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ケイン神王国召喚

作者:天津飯
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新技術

ユグド歴1900年、進水したばかりの新型通報艦ムジカは第七帝国本土北部の領海を航行していた。領海ながら普段船の通らない海域である為、艦長のツァスリは気を抜く事が出来ずにいたものの午後1時を回ると食堂で昼食を取った事もあり少しだけ気を抜いていた。コーヒーを淹れるのが趣味の部下が淹れたコーヒーを飲んでいると壁に備え付けられた伝声管から

「前方二〇度、陸地確認!」

と見張りを行っていた下士官の声がする。しかし、艦橋に広げられた海図にはこの海域に島なんて記されていない。

未記載の島?幾ら何でも未だ発見されてないという事もないだろうと思いながら号令を行う。
「上陸して測量を行う。両舷停止!」
ムジカが島から少し離れた海域に停船すると蒸気カッターが下ろされ、測量班に選ばれた船員達が島へ向かっていった。2㎢程度の典型的な岩島だが島の中心部には山の様に盛り上がった地形が存在しており遠くからでも目立つ為これまで見つからなかった事が不思議である。
隊員達が疑問に思いながら測量を続けていると海岸線の岩陰で
「軍事施設ニツキ立入禁止」
という記号が彫られた鋼鉄製の扉を発見する。
「これ…何語だ?というかここに人がいるのか?」
そんな疑問だけが湧き出てくる。測量班の中で唯一下士官である為、拳銃を持っていた隊長を先頭に扉の中にあった坑道を進んでいく。天井に残されている照明装置は輝きを失っているもののどこからか入ってきた日光が坑道内を照らしている。

その明かりを頼りに奥へ進んでいくと一段明るい格納庫の様な広間に出た。その広間では大小2,3種類程度の大きな機械が並べられている。
「なんだこれ…自動車?」
「いや、車輪が付いているし自動車の様にも見えるがこんな訳の分からない形にする必要はないだろう。」
「そこの坂になる様に削られた岩の上に有る大きな出口から空に飛び立てそうだな。今世界中で作られてる飛行機か何かか?」
「分からないが調査はここまでで大丈夫だろう。我々の知識ではここに有る物を理解する事は出来ない。」

その後、この島はマルカブ島と名付けられ一般人の侵入を防ぐ名目に王室属領に指定された。
そして優秀な軍属の技術者達と、情報流出の防止を兼ねて含められたムジカ乗員によって構成される調査隊が再度行なった調査ではこの島が異世界の日本海軍(読み方は不明)という軍隊の基地らしい事が判明。島から回収された現代の技術から半世紀近く先の技術で作られた兵器や書かれた設計図も言語と共に解析した結果、第七帝国の技術でも工作精度を強化すればぎりぎり製造出来る範疇である事が判明。カレンダーから判明した数字を元に最も技術レベルが近いと判断された八九式中戦車という戦車を元にハヴォック中戦車が開発された。
「自走出来る大砲の様にも思えたがそれにしては装甲が厚い様にも思える。これは前線で相手を撃つ事を目的とした…それこそ竜騎兵の未来の姿と言えるのではないだろうか?」
「確かにそれなら装甲が付いている説明はつく。最近の騎兵は連発砲による制圧射撃で接敵する前にやられてしまう事も多くなっていると聞くし実戦に投入すれば有力な兵器となるだろう。」
「しかし、現在の帝国の技術では1両作るのでも大変だしそれなりにコストがかかってしまう。技術的には生産が可能なのだからまずは工業基盤を整える所から始めるべきだと陛下に上奏しよう。」 
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