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お互いに泊まること

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第二章

 その日の夜この地では大きなホテルの跡継ぎであり二人にとっては学生時代からの付き合いである江藤道真眼鏡をかけてやや吊り目で一七〇位の背で痩せていてお洒落なスーツにポマードの香りがする黒髪の彼が妻と共に一泊してきたが。
 江藤は道長にだ、こう言った。
「何か前より奇麗になってない?」
「掃除に力入れる様にしたんだ」
 道長は真面目な顔で答えた。
「八条ホテルに行ってから」
「ああ、あそこ奇麗だしね」  
 江藤も確かにと頷いた。
「お手本にしたんだね」
「そうだよ」
「そうだね、あそこお風呂もいいしね」
「うちも出来る限りな」
「お風呂よくするんだね」
「ああ、今度スチームサウナも置くよ」
「普通のサウナにだね」
「あれもよかったし人気あるしな」
「うちもあるけれどね」
 江藤の家のホテルにもというのだ。
「いいよ、あれ」
「人気あるよな」
「入れるといいよ、こうしてね」
 江藤は真顔で話した。
「組合内のお互いのホテルや旅館に泊まって」
「ああ、お互いの長所と短所を見てな」
「採り入れられたらね」
「いいところはそうしてな」
「悪いところは反面教師にする」
「そうしてよくしていかないとな」
「そうそう、切磋琢磨に他山の石だよ」
 江藤は話した。
「そうしてお互いによくなる」
「そうしたらここの評判も上がるしな」
「潰れるホテルや旅館も出ないし」
「皆助かるな」
「今回の一泊参考にさせてもらうよ」
 江藤は道長に告げた。
「だからこっちの人がうちに来てもね」
「ああ、色々見させてもらうな」
「宜しくね、自分だけだとね」
「経営も限界があるしな」
「お互い見てやっていこう」
「泊まってな」
 二人で話した、そして江藤を送るとだった。
 江藤は自分のホテルにおいて道長の旅館の長所と短所を参考にして働く様にしていった、道長と美香もそれぞれそうしていってだった。
 この地で暮らしていった、どのホテルも旅館も評判がよくリゾート地自体が知られ観光客が絶えなかった。その裏にはこうした話があることは知る人こそ知ることだった。


お互いに泊まること   完


                   2025・9・19 
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