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『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師

作者:wood12
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雪入道

 
前書き
妖怪視点…… 

 
“おおぉぉぉっっ!!”
洒落(しゃらく)せぇっ!」



 ヴォゴッ!!



“……………………っ!?”


 上から完全に不意を突いたと思うとったが、奴には完全に見透かされていた様で、儂はこの時に腹(と言うか胴)に致命的な一撃を受けてしまった。

 その勢いのまま砕け散る体。急速に薄くなる儂の意識………

 ま、不味い……このままでは、本当に散る(死ぬ)…………!


 儂は、薄れ行く意識の中で最後の力を振り絞り、飛び散る体の “一つ” にだけ意識を集中した。





    ◇◇◇


“……………………!?”


 ここは、何処じゃ………!?

 ……いや、こうして考えられると言う事は、儂はまだ死んではおらんのじゃな………!!



“………………しかし、本当にここは何処なんじゃ?”


 誰にも聞こえないような、弱々しい声で何とか独りごちる。

 生きている喜びに浸ったはいいが、状況が見えるに従ってその感動は萎んで行く。

 今の儂は、確かに生きてはいる。しかし、死んでるのとほぼ変わらんくらい弱り切ってると言う事じゃ。


 …………そんな事を考えながら周りを意識する。

 意識は戻ったが、まだ動く事は出来ない。何とか意識を自分の外に向けて、状況の確認に努める。

 …………ここは間違いなく、儂の居た山ではないな。真夜中の所為で周りは全く見えんが、気の気配がまるで違う。どの程度離れてしまったのか見当も着かんが、おそらく山は降りてしまったんじゃろう。それでも、体が溶ける程気温が上がっていないのは不幸中の幸いか?じゃが、日が上がってしまえば、それも分からん……

 ただ、悪い事ばかりでもない。

 ここは、どう言う訳か陰の気が物凄く強い。人の怨霊が漂っているのが、何となく解る。瀕死の儂が意識を回復する事が出来たのも、ここの気が大いに影響しておるのだろう。


 暫くは、大人しくしてここで妖気の回復に努めるべきじゃな…………




    ◇◇◇


 …………一晩経った。

 日は上がってしまったが、儂の居る所は建物の陰になってたので殆ど当たる事は無かった。季節が冬と言うのもあるが、これなら暫く溶ける事はないじゃろう。

 こうして意識を回復出来た事と言い、儂は付いて(・・・)おるのかのぉ。


 ………………と、そんな感じで儂は割と呑気にしておったのじゃが、そんな気分は数時間程で吹き飛ぶこととなる。




 ガチャッ



“………………!!?”



 あ…………あいつ……!!!?


 儂を覆う影になっていた建物………そこから出て来たのは、間違える訳が無い。儂に瀕死の一撃を加えてくれた “あいつ” じゃった!?

 なんて事じゃ……!!

 儂はよりにもよって、あいつの(ねぐら)に紛れ込んでしまったのか!?


 不味いぞ……非常に不味い………今の儂は、人の手の平程度の大きさしかないし、動く事もままならん。もし、あいつに気付かれたら速攻で潰されてしまうぞ。

 当の奴は、そんな儂に気づく事なく周りに居る怨霊達をまるで蝿でも振り払うように消し去って行く。そうして、周りが静かになると、今度は1人で虚空に突きや蹴りを打ち始めた。型稽古を始めたのか?
 多分、空手家などの武道家のするような物と同じじゃな……鍛錬しておるらしい。

 あいつは、そのまま数時間程鍛錬を続けると汗を拭きながら、建物の中に戻って行った。その時も儂に気付く事はなかった。あいつから見れば、儂などまだ “溶け残った雪” にしか見えておらんからだろう。

 じゃが、今はそれでも妖気が回復すれば、それも通じなくなる。いや、それ以前にあいつがいつ此処に来るかも分からん!



“急がねばならん………急いであいつを殺せる(・・・)だけの力を蓄えねばならん……!”





    ◇◇◇


 あれから数日経った。

 今の所は奴等(・・)に気付かれてる気配はない。


 あれから分かったことじゃが、ここにはあいつを含めて合計で4人が出入りしておる。

 人間の男が3人。女が1人……こやつは、何だか良く解からんな。じゃが、兎に角4人じゃ。そして、定期的に外に出るのが、やはり “あいつ”

 行動の傾向が決まっておるのは、ありがたい。襲い(・・)易くなるからのぉ……


 今に見ておれ………儂の妖気も順調に回復しつつある。後、数日もしたら目に物を見せてやるぞ。


 その時がお前の最後じゃ………!!




    ◇◇◇


 時はなった……
 
 あれから、更に数日後。日陰に籠もり陰の気と周りの悪霊達を取り込み続けた儂は、あいつにやられる前と比べ物にならぬ程の強大な進化を遂げたぞ!

 小さくなっていた体は、そうなる前の3倍は大きくなり、力はそれ以上。今なら、何処へでも好きに動ける。


 後は、憎きあいつを殺すだけ。

 いつものその時間まで、儂は物陰にじっと身を潜める。もう、隠れる必要もないのじゃが、儂は敢えてそうした。

 自分の葬ったと思った相手が、まさか自分の塒で復活してるとは夢にも思うまいよ。あいつの恐怖に歪む顔が今から目に浮かぶ様で、嗤いを堪えるのに必死じゃわい。


 じゃが、あいつを殺った後はどうするかの?

 ここも、人里離れた場所と言うのは何となく解ったが、それ以上の事は皆目見当も付かん。
 どうやって、山に戻ろう?そもそも、戻る必要があるのじゃろうか?進化を遂げた今、前のようにこそこそ(・・・・)する必要は既に無い。誰も儂を止められんのじゃから。

 まぁ、良いか………全て、あいつを殺った後に考えれば良い


 儂は、そうに思い直すと再び息を潜める。



 ガチャ……!



 そうして、今か?今か?と逸る気を抑えるのに苦労し始めた頃、遂にその扉が開いた。

 出て来たのは、いつも通りあいつ1人だけ………相変わらず儂に気付いていないのか、のんびりと体を伸ばしておる。

 なんとも間抜けな事よのぉ……自分が狙われてる事に最後まで気付かないなんて。


 そう思いながら、自分の大きくなった体をゆっくりと動かす。


 …………殺した後に死体は骨も残さず喰ってやろう。まぐれ(・・・)とは言え、一度は儂を追い詰めたお前に対するせめてもの慈悲じゃ。儂の一部となって生き続けるがいいっ!!



 ダッ……!!



“死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!!!”
「うぜえぇっっ!!」




 ヴゥワアァァーーーッッ!!



 ………………………………え!?


 な、何が起こった?

 儂は、勢い良く走り出した筈……現に、今も脚は動いておる。そして、儂はそれを後ろ(・・)から眺めている。何故か逆さ(・・)になったまま………



“が…………!?”


 思考が全く追いつかぬまま、儂の頭を衝撃が襲う………わ、儂は落ちたのか?頭から……そして目の前には、勢いを失った儂の脚が倒れるのが見えた。

 本当に何が起こったのじゃ………??

 あいつが振り向いて、何かが光ったと思った瞬間にこうなってしまった。


 そんな混乱し続ける儂の視界に、あいつの脚が近付いて来る。

 そして………


「お前には、ガッカリだよ……」


 その声と共に、あいつの右手が光り………儂の思考は、そこで途切れた。

 永遠に……




    ◇◇◇


 ガチャ……


「殺っちまったな。もっと、太らせんじゃなかったのか?」
「自分から、襲い掛かって来たんだ。しゃあねぇだろ……」


 音に気付いて出て来た鴉に、俺は愚痴混じりに答える。


「まだ、生きてたじゃねぇか。もう、1回チャンスやりゃあ、もっと強くなったかもしんねぇぜ」


 俺達の目の前にあるのは、雪入道だった雪の残骸………

 車のボンネットに載って来た奴の残りカスが、ここまでデカくなったのは見事だが……今になっちゃ、ただの溶けかけの雪だな。日が昇る頃には、完全に溶けちまうだろう。

 それを眺めながら、俺は更に手を振って答える。


「ないない……一昨日から、殆ど妖気が伸びなかった。こいつは、これで限界だ。それに、早く仕留めなきゃ車も使えねぇから、今日辺り潰そうと思ってたんだ」


 そう言いながら、問題の車を見る。


 …………奴の巨体の所為で、見るも無残に潰れてやがる。フレームは歪んで、全ての窓ガラスが割れちまったよ。雑魚の嫌がらせとしちゃ、上等だな。


「……鴉。あれ、文珠で直るか?」
「いい加減、新しいの買えよ」






    □□□□

 ↓↓エピソードが短かったのでサブエピソードです。

『燃えた頭』



「よぉ、横島……」
「だ、誰だ!?お前………」

「このやり取りも慣れてきたな。もう、突っ込む気にもならん……」
「いや、本当に誰だよ?」


 マジで分からん。こんなイガグリ(・・・・)頭………


「渡辺郡だよ……」
「……………あいつは、アフロだろ?」

「…………お前は、髪で俺を判断してたのか?」
「いや、皆アフロと眼鏡で識別してたと思うけど……本当にお前なのか?」


 そう言えば、眼鏡(伊達)もねぇ……


「嘘付いても仕方ねぇだろ?燃えちまったんだよ……」
「………も、燃えたぁ!?」


 何故か遠い目をするイガグリ(アフロだったらしい)に聞き返すと、そいつは勿体付けるようにゆっくりとした口調(早く喋れよ)で語り出した。


「昨日の昼……爺ちゃんが、庭の落ち葉を集めて燃やしてたんだ。所謂、焚き火って奴だ」
「ああ……」

「始めは興味無かったんだけど、爺ちゃんが「どうせなら焼き芋にしよう」って言い出して、腹が減ってた俺も焚き木に加わったんだよ」
「……………………」


 何となくアホ(・・)なオチが想像が付いた……


「そうやって、芋を見てたら__」
「髪が燃えてたのか……?」

「そう………もう、メラメラと……いつの間にか、火花が飛んでたらしい。2人共、芋に夢中で気付かなかった」
「火傷は大丈夫なのか?」

「それは、平気だ。髪が多くて助かった」
「………いや、髪が多過ぎて、気付かなかったんじゃねぇか?」

「言うな……解ってる」
「ついでに聞くが、眼鏡はどうした?」

「ああ。それは、2人で擦った揉んだしてる最中に__」
「落として踏んづけた?」

「……冴えてるな」
「いや、それしかねぇだろ?」

「こん畜生が……あれ割と高かったのに、バラバラになっちまったよ」
「そ、そうか……災難だったな」


 でも、言い方を変えればこれで綺麗(・・)な身(元通り)に成れた気もする………


「はぁ……俺には、アフロ神が憑いてたんじゃなかったのか?」
「多分、髪様飽きちゃったんだよ(テキトー)」


 いや、この前 “毛羽毛現” ってきったねぇ妖怪に憑かれてたな。神は、嘘だけど……

※『髪様』『毛羽毛現』参照

「はぁ……」
「気ぃ落とすな。時期的に丁度良かったろ?」

「丁度良かった?」
「お前、進学だろ?面接だってあるだろうに、それ(アフロ眼鏡)じゃ絶対アウトだしな」

「…………何で?」
「いや、何でって……」


 眼鏡(伊達)は、ともかく試験でアフロは普通に考えてヤベェだろ?ミュージャンの面接じゃねぇんだぞ。


「折角、それに合わせて大きくしてたんだぞ」
「逆だ。寧ろ縮小しろ」


 だから、汚れが溜まんだよ……


あれ(アフロ)は、俺の魂だ!」
「受かってから、戻しゃいいだろ?」

「お前の力で何とか出来ないか?」
「そんな状態じゃ無理だわ……」


 せめて、燃えた直後なら修復出来たかもしんねぇけど、完全に刈り取った後じゃな……

 『毛』『根』『促』『進』なんてやれば、髪を伸ばす事は出来るかもしれない。こんなアホな要望の為に絶対やらねぇけど………


「ああ……俺の魂が………」
「存在感が一気に無くなったな」


 個人的には、教室入る度に目に入るあの暑苦しい頭が無くなって嬉しくはある。だから、このサッパリしたイガグリを見ると、とても新鮮な気分になるぜ♪


「頭が寒い……」
「冬だからな」

「心が寒いって意味だ!」
「伸びたらまたやれよ!」


 いや、やっぱやらんでいい………

 なら、今度はイガグリの神でも降臨させてやるか?



 ……………それも止めよう。面倒くせぇし……


 
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