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スーパー戦隊総決戦

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第十話 奈良においてその一

                              奈良において
「わあ、これが奈良かあ」
「鹿いるし」
 戦隊の面々は奈良公園にいた。緑の芝生の中に木々が点在している。そして鹿達がそれぞれ寝ていたり立っていたりしてそののどかな姿を見せていた。
 皆でその鹿達を撫でたり煎餅をあげたりしている。そしてその中で茉莉花が言った。
「この鹿達は」
「あれっ、どうしたのジャスミン」
「あまり性格がよくないわね」
 こう小梅に答えるのだった。
「どうやら」
「そうなの」
「今触ってみたけれど」
 茉莉花には超能力がある。人や動物に触れてその心を読むことができるのである。これにより多くの事件を解決してもきているのである。
「御飯を食べたい、やられたら絶対にやり返す、子供のお弁当を奪ってやろう、隙を見せた時こそ楽しみにしていろとかそういうことばかりね」
「滅茶苦茶性格悪くないか?」
 走輔が茉莉花の言葉を聞いて述べた。
「この外見でか」
「奈良の鹿は性格が悪いわよ」
 笑見がここで言ってきた。
「私修学旅行の時に角で突かれたことあるから」
「よくそれで大丈夫だったな」
「角切ってたから」
 こう軍平に答える。
「さもないと大怪我だったわよ」
「何でそんなことになったの?」
 それを問うたのはらんるだった。
「鹿に突かれるなんて」
「ちょっとからかったのよ。お煎餅をあげようとして上にあげたら」
「それで突かれたの」
「そうだったの」
 今度は茉子に答えるのだった。
「本当に一歩間違えたら」
「ううむ、それを考えたら」
「この鹿達も」
「油断できない?」
「少なくとも安心はできんぞ」
 爺もここで言った。
「かなり人間慣れしておるしな」
「あの、本当に子供の弁当強奪してますよ」
 鉄幹が指差したその先では子供が泣いていた。横から出て来た大きな鹿がその膝の上に置いてある弁当を食べているのである。
 それを見てだ。皆唖然となりながら言うのだった。
「何て奴だ」
「お肉まで食べてるし」
「あっちじゃゴミ箱ひっくり返して雑誌も食べてるし」
「ひょっとして餓えてるのかな」
「餓えてはいないと思うわ」
 スワンはそのことを既に見抜いていた。
「それはね」
「ないんですね」
「それは」
「ええ。その証拠にどの鹿も丸々と太っていてそのうえ毛並みもいいから」
 見ればその通りだった。どの鹿も実に立派なものだ。
「それはないわ」
「それにだ」
 宝児も言う。
「ここの鹿は春日大社の神様の使いだ。粗末に扱われている筈がない」
「じゃあ何でこんなに貪ってるんだ?」
「食べ物奪ってでもって」
「だから性格がよくないのよ」
 茉莉花がここでまた言った。
「ここの鹿達は」
「性格悪いの」
「それでなのか」
「そうよ。多分かなり甘やかされてるから」
 それが理由だというのだ。
「だからなのね」
「神様の使いっていう理由でか」
「それで甘やかされてるから」
「それでか」
 人間も動物も甘やかされるとよくはないということのサンプルでもあるのだった。確かにこの鹿達はかなり人間慣れしている。しかも媚びるところがない。
 
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