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『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師

作者:wood12
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浅薄(復讐の劣等生編)

 
前書き
一応新章 

 
《???》


「呪ってやる……!!あんたを絶対に呪ってやるからなぁっ!!!」
「はっ、無理だな。お前の力じゃ、精々自滅して終わりだ」



 糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!糞!糞!糞!糞!糞!糞!糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞っ……畜生っっっ……………………!!!




    ◆◆◆



「ハァ、ハァ……」


 …………ここは、工場街の外れにある人気(ひとけ)の無い一画。

 僕は、そこで膝に手をついて肩で息をしていた。これで、一体何度目だ?

 もう、1時間以上も同じ事をしてる気がする………


 目的の車は、もう見えてる。多分、あいつ(・・・)の車?

 ここから、距離にして約数十メートル……走れば、10秒と掛からずに辿りつけるだろう。


 だけど、それを出来る気がまるでしない……

 理由は簡単。宙を無数に漂う奴等(怨霊達)が邪魔で、辿り着くことはおろか、近付く事すらまま(・・)ならないからだ。
 連中の隙を見て近寄ろうとすると、直ぐに襲い掛かって来る。仕方なく、その場は全力で逃げてやり直しても、結局は襲われてまた逃げる…………さっきから、ずっとその繰り返し。

 元から体力に自信がある方じゃない。寧ろクラスでは、下から数えた方が早いだろう。その上、今はダッフルコートと言う重い上着を着た上に、リュックまで担いでいる。だから、何も出来てないにも関わらず、体は既に疲労困憊だ。


「今日は……諦めた方がいいのかな………?」


 寒風に吹かれながら、完全に途方に暮れた感じで独りごちる。

 既に時刻は、午後の4時に近い。12月に近い今の季節では、日は沈み掛かかり周りは暗くなり始めている。
 後、1時間もしない内にこの辺りは、完全に暗くなるだろう……そうしたら、連中は更に暴れ回る。

 夜は、あいつら(怨霊達)の独断上なんだ。そんな事は、霊能に関係ない一般人だって知ってる。


 ………………だけど、本当にここは何なんだ?

 僕は、除霊事務所の住所を探した筈だ。なのに、目の前にあるのは物凄く汚れた3階建てのビル。そして、その周りにはさっきまで散々僕を追い掛け回してくれた多数の怨霊達がウヨウヨ……

 今まで、除霊事務所には行った事が無い。だから、そこがどういった場所何かと言うイメージが曖昧ではあった。だけど、流石に周りに怨霊の居る事務所なんて、普通に考えてあり得ないだろ?

 これじゃ、除霊事務所と言うより誰も近寄りたがらない “幽霊屋敷” じゃないか。そんな所に居るGSに、誰が除霊なんて頼むんだよ?


 ここに来た時、始めは間違えたのかと思った。

 それは、そうだ。あの汚さと怨霊達を見れば誰だって、あれが人の使ってないボロビル………と言うか、廃墟くらいにしか思わない。

 だけど、ビルのすぐ近くには年季は入っているけど、人の使っている感じのする4WDがある。何より、とても人の入らなさそうな外観に反して、窓の中の明かりはしっかりと着いてるのだ。それが、ここが廃墟でなく人の出入りのある建物である証拠に他ならない………


 でも、そこから先が完全に手詰まりだった。

 ここが、人の居る……かもしれない建物である事は、解った。ただ、そこが自分の目指してる場所であるかがどうか解らない。あそこには、看板はおろか表札だって無いから確認しようがないんだ。

 近くに行けば小さいのが在るのかもしれないし、車の方に行けばあいつ(・・・)を示す何かが見つかるかもしれない。
 そう思って、近寄ろうと何度もチャレンジしたのだけれど、結果は今の通り………

 さっきは、近寄る事も出来ないと言ったけど、実際は近寄る算段すら着きそうにない。



 本当にどうしよう……?

 口に出したように、今日は本当に諦めて帰るしかないだろう。夕飯の時間までに帰らないと、親が心配して怒り出す。だけど、次は…………今度は、朝にでも来ればいいのだろうか?
 朝の日が高く登ってる時間帯なら、奴等の数も動きも今よりは落ち着く可能性があるかもしれない。

 ……………ただ、その想定も甘い気がしてる。

 怨霊や悪霊は、普通こんな時間帯に現れる事はないんだ。今は、薄暗いけど僕が来た時はまだ日が上がっていた。それなのに、こんなに居ると言う事は、それだけがここが特殊な場所と言う証拠だと思う。朝が来たくらいじゃ、絶対に消えない。



「何か……何かないか………?」


 建物を凝視しながら、苦々しく呟く。

 ここに来るまでに、家から電車を何時間も乗り継いで来たんだ。しっかり、 “準備” だってして来てる。それなのに、何も無しじゃ帰れない。

 あいつ(・・・)に思い知らせる “何か” が欲しい。何でもいい。何か、本当に何か無いか…………?



「…………………………」




 ………………………… “何か” って、何だよ!!?


 思わず僕は、頭をワシャワシャと掻きむしる。

 さっきから、ここでずっとあの汚いビルを見てるだけで何も出来てないじゃないか!?それなにの、そんな都合の良い物転がってる訳ないだろ!?

 そもそも、ここがあいつの事務所かどうかも解らないのに、こんな事してて何か意味あるのか?これで間違いだったら、本当にただの無駄足だぞ!


 …………もしかして、電話帳に載ってた記載を見間違えたのかな?

 こんな事なら、GS協会にあいつの名前を問い合わせた時に、しっかり住所まで聞いておけば良かった。怪しまれても嫌なんで、すぐに切ったのはマズかったな………なら、もう1回……駄目だ、それこそ怪しまれる。


「くぅ……」


 食いしばった歯の間から、自然と息が漏れる。それと同時に拳にも力が入る。

 無性に苛々して来た……忌々しいったらない!ここまで来て何も出来ないなんて、ふざけてる!!

 何で、こんな建物があるんだよっ!?それに、何でこんな所に住んで(?)るんだよ!?頭、悪いのかよ!?良く良く考えたら、中の連中は毎回どうやって中に入ってるんだ?除霊するのか?あんな数を一々?それとも、異次元の扉でも開いてそこから出入りしてるとか?馬鹿馬鹿しい……そんな事あり得ない。

 あの車にしたってそうだ。ここにあるから何となくあいつの物だと思ってたけど、良く考えたらあいつは “あの時” 車なんて乗ってなかったじゃないか。 “ワンコ” とか呼んでる変な犬の妖怪女にチャリを引っ張らせて、凄い速さで立ち去ったんだ。

 だから、あいつの物じゃないかもしれない。全然、関係ない人間の物なのかもしれない。あいつのじゃない車の為に、今まで必死になって逃げ回ってたと思うだけで虫唾が走って来る……!!


 糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!!

 何でだ!!?何で僕が、こんな気分にならなきゃいけないんだ!?何で僕が、こんな想いをしなきゃいけなんいだ!?何で、僕がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!?


 全部……全部あいつのせいだ!あいつさえ居なきゃ、こんな事には成らなかったんだ………!!



「何が「行けぃ!ワン号」だっ!!大の大人が恥ずかしくないのかよっ!!?馬鹿にしやがって!!糞っ垂れっ!!糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!糞!糞!糞!糞!糞!糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞__」



 激情が止まらない。自分の中に溜まりまくっていた鬱憤を、バケツに溜めた水をぶち撒けるように一気に___



「うるせぇな……一体、何回言う気だよ?」
「!!!?」




 ……………………いきなり聞こえた声に、一瞬息が止まるかと思った。

 だ……誰だ?後ろに居るのは??

 若い男の声………全く気付かなかった。いつから……いつから、そこに居たんだ?

 振り向いて相手の正体を確認したい。だけど、驚きと恐怖が体を硬直させたせいで、僕は拳を握ってビルに向かって怒鳴ると言う不自然なポーズから全く動く事が出来なかった。それどころか、声すら出せない………

 そして、そんな僕の状態を知ってか知らずか、声は始めと同じ調子で淡々と続く。


「ふっ……ワン号か。確かに恥ずかしいかもな」


 あいつが、後ろから来たのかと思った。でも、違う。イケイケな感じのあいつの声と比べて、こっちは冷静で落ち着いてる。


「でも、誰かに迷惑掛けてる訳でもない。あいつらの仲の良さを示してる様で、俺は嫌いじゃないぜ。真似したいとは、これっぽっちも思わないけどな……」


 どうする?

 相手は、多分大人だ。僕の体力じゃ逃げる自信が無いし、用意して来た道具はちゃんと準備しなきゃ役に立たない。なら、 “アレ” を使うか?悪霊には、効かないけど人間相手なら………いや、駄目だ。

 ここに居るって事は、こいつはGSかもしれない!GSじゃ、アレの一撃も簡単に防がれる。

 あいつみたいに……!


「お前は、何でそんなに嫌がるんだ?もしかして、お前にはそういう相手が居ないのか?」
「…………!!?」


 なんだと…………!!?

 体が思わず、力が入る。こいつ……僕の気にしてる事を………!


「図星みたいだな。まぁ、ずっと(・・・)コソコソ逃げ回ってる時点で大体予想は着いてたが……」
「…………!?」


 この野郎っ…………!!

 体が小刻みに震え出した。それが、自分でも解る。でも、そんな事を気にしてる余裕は既に無かった。

 後ろに居るこいつも、あいつと同じだ。僕の事を何も出来ない蛆虫みたいに見てるんだ。


「そろそろ、振り向いたらどうだ?いつまでも、ビビってないで」
「………………!?」


 ………………畜生。


「それとも、俺がお前の前に回ってやろうか?怖くて何も出来ない、お前の為に」
「………………………………るな」


 お前に……お前に何が解る……!


「何だって?」
「…………………………けるな……!」


 お前に、僕の何が解るってんだ………!!


「ちゃんと喋れ!そんなんだから、イジメ(・・・)られるんじゃないか?」
「ふっっっざけるなぁぁっ!!!」


 目の前が……見える物全てが真っ赤に染まる。

 完全に頭に血が上った僕は、怒鳴った勢いのまま後ろへ振り返った!



 ふざけるなっ!ふざけるなっ!ふざけるっ!ふざけるなあぁっっ!!

 糞っ!糞っ!糞っ!糞っ!糞!糞!糞!糞!糞!糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞糞っっ…………!!!

 
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