火傷をしてもいい
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第一章
火傷をしてもいい
消防署員それも現場に行く者だ、河原崎寅喜はその為いつも身体を鍛えている。中背で逞しい身体をしていて面長の引き締まった顔で黒髪を短くしている。
当然火事になれば救助と消火に向かう、防火服を着こんでいるが。
「やっぱり火傷の危険はあるよな」
「いつもな」
同期で広報をしている伊東均吾に答えた、伊東は長身で痩せていて胡瓜を思わせる顔で黒髪を真ん中で分けている。
「現場はな」
「大変だな、命の危険もあるし
「それはもう承知のうえでな」
それでというのだ。
「俺もやってるからな」
「いいんだな」
「火傷してもな」
自分がというのだ。
「人を助けるさ」
「そうするんだな」
「まだ火傷したことはないがな」
実際にというのだ。
「いつもな」
「その覚悟でやってるんだな」
「ああ」
そうだというのだ。
「俺はな」
「凄いな、俺も消防署員だけれどな」
それでもとだ、伊東は河原崎に言った。二人で仕事が終わって飲みながら話している。二人とも飲んでいるのはビールだ。
「部署が違うからな」
「現場には行かないな」
「ああ、適性もないしな」
このこともあってというのだ。
「俺はな」
「現場には行かないな」
「だから余計に思うよ、凄いってな」
「俺はか」
「お前以外の現場に行く人もな」
その部署の者達はというのだ。
「本当に凄いよ、しかしな」
「火傷はするなか」
「それ以上に死ぬなよ」
河原崎に真剣な顔で言った。
「いいな」
「ああ、気を付けるな」
河原崎も真剣な顔で答えた。
ページ上へ戻る