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真剣に紅狼に恋しなさい・・・・?

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川神院にて・・・

~真紅狼side~
光に包まれてから、しばらくした後、鳥の声が遠くから聞こえてきたので目を開けてみると、空に居た。


「ふむ、高層ビルの高さ七階分の位置ってところか………」


ひゅ~~~


どーなってんの?
俺が今分かることは重力の関係で俺は現在落下中。
こんな状況でも自分が冷静なところがまた嫌になってくる。
というか、真下に寺院があるね。
そんなことを考えてると、寺院の屋根の高さまで降りて来ていた。


三秒後・・・・


ドゴンッ!!


ひときわ大きな落下音と衝撃音が辺り一帯に響き渡る。


「いって~~!!」


『いって~~!!』で済むことに驚きだな。
というか、俺はまともな転生が出来ないのだろうか?
“外史”では森の中、今回は空中………次回は海の中とかか?
実に嫌だ。


ガヤガヤ・・・


あれだけ大きな音を出せば、人が集まるのは必定であり、実際に凄い集まってきている。
集まっている人は全員男で、修練服で坊主頭ばっかだった。


「あの、大丈夫ですか?」
「ん? ああ、大丈夫だ。ただの掠り傷程度だしな」
「……何事じゃ?」


そこに現れたのは、威厳がありそうな老人と表情の読めない男と悪そうな雰囲気を放つ男が来てた。


「……師範!」
「……師範?」
「何があった?」
「それが、大きな音が裏手でしたので駆けつけてみると、この男性が座っていましたので………」
「……なるほど、分かった。説明御苦労。皆は仕事に戻ってくれ」
『はい!』


老人の一言で、坊主頭の修練者は去っていった。


「師範って何?」
「お主、ここを知らんのか?」
「いや、全く」
「ここは、“川神院”と言って、武術の総本山じゃ。そしてそこの師範を務めているのがワシ、『川神 鉄心』という。後ろの二人は師範代じゃ。ジャージ姿の男が『ルー・イー』といい、もう一人が『釈迦堂 刑部』という。お主の名は何と申す」
「俺の名は蒼騎 真紅狼だ」
「では、蒼騎殿、中で話そうかの」


俺は老人、川神鉄心に案内されながら、川神院に入っていった。
~真紅狼side out~


~鉄心side~
ワシは境内で精神を高めておったら、突然裏手の方で大きな衝撃音が聞こえたので、そこに向かってみると一人の若い青年が立ち上がりながら、砂埃を払っておった。
そして、ワシはこの者の独特な雰囲気を感じた。


(この青年………、相当な死線を潜り抜けておる。しかも、殺しを躊躇わない雰囲気じゃ。おそらくワシよりも“地獄”を見て来ている)


その青年の名は『蒼騎 真紅狼』と名乗った。
そして彼を道場に案内して、中で鍛錬中の者達を外に出して、ワシ、ルー、釈迦堂、そして蒼騎殿のみにした。


「……で、話とは?」
「単刀直入に聞く、お主、どこから現れた?」
「……答えにくい質問だなぁ」
「お主が現れた場所をざっとみても、あの地面の凹み具合からして空中から降ってきたと感じしか、思わぬのじゃが?」
「・・・・・・・・・・・・・」
「それに、お主本当に人間か?」
「………というと?」
「普通、地面がへこむ高さから落下してくれば、どこかしら怪我を負ってる筈なのにお主には“掠り傷”だけですんどる」
「ん~~、気で回復したかもしれないぞ?」
「気じゃったら、掠り傷ですら回復するモノじゃ。じゃが、お主には傷が残っておる。故に気で回復してはいないな」
「ちょっとした特殊体質なんですよ」


そういった後、沈黙が場を支配していた。
じゃが、蒼騎殿は急に喋り出した。


「………ドアの近くで盗み聞きしてるヤツ、出て来い」
『………!?』


戸を開けてきたのは、ワシの孫娘である『川神 百代』じゃった。


「コラッ! 百代!! 気配を消しておったな!!」


この青年、ワシよりも早く百代の気配に気付きおった。
この年で気配を感じ取るのがここまでの逸材、なかなか居らん。
本当にこの青年……………何者じゃ?


「ジジィ、コイツ誰だ?」
「この青年は『蒼騎 真紅狼』という者じゃ。お主も挨拶せい」
「私の名は『川神 百代』だ、よろしく頼む」
「俺の名は先程も鉄心さんが言ったが、『蒼騎 真紅狼』という」
「先程、私は気配を完全に消していたがどうして分かった?」
「何分、一瞬が命取りになりかねない世界で生きていたので、気配には敏感なんだよ」


そう仄かに笑いながら答えると、百代は面白そうな顔になっていた。


「なぁ、オマエ!! 私と勝負しろ!!」
「悪いが、人の名前を覚えられないような奴とは勝負しないし、そろそろ帰っていいですか?」
「………帰るってどこにじゃ?」
「決まってるでしょう? 家にですよ」
「帰る家があるのか?」
「ええ。ポケットにメモしてあるんで………」


そう言ってポケットからメモを取り出し、ヒラヒラと振っていた。


「なぁ~、いいだろう? 一勝負ぐらい付きあってくれよ~~」
「人の話しを聞けよ、ボケ」
「やめんか、百代。無理強いしてはいかん」
「では、失礼します」


蒼騎殿は去ろうとした時に、最後に聞くことがあったのを思い出し聞いてみた。


「蒼騎殿……「『真紅狼』でいいぞ、鉄心さん」……では、真紅狼。お主何歳じゃ?」
「……18歳だが?」
「なら、ウチの学園に入らんか?」
「悪いが働かなければいけないので、そのご好意は謹んで辞退させていただきます」
「じゃが、中卒は社会では辛いぞ。せめて高校だけでも………」
「………中卒でも働ける方法はありますし、アテがあるので」
「そうか。なら、もういいぞい」
「では、失礼します」


そうして、彼はこの川神院から去っていった。
~鉄心side out~


~真紅狼side~
俺は鉄心さんの孫娘が出てきた時、ポケットにメモが入っていた。
そのメモを見てみると、(ジイサン)からで内容は『自宅と車、そして双銃を送ってある』と書いてあり、メモには家の場所が乗ってる地図があり、さらに追伸で『車は転生した場所の近くに停めてある』と書いてあった。
鉄心さんの孫娘の名は『川神 百代』と言うらしく、初対面なのにいきなり勝負を申し込まれたが、メンドイんで辞退させてもらった。


その後、鉄心さんから「高校に入らないか?」と誘いを受けたが、自分がやりたいモノがあったので断り、川神院を去った。


「……えーっと、車はっと。お、あったあった!」


門を出て、左の方に赤のBMWが停まっていた。
さっそく中に入り、キーを差し込み、クラッチとブレーキを踏みながらギアを二速にして、エンジンをかける。


ブゥオォォォォンン!!!


左側の助手席には俺が頼んだ“双狼銃 オルガロン”が置いてあった。
アクセルを踏み、地図に書いてある場所に向かうとそれなりに豪華そうな二階建ての一軒家だった。


「庭や駐車場が広いな、オイ」


右腰に『白の響狼(ヴァイサー・オルガロン)』を付け、左腰に『黒の響狼(シュバルツェア・オルガロン)』を付けて家の中に入った。


「キッチンやトイレ、バスルームが一階と二階の両方にあるし、家具は一通り揃ってんのかよ。世話よすぎるだろ、ジイサン」


ま、俺には有難いから別にいいんだけどね。
俺はさっそく働きに出た。



それから七年後・・・・・



俺は“揉め事処理屋”として表裏関係なく名を轟かせた。
~真紅狼side out~


七年間も時間が経てば、何かしら起きているモンだ。 
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