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ケイン神王国召喚

作者:天津飯
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冬戦争

グラ・バスカル帝国の存在するヨルパン地区やケイン神王国の存在するアルメニ地区の国々によってユグド歴18世紀末頃から行われ始めたアルフリー地区への入植は諸外国に多大な影響をもたらすと同時に植民地を国々が奪い合う戦争すらももたらした。特に金鉱石が取れたり石油の湧いたりする地域ではヨルパン・アルメニからやってきた移民とその母国である筈の国の軍隊が争うなんてこともあったという。

そんな地域の1つがアルフリーの南端に置かれた南ベムニアである。
この地域は当初、ヨルパン・アルメニからはかなり離れた場所に有る割に特にこれといった資源も取れない荒野が広がっただけの価値の無い土地と考えられていた為、一応領有していたルヴァニア王国の流刑地同然に扱われていた。

しかしユグド歴1881年に大規模な金鉱山が発見されると評価は反転。
一発逆転を狙える新天地としてルヴァニア王国の国民を始めとする人々が殺到しついにはトランスベムニア共和国の建国に至った。

ルヴァニア王国政府は
「そんな国家は存在しない」
として無視していたもののトランスベムニア人によるルヴァニア王国軍や国営の金鉱山への襲撃が始まると無視を続ける事も出来ず、暴動の鎮圧として王国軍を派遣するに至ったものの騎兵中心の王国軍は連射砲(いわゆるガトリング砲)で武装した共和国軍とは相性が悪く当時の王国軍の指揮官であるメアリー少将の戦死を機に1868年に停戦という形でその独立を認めていたものの、面子を潰された王国軍はトランスベムニア共和国の鎮圧を諦めておらずユグド歴1906年12月1日に宣戦布告。

この戦争は、前回の戦争の経験から大砲を主要な装備とする王国軍の勝利に終わると予想されたが王国の勢力拡大を良しとしない
グラ・バスカル第七帝国、ケイン神王国が義勇兵という形で軍隊を派遣。それに呼応しルヴァニア王国の友好国や同盟国、植民地等もトランスベムニアに義勇兵や軍隊を派遣した事により冬戦争が始まった。

そんな世界各国の多種多様な軍隊が争う戦場で一際異様な集団がいた。抗ルヴァニア・オレンジ義勇軍、グラ・バスカル帝国の事実上の義勇兵である。
皇太子グラルークスが自ら義勇兵の指揮官として参戦している事も異様であったのだが、それ以上にこれまでに見た事のない兵器を操る姿が異様さを際立たせた。

彼らがハヴォック中戦車と呼ぶ、馬より大きな車体の上に口径5cm程度の主砲を載せたそれは見た目こそ強そうだが荒野では一般人が走るのと同じぐらいの速度でしか動かず、主砲もあまり大きくない。

揶揄い交じりに
「馬を貸してやろうか?」
と言葉を掛けていたが戦闘が始まるとその評価は一転。遠方の丘から放たれるルヴァニア王国軍の榴弾砲の3.7インチ弾が降り注ぎ爆炎が草原を薙ぐ環境で他国の軍隊は進む事が出来なかいか、出来ても直ぐに吹き飛ばされるかで手も足も出なかった。しかし、抗ルヴァニア・オレンジ義勇軍のハヴォックはその装甲で榴弾の破片を弾き、その主砲と無限軌道で敵を蹂躙した。

それどころか、どこからか飛んできた鉄の鳥(後で聞くと今世界中で開発されている飛行機らしい)は遠くの榴弾砲陣地を爆弾で吹き飛ばし、榴弾砲の攻撃が消えたらハヴォックに加勢し弾丸でルヴァニア王国軍の兵士をバラバラにしている。

その光景を見た他国の兵士達は興奮と、わずかな恐怖が宿った瞳で
「この力を、祖国が手に出来たなら…」
と溢したという。 
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