『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師
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衝突(復讐の劣等生編)
《???》
ドゴォッ! バキィ! バコォッ……!
「ヒィっ……!!」
「や、止めてくれ……」
「………俺達が悪かった」
許す訳ないだろ………お前等は、いつも僕がそう言ってもずっと殴り続けた。今度は、お前等が殴られ続けるんだよ。
「………………その辺にしとけ。死んじまうぞ」
「!?」
◆◆◆
「ふっっっざけるなぁぁっ!!!」
さっきまで体を支配していた恐怖を、怒りで強引に振り切った勢いのまま振り返る。
ふざけるなっ!ふざけるなっ!ふざけるなぁっっ!!どいつも、こいつも僕を馬鹿にしやがってぇっっ!!
その振り返った先には、1人の若い男が立っていた。上下をGジャンとGパンに固めた20歳くらいの男で、頭に巻いた赤いバンダナと長めの髪が特徴的だった。
そして、その下に張り付いた表情は………ただの “無感” だった……こっちは激しく怒り狂ってるのに、そいつの所為で怒って睨み付けてるのに、当の本人は別に驚く訳でも怒るわけでもない。ただ、じっと僕を眺めるだけ………
無意識に奥歯を噛む。
糞っ垂れ……!表情まで、あいつと一緒かよ!!
僕の事を認めるわけでもない。かと言って、馬鹿にする訳でもない………ただただ、ひたすらに無関心。僕なんて、まるで眼中に無いと言わんばかりだ。
蛆虫がいくら吠えた所で、どうでもいい…………そうに言いたいんだなっ!!
案の定、目の前のそいつは僕の態度なんてお構い無しに口を開く。忌々しいったら、ありゃしない!
「武威が言っていたよ。いつか、お前が来るかもってな……」
「!?」
あいつが……僕がここまで来るのを予想してた?
それと、あいつが言ってたと言うことは、話したって事だよな?なら、やっぱり目の前のこいつと、あいつは仲間同士って事だな。
「ここに来たのは、奴に復讐する為か?」
「…………だったら、何だってんだよ!?」
「何が納得行かないんだ?奴は、お前の復讐を容認したんだぞ」
「ふざけるなっ!容認したんなら、何で邪魔するんだよ!?」
「それも、言った筈だぞ「やり過ぎ」だってな」
「余計なお世話だ!お前等に僕の何が解るんだっ!?」
「何も解らないから、こうして聞いてる。あのままやったら、連中死んじまったんだろ?それとも、殺す気だったのか?」
「そんなの………!?お前等には、関係ないだろ!」
「確かに関係はない。だけど、死にそうな人間が居たら、取り敢えず手は貸さなきゃならない。市民の義務って奴だよ。解らない訳じゃないはずだぞ」
「……偉そうにっ!あいつらが今まで僕に何をしたか__」
「だから、それを聞いてるんだよ!…………ああ、一応言っとくが、こっちは今直ぐお前をふん捕まえて、警察に突き出したっていいんだからな。「他人の家の前で、怪しい事をしてたって」言ってな」
「……………………!?」
「やるのは簡単だぞ。だけど、何も聞かずにそれをやるのは……少しだがお前が不憫だ。だから、こうしてわざわざ聞いてる」
「……………………」
「どうした?また、だんまりか?こっちは、お前の事情を聞こうって言ってるんだぞ。お前の言うことが正しいなら、ここは見逃したっていい」
「……………………てた」
「解からん。はっきり、喋れ」
「だから、イジメられてたんだよ!!」
「それは、もう聞いてる……一体、いつからだ?」
「幼稚園の時からだ!」
「………随分長いな。お前、今幾つだ?」
「…………14」
「10年近くもイジメられてたのか?相手は、この前の連中なのな?」
「違う………」
「じゃあ、毎回色んな奴にイジメられたのか?何の抵抗もせずに?周りの大人は何してたんだよ?」
「……………………」
「相談しなかったのか?」
「…………したさ。でも、その場だけ注意してそれで終わりだ。ほとぼりが冷めれば、またイジメられた。周りの大人なんて信用出来ない」
「…………なるほど。お前のその不満ぶりを見れば、理不尽な目に遭ったと言うことは何となくだが解ったよ。お前が “式神” を使ってまで、復讐しようとしたのも理解は出来る」
「だったら……!」
「邪魔をするな……か?それでも、人を殺すまではやり過ぎじゃないか?」
「そんなの……勝手に決めるなよっ!」
「なら、どこまでする積りだったんだ?連中は、もう立てなかったらしいじゃないか。それ以上やったら、死ななくても深刻な後遺症が残る可能性がある。お前の立場が更に悪くなるぞ」
「ぐっ………」
「もう一度言うが……奴は、お前の復讐を否定したんじゃない。俺も、お前の全てが間違ってるとは思わん」
「じゃあ、どうしろって言うんだよ!?言ってる事が違うじゃないか!」
そうだ……僕は、悪くなんかない。悪いのは、僕を面白半分に誂って、殴り続けた彼奴等だ!
「ここまでにしとけって、言ってるんだ。今回の復讐で連中も、お前に手を出したらヤバいって気付いた筈だ。それでも手を上げられたら、その時は式神で反撃すれば良いだろ?」
「嫌だねっ!!」
気に入らない……全部気に入らない!
どいつもこいつも、なんだかんだ言って僕を止めようとして来る!
「何故?」
「何で、あんた達に一々指図されなきゃいけないんだよっ!?僕は、僕のやりたいようにやる!」
「指図じゃない。提案だ」
「あいつも、あんたも僕に口を出してる事には、変わらないじゃないか!」
「お前のしてる事が、ヤバいから言ってるんだけどな。そもそも、お前奴の車に何する気だったんだ?」
「煩いっ!煩いっ!!2人揃って、僕のする事を否定しやがって!しかも、あいつは僕の長年掛けて作った式神を壊しやがったんだぞ!!」
そうさっ!
あれは、小さい時から買いたい玩具やお菓子も我慢して依り代を少しずつ買い溜めて……そうやって、あそこまで動けるようにしたんだぞ。
それだけじゃない!何年も勉強して、何年も僕の霊気を注ぎ込んで作り上げた。僕の人生の集大成なんだ。
それを勝手な理由で傷付けやがってっ!!
「直せばいいだろ?奴は、完全に壊した訳じゃないんだからな」
「壊しといて何だよ?その言い草!!復讐は、僕の “生き甲斐” なんだ!誰にも邪魔なんかさせるもんかっ!!」
復讐は、僕にとって神聖なる儀式に等しいんだ。それを横から出て来た連中がとやかく言って良い訳がないっ!!
「生き甲斐……?復讐が?今もか?」
「そうだよっ!!ずっとイジメられて来たんだぞっ!!当然だろっ!何がおかしいってんだ!!?」
復讐は、神様が可哀想な僕に許してくれた唯一の特権!
僕だけに許された、当然の行為なんだ!
「…………ふっ」
「……………………!!?」
嗤った……!?こいつ、僕を嗤いやがった!!
僕は、被害者だ………僕の事情を理解したこいつは、僕に同情して黙りこまなきゃイケない筈だ!あいつの代わりに、こいつが僕に謝らなきゃイケない立場と言ったっていい……それなのに、嗤いやがったぞっ!!
「復讐は、既に終わってる筈なのに、復讐が生き甲斐か……面白いな………」
「何が……何がおかしい………!!?」
やっぱり、こいつも彼奴等と一緒だ。口で理解してるみたいな事言いながら、僕の苦しみをまるで理解してない。
復讐は、被害者である僕の当然の権利なんだ。だから、彼奴等はずっと僕に殴られなきゃイケないんだぞ。
糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!
「解らないか?お前、イジメられたから復讐するんじゃなくて、生き甲斐だから復讐するって言ってんだぞ」
「……………………」
…………………………許せないっ!許せないっ!許せないっ!
「始めは、武威がお前の信念らしき物を傷付けたから、ここへ来たと思っていた。でも、違うんだな……」
「……………………」
糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!
「お前は、ただ奴に腹いせの私刑がしたかったんだ。復讐なんて言っちゃいるが、それはそんな糞みたいな事してる自分を “正当化” する為の方便に過ぎなかった訳だ」
「……………………」
糞!糞!糞!糞!
「…………違うっ!!」
「どうに違うんだよ?本当に復讐が大事なら、その直した式神で、もう一度連中をボコりに行けよ。こんな所まで来る暇なんて、無いはずだぞ」
式神を持ってる事もバレてるか………糞!糞!糞!糞!糞!糞!
「あいつが、僕の邪魔をするからだ!」
「だから、それがただのこじつけだって言ってんだよ。普通なら、少し自分を否定されたくらいで仕返ししようなんて考えない。お前、復讐の為なら何しても良いなんて思ってんだろ?復讐は、お前の全てを許す “免罪符” じゃないぞ」
僕は、何も悪くなんかないっ!!
悪いのは、僕を「弱そう」とか「暗そう」とか「気持ち悪い」とか言って、馬鹿にした奴等。そして、僕のする事を否定する連中全てなんだっ!!
何で、目の前のこいつはそれが理解出来ないんだ!!
畜生っ!畜生っ!畜生っ!
「……………………」
「今のお前は、自分だけで正しくて、自分だけが悲しい。自分だけが割を食ってる。自分だけが損してる。だから、全てに復讐してやる。何をやっても許される。自分だけが、正しいんだからな。まぁ、復讐と言うより “八つ当り” と言った方が的確だろうが……」
畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生!畜生………………!
「……………………」
「……どうなんだ?当たらずとも、遠からずって所だろ?違うと言うなら、言ってみろよ。お前に筋が通ってんなら、俺が謝ろう」
糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞…………………………!!!
「……………………」
「今直ぐ、ここから帰るなら見逃してやる………と、言いたいが、その顔じゃ無理そうだな」
ポケットから両手を出した!?僕を取り押さえる気だ!
させないそっ!!そんな事は、絶対絶対させないからなっ!!
こんな奴等に僕の復讐を……僕の “正義” を止めさせてなるもんかっ!!?
僕はコートのポケットに突っ込むと、念を込めながら一気に引き出した!!
「来いっ!!《朋友》!!」
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