| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

中二病サマナー魔法少女が、キモいモンスターを使役してる件

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

2話 中二病魔法少女のお宅訪問 ④元気っ子襲来

ピンポーン
インターホンが鳴る。
「……?」
私は顔を上げる。
沢が返事をする。
「はーい」
玄関の方を見る。
「沢ー!いる?」
元気な声が外から響く。
ドア越しでも分かる大声。
沢の顔がぱっと明るくなる。
「あ、陽菜ちゃんだ!」
小走りで玄関に向かう。

ガチャ
ドアが開く。
「よっ!」
入ってきたのは、元気そうな女の子。
ポニーテールの髪、動きが軽い。
その後ろに、もう一人。
小柄な子、小学生かな?
「おーっす!」
2人ともずかずか入ってくる。
迷いがない。

「ちょ、ちょっと陽菜ちゃん……!」
沢が慌てて止めようとする。
でも遅い。
リビングに入った瞬間。
陽菜、止まる。
「……ん?」
足元を見る。
ぷるん
「……お」
一瞬の沈黙。
「スライム増えた?」
小さな子が指差す。
テンションが上がってる。
「ええ」
闇乃がソファから淡々と答える。
「黒いのたくさんだ!!」
陽菜、しゃがみ込む。
「触っていい!?」
「好きになさい」
陽菜、ためらいなく触る。
ぴとっ
「うおっ、ぬるっ!」
でもすぐに笑う。
「すげー!生きてる!」
(いや当たり前なんだけど反応がおかしい)

その横で。
もう一人の子が腕を組んでいる。
「……ふーん」
低めの声。
(男の子だよね)
私は自然にそう思う。
短い髪。ズボン。態度もそれっぽい。
その子が一歩前に出る。
モンスターを見る。
「きったねえな」
(口悪っ)

でも次の瞬間。
ぴとっ
普通に触った。
「……」
少しだけ顔をしかめる。
「まあ、動くな」
(順応早くない!?)

沢が慌てて説明する。
「あ、あの、この子は明ちゃんで……!」
「俺はアキラだ!」
「うん、アキラちゃんって」
よく見ると。
顔立ちが、少し柔らかい。
声も、完全に低いわけじゃない。
(……あれ?)

「妹だよ、あたしは
神楽陽菜
かぐらひな

「鈴木一花」
「ウチの先輩だよね」
「そうなるかな」
ん、さっき気になることを言ったような…
「こいつ、女」
「は!?」
思わず声が出た。
明――アキラが不機嫌そうにこっちを見る。
「なんだよ」
「いや、だって……!」
「よく言われる」
ため息まじり。
「気にしてねえけどな」
(気にしてないんだ……)

その時。
スライムが、アキラの足元に近づく。
ぴとっ
「おい」
アキラ、じっと見る。
「……」
そして。
なでる。
「ぶよぶよしてんな」
陽菜が笑う。
「だろー?」
沢が小さく補足する。
「えっと……この子、汚れ取ってくれるから……」
「へー!」
陽菜、さらに興味津々。
「じゃあ足の汚れ食え」
アキラがスライムに足をのせる。
ぐにぐに
スライムが汚れに吸い付いて…
「うわ凄い、足ピカピカだ!」
「アキラの足と思えないキレイさだね」
「てめー、陽菜もきたねえだろ!」
足…

闇乃(あら、スライムの魔力がチャージされた
アキラやっぱり魔力が高いわね)

「じもっと欲しいな!」
「拾えば?」
闇乃がさらっと言う。
「拾うの!?」
私がツッコむ。
「うん」
「いやダメでしょ!!」

「あ、あたしゼリー持ってきた」
陽菜はおやつを取り出した。
「それ、スライムみたいだぞ」
「いや、似てるけどゼリーだ!」
沢は怯えて言う。
「間違って食べたらどうしよう」
「おいしいかも?」
アキラが乗ってくる。
「食ってみようぜ!」
「やめてー!」

部屋の中が、一気に騒がしくなる。
さっきまでの恐怖が、
嘘みたいに薄れていく。
(……なんなんだろ、これ)
普通じゃない。
絶対に普通じゃない。
でも。
(ちょっと楽しいかも)
そう思ってしまった自分に、
私は軽くため息をついた。


後書き
――とある場所。
人のいない、少し高い位置。
建物の影。
「……」
一人の男が、静かに立っている。
視線の先。
久遠家。

「闇乃の近くにいる以上」
「無関係ではいられない」
眼鏡を指で押し上げる。
「配置が整い始めている」
わずかに口角が上がる。
「……面白い」
「ドライオン側も、いずれ動く」
静かに、空を見る。
「その前に」
「観察を進める必要があるな」
一歩、影に溶けるように下がる。
「久遠闇乃」
小さく、確信を込めて。
「やはり中核か」

「まあそんなことより、沢たんハアハア」
風の音だけが残る。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧