『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師
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白虎
前書き
虎シリーズ。ステルスに新たな人格が……!?
「お初にお目に掛かります。私は “白廉” 以後、お見知りおきを」
「ご丁寧にどうも……」
自分の中では訝しさが爆発してるが、相手の丁寧な物腰に流される形で、こっちも同じように対応する。
ただ、かなりぎこちなかった気がする……
ここは、学校の屋上で昼休みの最中。この場に居るのは、俺にピート……
そして、目の前で胸に手を当てて軽く礼をする。白虎の獣人 “白廉”
2メートルを越える均整の取れたスラっとした長身。全身を覆う見事な白い体毛。それを、これまた白いヒラヒラとした民族衣装に身を包んで、木製の長棒を持って立つ姿は、落ち着きがありながらも隙の無い居住いを感じさせた。
「凄まじい変わりようだな……」
俺は唸るように言葉を紡ぐ。
これは、誇張でもなんでもない。修行の成果を見せると言われて紹介されたわけだが、普段の暑苦しさが微塵も感じ取れない……その涼し気な立ち振る舞いに俺は、ただただ呆然とするしかなかったんだ。
そして、当の本人は、そんな俺の内心を知って知らずか、顔に微笑をたたえながら穏やかに返して来る。
普段の野太いおっさん声からは想像も着かないくらい、高くて透明感のある優しい声だった(何故……?更に言えば、訛りも綺麗に消えてる)。
※CV石田彰氏(希望)
「フフッ…そうかもしれません。しかし、私も間違いなく “大河寅吉” から生まれた存在。余り深く考えずに受け入れてくれると助かります」
「………僕も初めて見た時は驚きましたけど、彼の言うことは本当ですよ。見た目だけじゃない。考えや、性格。動きに至る全てが別人。決して、演技でしてるわけじゃありません」
「いや、演技じゃないのは雰囲気で分かるよ。そうじゃなくて、ス…タイガーから彼が生まれた事実がイマイチ信じられなくてな」
まぁ、見た目に関しては精神感応で見せてるだけで、そこに居るのはいつものむさ苦しいゴリマッチョだろうがな。持ってる棒も本物じゃない。おそらく、棒状に半具現化した霊気を棒のように見せてるんだろう。
「寅吉は、 “もっと速く動きたい” “武器を上手く使いたい” そう考え続けて、私を生み出しました」
「……そんなんで、人格なんて生み出せるもんなのか?」
「……で…でも、彼が言うんだし」
ピートも自信無さげじゃねぇか……
「ま…まぁ、いいや。じゃあ、お前達はス…タイガーを含めると全部で “4人” なんだな?」
元から居たステルス。俺や雪之丞とやり合った暴獣。まだ見てないが、ピートと修行中の赤虎に目の前のこいつ。
「そうですね。今、表に出られるのは、4人です」
「……表に出られる?」
「はい。その他にあと “2人” 居ます。ですが、まだ人格が安定してないので出せないんですよ。ただ、おいおい紹介出来るでしょう」
「そうなのか……?」
今度は、白廉と名乗る白虎ではなくピートの方を向いて尋ねる。正直、さっきのやり取りでこいつもあまり詳しく把握してないとは思ったが、流石に本人の言うことを鵜呑みにするには勇気が要った。
「……らしいですね。詳しいことは、僕にも秘密なんですよ」
「出て来てからの、お楽しみですよ♪」
「………………」
……爽やかな声で笑いやがって。なら、質問を変えるか。
「ふ〜ん……なら、出会いを楽しみにしてるよ。だけど、あんたはちゃんと見せてくれるんだろ?」
すると、今度は待っていましたとばかりに顔を綻ばせる。
「勿論ですよ。今から私の武技をお見せしましょう♪」
……ハッタリを言ってる感じじゃないな。顔に自信が見て取れる。この辺も、普段オドオドしてるあいつとはエラい違いだ。
「では、始めます」
白廉は俺達から少し離れると、持っていた長棒を静かに構えた。
力を入れるでもなく、気合いを入れるでもない。ただ、呼吸を整えるように棒の位置をわずかに調整する。
そして、次の瞬間、奴の姿が霞んだ。
「………っ」
……足音がほとんどしない。
巨体を全く感じさせたない軽やかな動き。白い民族調の衣が風を切る音だけが、わずかに屋上に残る。
棒が横に流れる。縦に落ちる。回転し、止まる。一つ一つの動作が、余分な力を削ぎ落としたように滑らかだった。
戦国時代に存在した僧兵や、アフリカの先住民が繰り出すような豪快さはない。あるのは、最短距離を選ぶような精密さと、それを支える速度だけ。
来ているのは民族衣装たが、動きは洗練された中国武術と言った感じだ。
横に居るピートが無意識に息を呑むのが分かった。
白廉の体が低く沈み、棒の先端が空を突く。持っている棒が、一瞬だけ白い軌跡を残して消える。残像ではなく、速度が視力に追いついていないだけだ。そんな光景を何度となく見せられる。
「ここまでです」
気がつけば、奴は最初の位置に戻っていた。恐らく数十秒くらいの出来事だったんだろうが、それを気に出来ないくらい魅入っていた。
奴の息は乱れていない。微笑みも崩れていない。棒を縦に立て、再び胸に手を当てて軽く礼をする。
「いかがでしたか?」
……どう見ても、付け焼き刃で身に付けたような動きじゃない。何年も、何万回も気の遠くなるような反復鍛錬を繰り返した者だけが到達出来る至高の武技。
ステルスが、そんな武術身に付けてるとは聞いたことはないし、多分してないだろう。
ただ、俺にはそう見えて仕方なかった。
今回は演舞。手を抜いた訳じゃないだろうが、本気でもない。もし、命の取り合いになったら、奴の技はどれだけ鋭さを増すんだ?
「凄まじいな……」
前と同じ言葉を吐き出す。意味は一緒。ただ、込められた感情がさっきは疑念。今回は純粋な感嘆だ。
「それは、良かった。あなたが、そう言っていた事を寅吉が知れば喜びますよ♪」
「本当か?俺は、GSの免許すら持ってないんだぞ?」
嘘だけど……
「でも、手合わせでは、あなたに触れることすら出来なかった。彼の記憶には、そうありましたよ?」
「そりゃ、あいつの動きが鈍すぎるからだ……あんたが相手じゃ、んなことにはならねぇさ」
間違いなく苦戦はするだろうな。
ただ、単純な速さなら暴獣の方が速かった。それに加えて、奴には何をしてくるか分からない怖さがあったが、こいつは洗練されてる分それがない。
その違いが、どう影響するかは実際立ち会ってみないと分からないだろう。
「本当ですか!?ますます嬉しい♪」
「その動きも、全部タイガーの想像から生み出されたのか?」
「一言で言えば、その通りです。ただ、寅吉は……おっと、もう時間だ」
時間?休み時間のことか?確かに、残り少ないと思うが……
「それでは、横島さん。いずれ、手合わし致しましょう。ピート。君とは、またすぐに会いそうだね」
「あぁ。またね、白廉」
「………………」
早口に……だけど、爽やかにそう言い切ると、それと同時に歪み出す奴のシルエット。
そして………
「おおっ……戻ったんジャぁ…」
※CV江川央生
俺達の前には、いつものむさ苦しいステルス野郎が立っていた。その様子は、おっさん(18歳)が夢遊病から目覚めた直後と言ったような感じで、当然さっきまでの出来事なんて覚えてないだろう。
「お疲れ様。タイガー」
「お前、変身解除は自由に出来るわけじゃないんだな」
ピートはステルスを労っていたが、俺の方は気になったので質問を優先した。
「な、なんで、それを……!?」
「さっき、白虎が言ってたよ「時間だ」って……予め変身時間を設定してるのか?」
あの言い方だと、奴にも変身に対する主導権はないんだろう。だと、するなら……
「そ、その通りです。変身して戻れなくなったら困るんで、始めに「何分したら戻る」みたいに決めとくんジャ」
「なるほど……」
やっぱり、そうか。変身中は自意識が消えて解除出来ないから、最初に時間設定して関節的に調整してるわけだな。
まぁ、それはそうと………
「お前達、面白いことになってるな。特にピート。お前の方は修行が捗るんじゃないか?」
「いえいえ。2人とも、全くタイプが違うんで相手をするのが大変で、大変で……」
そう言うピートだったが、苦笑しながらも表情は活き活きとしていた。奴なりに修行の成果を感じ取っているんだろう。
対して、絶技の片鱗を披露したステルスの方は何故か芳しく無い。
「ワッシの方は、人格を安定させるので手一杯になってしまいました。何か、修行の方向性が変わってしまった気がするんジャぁ」
「そりゃ、全部で6人にもなりゃあな……」
………6人か……何か、中途半端だな。この調子なら、あと1人くらい……いや、流石にないか。
「そんなことはないよ。虎烈も白廉も皆君の一部なんだ。自信を持つんだ。タイガー」
「う、ウッス……」
「………………」
…………なんだか、俺の想像と全く違った方向に進んでるみたいだが、どうなるんだ?これ……
後書き
7人目もコンセプトは、大体決まってます。ただ、物語中出せるのは、あと1人かもしれない……(-_-;)
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