『GS美神IF』〜独白〜黒衣の除霊師
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帰路(深淵の蟻編)
前書き
エピローグ。今回は短いてす。
「立てるか?」
「………………」
地面に膝を着く無骸へ、俺は見下ろしたまま尋ねる。
こう言う場合、本当はしゃがんで目線を合わせるもんなんだろうが、これが俺達の距離感だ。
そして、返事はいつも通り無い。だが、すぐに立ち上がった様子を見る限り問題ないだろう。霊気に乱れも感じない。
ちなみに、さっき無骸に使ったのは怪我をした時に良く使う『治』の文珠。奴が今回ダメージを負ったのは、霊気回路だが、その辺も普通の怪我と事情は一緒だ。
「満身創痍……と言う程でもないが、かなりきつそうだったな。一歩間違えれば、吹き飛んでたのはお前だったかもな」
「………………」
「飛んだのはサービス。だが、治したのは貸し一つだ。いずれ返せよ」
「………………」
そんなことを話していると、威厳のある渋い声が後から響く。
「それは、拙僧が返そう」
振り向くとやっと鼻が短くなった天狗殿が、雪之丞の一緒に俺達の元へ近寄って来る所だった。少し離れた所からは、氷雅さんも歩いて来る。蟻の駆除が、ほぼ終わったんだろう。
「鴉。お前には、重ね重ね世話になった。無骸がこうなったのも、元を正せば拙僧の未熟さゆえ。ならば、拙僧が責任を取るのがスジと言う物であろう?」
「何、格好付けてんだよ?おっぱい見て鼻血出しただけの癖に」
「ぐぬっ……!」
「「………………」」
………もう、何も言えん。
まぁ、いい。責任取ってくれると言うなら世話になろう。文珠一つで、報酬に色が着くなら悪い取引でもないしな。
◇◇◇
帰り道。砂埃の舞う荒野を歩きながら、俺は横を歩く天狗殿に声を掛けた。
「天狗殿。さっきの変態ですが……あれは何だったんです? 爺さんも、人になるとは言っていなかった」
そう聞くと、彼は少し間を置いてから静かに答える。
「拙僧も知らなかったのだ。多分だが……あれは予定された進化などではない。ただの突然変異だ」
「突然変異?」
俺が軽く眉を寄せるのを横目で捉えつつ、彼は続ける。
「事前に目を通した書物や文献、そのどれにも変態するとは書いてなかった」
すると、横で話を聞いていた雪之丞が口を開く。
「貴重な瞬間に立ち会えたってことか?」
「そうだな。もしかしかたら、稀にそう言った例があったのかもしれないが……どちらにしても、滅多にない体験と言えるだろう」
滅多に無い体験ね……こうして、魔界の土を踏みしめること事態滅多に無い体験なのに、そこにこれ以上重ねられても神経がバグって反応出来ん。
「だが、結果的に倒すことは出来た。これでよしとしよう」
そう言って、重厚にまとめようとする天狗殿だったが、そこに雪之丞が待ったを掛ける。
「良くねぇよ。アンタ、鴉や無骸が居なかったら死んでたじゃねぇか!」
「ゔっ……そ、そんなことは………」
「「………………」」
顔が不自然に引き攣った……
「じゃあ、何だよ?伸びた鼻押さえながら刀振れたのか?ずっと、座ってた癖に」
「ずっとではない!途中から、ちゃんと立っておったわ!!」
「いいや。駄目だ。女の魔族だって居んだぞ!いちいち鼻押さえられたんじゃ、 “神魔大戦” の時に役に立たねぇだろうが!」
「ぐぬっ……!!」
「…………神魔大戦?」
「言葉通り、神族と魔族の戦争ですよ。今回の一件も、もしかしたらそれが絡んでるかもしれません」
その後も続く軽快だが、不毛なやりとりにやれやれと思いつつも、後ろでボソッと呟いた氷雅さんへ俺は半ば投げやりに答えた。
「神族と魔族って、そんなことになれば……」
「なった時点で、人間は終わりでしょうね。それが、いつかは分かりませんが」
始めはキョトンとした感じの彼女だったが、俺の淡々とした物言いを不審に思ったのか表情に疑念の色を広げる。
「……随分、他人事ですわね。本当に、そんなこと起こり得るんですの?」
「他人事ではありませんが、人に出来ることなんて限られてる。信じるかどうかも、あなた次第です」
これも、本当は余り吹聴する話じゃないんだが、それこそ今更だよな……
そんな風に思った俺は、彼女へ事の経緯を掻い摘んで話すことにした。
「………………」
そんな中、無骸に関しては、どちらに会話にも反応せず自分のペースで歩いている。
ある意味、今回1番の戦果を上げたのは奴だろうが、その胸中にあるのが達成感だか、疲労感だか……それとも別の何かなのかもしれないが、俺には予測も付かなかった。
………何にしても、これで今回の騒動はこれで終わりだ。
魔獣達が人間の所に降りるのは防げたし、多少予想外な事態はあったものの全員無事。多額の報酬(主に貴重な鉱石)を受け取れた上に貴重な体験(?)まで出来たんだ。正直、出来すぎと言ってもいいかもしれない。
まぁ、雪之丞は雑魚しか相手に出来なくて不満そうだったが………あとは、氷雅さん。彼女も境界樹林へ普通に来ても良い(?)ことになった。
理由は、今回の働き(もあるが)……じゃなくて、天狗殿が女に慣れる為。
勿論雪之丞の発案で、天狗殿はそのまま押し切られた………
□□□□
本編が短いのでオマケエピソードです。
女体化した清美さんと冰織の初邂逅!↓↓↓
チリリン♪
「いらっしゃいませぇ♪」
「……えっと」
………やっぱり戸惑うよな。
ここは、清美さんの店。ダイニングバー『GIRL』
この前の魔界の一件に関する報酬の話し合いで来て貰ったわけだが、店のマスターである彼女を見て顔に “?” を浮かべる彼女を見かねたように、雪之丞が声を掛ける。
「こっちだ。冰織」
※『転生(?)』参照
◇◇◇
「所で……マスター代わられたのですわね」
話も大体終わった頃。
何気なく呟く彼女の一言にその場が氷付かせたように感じたのは多分、勘違いじゃないはず。
余談だが、清美さんが大きめのテーブルを置いてくれたお陰で、今回は4人全員同じ席に着いている。
……話は逸れちまったが、そんな彼女の言葉に雪之丞がややぎこちなく答える。
「ああ……いや、あの人は代理だ」
「「………………」」
「前のマスターは、どうされたのです?」
「……休んでる」
「休んでる?何かの御病気ですか?」
「………いや、旅に出た」
「「………………」」
何だ。そりゃ……?
「旅に……?」
「うん……」
「「………………」」
テキトーほざいてんじゃねぇよ。既に詰まってるじゃねぇか……
「旅に出たのですか?」
「だから、そう言ってるだろ?」
「「………………」」
「一体何で?」
「………色々」
「「………………」」
色々なんだよ?
「色々?」
「うん……色々…その、見つめ直したいらしい」
「「………………」」
「………何か悩んでたんですの?余り、そう言ったご様子には見えませんでしたが」
「……何か悩んでたんじゃねぇか?」
いつまでやるんだ?これ……
「……何で疑問形なんですの?」
「俺も良く知らないんだよ……」
「良く知らないのに、色々見つめ直したいんですか?」
「……そうだな。何か色々見つめ直したいらしい」
「「………………」」
いいのか?んなテキトーで…いや、今更か……
「なんで、あなた方はずっと黙ってるんですの?」
「「………………」」
「お前等も何か喋れよ!」
うるせーよ!テメェがややこしくしてんだろっ!?
「……き、清美さんじゃ、何か不都合ですか?」
「………………」←無骸
「あの方は、鎌田さんの親戚か何かですの?同じ鎌田だし」
「みたいですね……」
「………………」←無骸
「それも、よく分からないですか?」
「料理も美味しいし、美人で愛想も良いんだから別に構いませんよ」
「………………」←無骸
「そうそう。別にあんただって、文句ないだろ?」
「……そうですわね。とても美人で、手際の良い方ですわ。1人で店を切り盛りしてるのに、そんなことを感じさせない。本当に……前の鎌田さんと良く似ていますわね」
「「「……………………」」」
「手際だけじゃなく、口調や立ち振舞まで彼とそっくり。まるで、体だけ入れ替わったみたいに……」
「「「……………………」」」
「……そろそろ、本当のことを話して頂けませんこと?」
観念するか……ぶっちゃけ、いつか絶対バレると思ってたし………
「……実験です」
「………………」←無骸
「おい。鴉」
「もういいだろ?」
やや咎めるような雪之丞に半ば投げやりに返す。どう考えたって、もう誤魔化すなんて不可能だわ。
「とにかく実験です」
「……もっと、わかるように言ってくれませんか?」
「簡単ですよ。あなたが望めば、私はあなたを男にだって出来る。それだけです」
「………………ゾッとしませんわ」
文珠の女体化……
「お前なら、イケメンになれんじゃねぇか?氷雅なら、男でも通用するだろ?」
「………………」←冰織
「……希望されるなら、言って下さい。責任は、全く取れませんけど」
「いや。取るんじゃなくて、こいつは付けて欲しいんだよ」
「着けるかぁ!!」
「………………」←無骸
久能市に1本足して “十能市” ……なんて言ったら、この場でリアルファイト確定なんで止めた。
「……今までは、取る方しかした事がないんですよ。着けたらどうなるか、少し見てみたい気もします」
「タッパだって、伸びるぜ。羨ましい。おっぱいが無くなっちまうのは残念だが、アンタなら女にモテモテだ♪」
「だから、着けないって言ってるでしょ!!」
「………………」←無骸
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