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とあるの世界で何をするのか

作者:神代騎龍
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第五話  レベル確定と厄介事

「それじゃ、AIM拡散力場の測定装置がなおったら連絡するから、今日のところは帰ってもらっていいわよ」

「はい、おつか……」

「あ、ちょっと待ってください。どうやらなおってるみたいです」

 女性の担当者が俺を帰らせようとしたところで、AIM拡散力場の測定装置を担当していた人がそれを止めた。

「故障の原因もどうしてなおったのかも特定できていませんが、今はちゃんと測定できるようになってます」

「そう、それならAIM拡散力場の測定をしましょう。すぐに準備を」

「はい、すでに準備は整ってます」

「なら神代君、さっきの部屋に戻るわよ」

「はい」

 まぁ、実際のところ故障ではなかったんだろうと思うけど、故障の原因が特定できないのに測定を続行しようっていう担当者たちはどうなのかと思う。とはいえ、また後日測定に来なければならないよりはマシなので、ってか俺は故障じゃないことを知っているので、疑問を呈すことなく能力開発を受けた部屋まで戻る。

「じゃー、この中に入って椅子に座ってちょうだい」

「はい」

 AIM拡散力場の測定装置そのものは、それこそプリクラの機械とか証明写真を撮る機械ぐらいの大きさで、中もそんな感じだった。しかし、周囲は半球形のジャングルジムみたいな物で囲まれていて、車が一台入れられる倉庫ぐらいの大きさのコンピューターとたくさんのケーブルで繋がっていた。というか、多分これ全体でAIM拡散力場の測定装置なんだろう。

「しばらくそこでリラックスしててちょうだい」

「はい、分かりました」

 中の椅子は、プリクラや証明写真では絶対にありえない程結構豪華な革張りのソファーで、座り心地はかなり良かった。

「はーい、オッケーです」

 椅子というかソファーに座ってから5分ぐらいの時間が過ぎただろうか、何もすることがないので少しウトウトしてきた頃に声を掛けられた。

「これでここは終わりね。お疲れ様」

「お疲れ様です」

「この後、迎えが来るから門のところで待っててもらえる?」

「はい、まだ何かあるんですか?」

「みたいね。私には分からないけど、上からの指示があったの」

「はぁ、そうですか。それじゃー行きますね、お疲れ様でしたー」

「行ってらっしゃい」

 担当者たちに見送られながら部屋を出ると、玄関に向かって歩き出す。

 上からの指示で迎えが来るということは、多分土御門さんなんだろうなぁ。行き先はアレイスターなのか別の場所なのか、どっちにしてもこの能力開発で最初に出してた異常な値がバレてるとしか考えられない。

「待ってたぜい」

「あっ、どうも」

 玄関を出て門のところまで行くと、すでに土御門さんが待っていた。

「すぐ出発するぜよ」

「はい」

 すぐに車に乗せられ車が走り出す。向かっている先は、恐らくアレイスターの居る窓のないビルだろう。

「お前さんのおかげで最近忙しいんだにゃー」

「あー、すみません」

「まぁ、お前さんが悪いわけじゃないからそれはいいんだが……」

 そこで言葉を切った土御門さんの雰囲気が急に変わる。

「お前さん、一体何者だ?」

「へっ?」

「中学からこの学園都市に来る人間も確かに少なくはないんだが、それでも普通はあと三週間後ぐらいに学園都市へやってきて、それから能力開発を受けて能力レベルに応じて学校が割り振られるんだ。それなのにお前さんは小学校の卒業式も終わってないはずの、この時期に学園都市にやってきて能力開発を受けている。まーそれ以前に、お前さんの戸籍まで準備させられたから、お前さんには元々の戸籍がなかったことになる。一応、上からはチャイルドエラー扱いでの指示を受けたんだが、その年齢で学園都市に捨てられたってのにも無理があるんでな」

 確かにそうだよなーと思いつつ土御門さんの話を聞いていた。土御門さんが信頼できるかどうかは微妙だが、アレイスターに話したことぐらいなら言っておいてもいいのかもしれない。だが、運転手が居るこの状況で話しても大丈夫だろうかという疑問が頭に浮かぶ。

「そうですねー、俺は別の世界からやって来たんですー」

「ぷっ」

 わざと軽めに言ったこともあり、運転手は冗談だと思ったようだ。

「それなら、以前はどんな世界に居たのかにゃー?」

 口調は軽くなっているが、土御門さんの雰囲気は変わらないままだった。恐らく、俺の言葉があながち嘘ではないと感じているのだろう。

「えーっと、まぁ、普通に剣と魔法の世界に居ましたよー」

「あはは」

 俺が答えると運転手の人は笑ってくれた。まぁ、普通に考えれば実際に剣と魔法の世界に居た人間が、自分のことを「剣と魔法の世界から来ました」とは言わないだろう。

「その世界ではどんなことをしてたんだにゃー?」

「まー色々とやりましたけどねー。鯵や鯖釣ったり、茄子や胡瓜育てたり、麦藁帽子を編んで町で行商したり、罠を張って猪を捕まえたり、狸を鉄砲で撃ったり、煮たり、焼いたり、食ったり、それを木の葉でちょっと隠したり」

「いやっ、剣と魔法関係ないしっ! 最後のほう、なんか別のことになってるし!!」

 俺が適当に答えていると運転手からツッコミが入った。それで土御門さんも運転手に聞かせるにはまずい話なんだろうと気が付いたのか、この件についてそれ以上詮索してくることはなかった。

 このままアレイスターの元へと向かうのであれば、用件は俺の能力に関することしか考えられない。うまく誤魔化すことを考えようかとも思ったが、アレイスター相手に誤魔化しきれるとも思えなかった。それなら逆にある程度こちらの能力を開示して、何かしらの取引材料にする可能性を模索したほうがいいだろう。

 予想通り車は窓のないビルへと向かい、到着して車から降りると結標さんが待っていた。

「世話になるにゃー」

「いいわよ。別に」

 土御門さんと結標さんが短く会話すると、次の瞬間には例のアレイスター前になっていた。今回は土御門さんも一緒に来ている。

「待っていたぞ」

 アレイスターが声を発した瞬間には結標さんが消えていた。案内人として当然といえば当然か。

「さあアレイスター、連れてきたぜい」

「早速だが、本題に入らせてもらおう。神代騎龍、君は一体どうやって能力に制限を掛けたのかね?」

「能力に制限? どういうことだ、アレイスター」

 土御門さんは一瞬俺のほうを見てアレイスターに聞いた。

「それは本人から聞いたほうが早いと思うのだが」

 二人の視線がこちらに集中する。

「どうやってと言われると、どうなっているのかは自分でも良く分からないんですが、超能力に限らず体力面や筋力面なんかも、自分で好きなようにコントロールできる能力が俺にはあるんです」

「ふむ」

「なっ!?」

 アレイスターは特に驚いたように見えないが、土御門さんは大いに驚いているようだ。

「ただ、今回は明らかに異常な状態になってると思ったんで、ある程度正常な力加減にしてみたんですけどね。まぁ、AIMなんたらの測定装置が壊れたとかって騒いでなければ、異常な超能力の強さには気付かなかったかもしれません」

「元に戻すことは出来るのかね?」

「それは出来ますし、それ以上にも出来ますが……」

「ほう、それ以上にも出来るのか。それでは、この場で君の出来うる限界まで上げてみてもらいたいものだな」

「ええ、いいですよ」

 そう言うと俺はパラメーター設定で学園都市製超能力と演算能力の値を1844京まで引き上げる。こんなところで限界を誤魔化しても意味がないだろうと思って、本当に限界付近の値に設定した。昔、色々試して1844京というのがパラメーターに設定できるほぼ最大値ということが分かったのだが、何故こんな中途半端な数値になっているのかは俺にも分からない。一応、1844京5000兆までは上げられることを確認しているが、1845京には設定できなかったのである。

「な……なんだ!? この感じはっ!」

「ふむ、さすがというか、思った以上だな」

 土御門さんが驚いている中、やはりアレイスターは冷静だった。というか、土御門さんは何に驚いているのだろうか。

「さて、これだけの能力があれば間違いなく学園都市で一番の能力者になれるのだが、やはり能力に制限は掛けるつもりかね?」

「そうですねー、俺が学園都市一番の能力者になったとして、次の世界に飛ばされて俺が居なくなった時、対処に困りませんか?」

 もし俺がレベル5認定されたとして、8人目のレベル5が誕生したとなれば学園都市内では相当大きなニュースになるはずだし、その8人目のレベル5が消えたとなれば更に大きなニュースとなってしまう可能性も高いと思う。

「あまり困るとは考えていないのだが……だが、無理強いはするまい。それなら君の能力はサイコキネシスのレベル4で認定しておくことにしよう」

「ありがとうございます」

 そう返事をすると、取り敢えずパラメーターを元に戻しておく。

「しかし、能力強度を自由自在に変更できるなどと、全くのチートだな」

「自分では普通に使ってるんで自覚はないんですけど、改めて考えてみるとチートってこういうことを言うんですよね」

 アレイスターの言葉に、本来のチートってこういうことを指すんだったなーと思いながら答える。そこへ脱力しきった感じの土御門さんが聞いてきた。

「本当にお前さんは何者なんだにゃー?」

「来る時にも言いましたが、別の世界からやってきた次元転移者です」

 いつも寝ている間に世界を転移させられるので、俺が新しい世界に現れた瞬間を目撃されることもあり、その時の説明のためにいつの頃からだったか覚えてないが、俺は自分を次元転移者と称するようになっていた。

「やっぱりそこはウソではないんだな」

 俺が至ってまじめに答えると土御門さんもシリアスモードになっていた。

「ええ、それに剣と魔法の世界に居たのも事実ですよ」

「なら、剣とか魔法も扱えるのか?」

「もちろん、このチート能力のおかげで大概のことは問題なく出来ますから」

「一つ忠告しておく、魔法はつか……」

「土御門」

 俺と土御門さんの会話にアレイスターが割り込んでくる。

「魔法が使えるというなら、この場で見せてもらいたいと思わないか?」

「アっ……アレイスターっ!!」

 土御門さんがアレイスターに向かって叫ぶ。まぁ、血管が破裂するようなことをさせようとしているのだから、土御門さんが叫ぶのも分からなくはない。俺としても血管が破裂する可能性を完全に否定することは出来ないので、全く不安がないと言えばウソになる。だが、それでも俺には何となく大丈夫という確信があった。

「じゃー、いきますよー」

「お……おいっ!」

 土御門さんが慌てて止めようとするが、俺はそれを無視して無詠唱で魔法を発動させた。

「ライティング!」

 対象は土御門さんに向けた俺の掌、持続時間ゼロ、最大光量……はさすがに怖かったので出力を50%ぐらいに抑えた発光魔法だ。

「うぎゃっ!?」

 光量を50%程度に抑えたとはいえ、さらに土御門さんがサングラスを掛けているとはいえ、至近距離でまともに見てしまえばしばらくは視力が戻って来ないだろう。

「何てことをするんだにゃー!」

 その場でうずくまって両目を手で押さえながら土御門さんが抗議してきた。シリアスモードは完全に解除されているようだ。

「ありゃりゃっ、何か飛びかかって来そうだったんで、思わず向けちゃいましたー」

 土御門さんの抗議が何となく軽いノリだったので、こちらも何となく軽いノリで答える。

「身体的に何か問題はないかね?」

「ええ、特に何も」

 やはりスレイヤーズの世界の魔法は、この世界で能力者が使っても問題ないようだ。

「何で無事なんだ?」

「魔法というものが出来た理由、つまり成り立ちがこの世界の魔法とは違うということだろう」

 土御門さんの疑問にアレイスターが答える。

「それは不公平だにゃー」

 不満を言う土御門さんの視力はまだ戻ってきてないようだ。サングラス越しなのではっきりとは見えないが、視線が確実にずれているのが分かる。

「この世界の魔法……ですか」

「そうだにゃー。この世界にも魔法ってのがあるんだぜい」

「だが、能力開発を受けてしまうと、この世界の魔法は使えなくなってしまうのだよ」

 俺がつぶやいた言葉に土御門さんが答え、アレイスターが補足を入れてくれたのだが……肝心な部分は抜かしてますよねアレイスターさん。土御門さんはそのアレイスターを睨んでるつもりみたいだけど、やっぱりまだ視線の方向がずれていた。

「それで、他にも魔法は使えるのかね?」

「それはもちろん。さっきも少し触れましたが剣と魔法の世界に居て、魔法使いが光を出すだけだったら存在価値がないじゃないですか」

「って事は、攻撃、守備、補助なんかの魔法も使えるのかにゃー?」

「ええ、色んな世界でそれぞれ一通りの魔法は覚えましたから。細かく分ければ1万種類ぐらいの魔法は使えると思いますよ」

「ほう」

「チートな奴だにゃー」

 土御門さんが俺を見てあきれている、どうやら視力は回復してきたらしい。

「土御門」

「なんだ? アレイスター」

「彼をグループに組み込みたいのだが、どうかね?」

 やっぱり暗部に入ることになったか。まぁ、その辺は仕方がないだろう。

「本気か? アレイスター」

「ああ、放っておいても彼はプランの進行に大きく影響を与える存在となるはずだ。ならば、最初からプランの枠に入れてしまえばいいだけの話だ」

 土御門さんの抗議もむなしく、俺は暗部組織に所属することになったようだ。

「神代、お前さん、この街の治安組織を知ってるか?」

 シリアスモードに切り替わった土御門さんが聞いてくる。

「ええ、警備員(アンチスキル)とか風紀委員(ジャッジメント)ですよね?」

「ああそうだ。だが、そいつらだけでは対処しきれない、いや表に出してはならない犯罪というのが存在する」

「あー、つまり裏の組織ですね?」

 いきなり暗部という単語を知っているのもおかしな話なので、何となく近いニュアンスの別の言葉を捜してみた。

「まーそんなところだ。俺たちは暗部組織と呼んでいるんだが、お前さんにもその暗部組織に入ってもらうことになった」

「さっきの会話を聞いてて何となくは分かりました」

「所属は俺の居るグループだ。グループというのが組織名だからな」

「えっ? グループって組織名だったんですか!? 分かりにくっ!」

 土御門さんが説明してくれたので、原作を見たときから感じていたことを言ってみた。ってか、スクールやアイテムぐらいならまだしも、グループとかメンバーって名前はどうなのよって思う。

「まー、そう言うな。俺は土御門元春、これからよろしくな」

「はい、神代騎龍です。よろしくお願いします」

 自己紹介をして土御門さんと握手をする。今気付いたけど、土御門さんの名前って本人から今初めて聞いたのか。それまでアレイスターが何度か呼んでた気がするけど、ってかアレイスターの名前も本人からは聞いてないな。土御門さんが何度か呼んでたけど。

「アレイスター、お前が言っていた重要な話ってのはこのことだったんだな」

「ああ、だが私の予想以上に重要な話が増えていたのだがな。全くもって嬉しい誤算だったよ」

 今の二人の話を聞いて、俺の暗部行きはここに来る前から決まっていたことが分かった。嬉しい誤算って言ったのは多分俺の魔法の事だろう。

「それで、話はこれで終わりか?」

「ああ」

 アレイスターの短い答えを聞いた後、土御門さんがチッと舌打ちをしたのが聞こえる。その直後、結標さんが現れて外へと転移させられていた。
 
 

 
後書き
ここまでがなろうで投稿していたものです。

この先も「かなり遅筆」ですが、よろしくお願いします。 
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