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漁師は怖い

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第二章

「言い値で弁償させられるから」
「漁師さんのですか」
「何よりもね」
「不審船や災害よりもですか」
「もうね」
 それこそというのだ。
「何よりもよ」
「怖がっていますか」
「漁師さんをね」
「ヤクザ屋さんより怖いんですね」
「怖いわよ」 
 今堀川が言った通りにというのだ。
「本当にね」
「そうなんですね」
「漁師さんの世界が穏やかなんてとんでもない」
 中川は真顔で言った。
「それは漁師さんを知らないから言えるのよ」
「あの、その発言は」
 どうかとだ、堀川は言った。
「星野仙一さんが高田繁さんについて言ったことですよね」
「そのままよ」
 中川はその通りだと返した。
「高田さんと思っていいわ」
「漁師さんは」
「星野さんから見たね」
「あの星野さんにそう言わせる位ですね」
「しょっちゅう怒って殴ったね」
「その星野さんにそう言わしめた高田さんですか」
「漁師さんはね、だからね」
 そうした人達だからだというのだ。
「注意してね」
「ヤクザ屋さんより怖いですね」
「そして海自さんも避けるのよ」
「よくわかりました」
 真顔でだ、堀川は中川の言葉に頷いた、そうしてだった。
 彼等とも仕事をしていった、その中で余計にわかったのだった。
「いや本当にです」
「漁師さんは怖いでしょ」
「怒りますと」
「そう、中の決まりもね」
 それもというのだ。
「かなりね」
「厳しいですね」
「それに触れるとね」
「恐ろしいことになりますね」
「そうしたこともあるし」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「漁師さんは怖い一面もある」
「普段は豪快で優しいけれど」
「それと共にですね」
「そう、だからね」
「気を付けていきます」
 中川に真面目な顔で答えた、そうしてだった。
 彼等に気を付けつつ仕事をしていった、それはこの会社で定年を迎えるまで続いた。何よりも気を付けねばならないと意識しつつ。


漁師は怖い   完


                   2025・9・25 
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