| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師

作者:wood12
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

懺悔(復讐の劣等生編)

《???》


“ギギャーーーーーーーーッッ!!”


 どすーーーーーんっ!!


「…………思った以上に脆いな」
「ああっ!?朋友(ポンヨウ)ぉぉ!!」

「 “朋友” ………中国語で “親友” か……だが、安心しろ。壊れちゃいねぇ」
「よくも、よくも……朋友を………!!」

「お前が、人の話を聞かねぇからだ……」


 呪ってやるっ………!!

 畜生っ!畜生っ!畜生っ!畜生っ…………!



   ◆◆◆


「来いっ! “朋友” !!」


 僕の掛け声と共に、ポケットに収まっていたとは思えないような質量の物体が顔を出す。

 折りたたんでいた式神が、僕の霊気に反応して実態化。その巨体およそ3メートル半。


“ギギギギギッ………!”


 1つ目の妖怪の様な見た目の上に色んな依り代を繋ぎ合わせたから、格好はかなり不格好だけど大きさ通り力は人間以上だ。


「簡易式神の継ぎ接ぎ(つぎはぎ)か……」


 そして、ずっとイジメられて来た僕にとって、初めて出来た唯一の味方で、唯一の友達………僕の “朋友” だ!


「解ってるのか?それ、完全に直ってねぇじゃねぇか……」
「煩いっ!やれ!朋友!!」
“ギィーーーーッ!”


 こいつらに、思い知らせてやる!僕の力を!!

 そんな僕の意思に呼応するかのように、朋友はアンバランスだけど太く逞しい腕を振り被り、そして………




 ドヴァーーーンッ!!



 ………………………………………………………………あれ?


 …………な、何が起こったんだ………?


 は……弾けた………朋友が弾けた…………?こいつが、触れたと思った瞬間に……


 ………………ぽ、朋友……



「朋友ーーーーーーーーっっっっっ!!!!!」



 ああぁっっ!!


 ああああぁぁぁっっっ!!



「うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっ!!!?」



 朋友がぁ……!!!僕の朋友がバラバラになっちゃったよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!



“ギ…………ギギぃ……”
「朋友おおぉぉっ!!?」


 吹き飛んだ朋友の頭を………辛うじて残った朋友の頭を僕は、脇目も振らずに駆け寄って抱え上げる。膝を着いた瞬間、焼けた地面の熱が伝わって来たけど、そんな事構っちゃいられなかった。


「あああぁぁっ……だ、駄目だぁ〜…………!!」


 残った頭の霊気もどんどん抜けてく………もう、治せない。もう、治せないよおおおおぉぉっ!!


「奴は、言った筈だ「次は無いと」……」
「あああぁぁぁ〜〜〜〜〜〜っ!!」

「………そいつは、もう駄目だな。元々、霊的結合が弱かった上に短期間で2回も壊されたんだ。今のように吹き飛ぶのも当然だ」
「ぽんよぉぉぉぉぉっっっ!!!!」

「………… “友達” か、大層な名前を着けたもんだぜ」
「……………!?」

「そいつ……本当に、お前の友達なのか?」
「ああぁ、当たり前だろぉぉうっっ!!朋友は、僕の大事な友達なんだぁ!!」

「そうか、可哀想にな……」
「可哀想っ!?お前が壊したんだろぅ!!」

(けしか)けたのは、お前だろうに?そいつは、壊れかけだったんだぞ」
「うっ………」


 その冷静な指摘に完全に取り乱してた筈の僕は、再び固まってしまった。今までの、どの言葉よりもその一言は、僕の胸に突き刺さったからだ。

 そんな僕の目を見ながら、そいつは更に続ける。


「お前が無理に嗾けなきゃ、そいつは壊れる事はなかった。解ってた筈だ。どうして、そんな事をしたんだ?」
「……………………」

「どうして、お前は怪我をした大事な友達をわざわざ危険に晒したんだ?」
「……………………」

「お前にとっての友達は、少しムキになったくらいで簡単に切り捨てられるものなのか?」
「……………………」

「………………もう、1回だけ聞こう。そいつ……本当(・・)に、お前の友達なのか?」
「うぅ………あああぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜!!」



 そこが僕の限界だった……

 もぅ、喋る事も出来なくなった朋友を僕は、目一杯抱き締めた。霊気が尽きれば、ただの紙屑になってしまう彼を僕は抱き締める事しか出来なかった。

 涙が止め処なく溢れて来た。自分の中が後悔と罪悪感で一杯になって、どうにかなってしまいそうだった。

 この時の僕は、目の前に居る人の言葉の半分も理解する事が出来ていなかったし、自分の何がイケなかったのかも良く解っていなかった。

 だけど、これだけはハッキリと理解する事が出来た。


「ごめん……ごめんよぉ〜〜朋友ぅ〜〜っっ!!!」


 僕は、取り返しのつかない事をしてしまったと………




    ◆◆◆

《15年後》


「………………それは…本当の話なんですか?先生……」
「はははっ、確かに疑いたくなるような話だね」


 話の荒唐無稽さに、どう反応してよいか解らないと言った感じの弟子に私も苦笑しながら答えた。


 ここは、私の事務所。

 2人で事務作業をしていた時に、いつの間にか互いの昔話になったので良い機会だと思い、私がGSを志すようになった切っ掛けを話し終えた所だった。


「もう……どこから、突っ込めばいいか………だけど、中学生だった先生の喧嘩を売ってしまった相手が、 “神魔戦争” で活躍した2人だったなんて……」
「…………今、思い出しても無茶苦茶な事をしたと思ってるよ。本当に無知とは、恐ろしい……」


 当時の2人はGSとして、まだ若手だったとは言え、それでも上級魔族を退けるだけの力はあった(人間なのか疑わしい、と言う噂まで既にあったくらいだ……)。同じ条件でやりあったら、私なんて塵も残らなかっただろう………


「ただ、あれが私の人生の転換点だったのは、間違いない。あの時、2人に出会っていなかったから、私は今でも碌な生き方をしていなかっただろうね」


 それどころか、命すら失っていたかもしれない。それくらい、当時の私の精神状態は酷い物だった。

 2人なら、あの時の私を警察や協会に突き出すくらい簡単だっただろう。でも、彼等はそれをしなかった。その事については、感謝してもし切れない。


「……あの、先生」
「ん?」

「そのお2人には、その後お会いになられたんですか?」
「ああ、会ったよ。3年前に偶然2人を見掛けてね」


 あの時は、我も忘れて駆け出していた。

 何か考えがあったわけじゃない。ただただ “あの時” の事を謝りたかった。そして、お礼が言いたかった。


「それで、その時は何と?」
「武威さんは残念ながら、私の事を覚えていなかったよ。でも、鴉さんは覚えていてくれた。そして、言われたんだ「立派になったな」と……」


 その時は、嬉しくて涙が出て来た。今まで自分の積み上げて来た事が報われた。そんな風に感じた。

 あの出会いは、今でも思い出すのが恥ずかしくなるような黒歴史に違いない。だけど、それと同時に私の貴重な “財産” でもある。


「それは……凄いですね。三界唯一と言われる人に」
「ああ、私の誇りだよ」

「でも………」
「ん?」


 どうしたんだ?急に口籠って……


「その……残念でしたね。先生のその式神………」
「ああ…………ふふっ、その話か……」




    ◆◆◆



 パアァァァァァ〜〜〜〜〜〜ッ!!



 な、何だ……温かい!?これは、霊気の光!?

 光が朋友に………………か、形作ってく……!!!?



“ギ…………!?ギギッ??”
「朋友!?大丈夫なのかい!!?」


 バラバラに………粉々になった筈の体が全て元通りに……いや、違う。継ぎ接ぎだらけだった体の線まで消えてる!

 そ、そんな………一体何が?


「1度だけだ……」
「えっ?」


 僕の傍に立つ、その人は淡々と告げる。


「お前のそいつを想う心に免じて、1度だけは戻してやる。これに懲りたら、もう2度と此処には来るな」


 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧