであった。
「そうか」
「効いていないか」
「全くな」
 こう魔神達に述べるのである。
「何一つとしてな」
「それではです」
 それを聞いてだ。百目はだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧