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DQ3 そして現実へ…  (リュカ伝その2)

作者:あちゃ
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大切な時間

<ラダトーム>

「なぁに…情報収集しに行ったのに、誰もゾーマの所まで行く方法を聞き出さなかったの?も~う…しょうがないわねぇ~…ちゃんと私が集めておいたわよ、情報を!」
マリーの恩着せがましい言い方に、心の底から嫌な顔をするリュカ…
「い、何時の間に!?流石はマリーだね…ただ歌ってただけじゃないんだ!?」
そんな父に気付いているものの、ワザと触れずに妹を持ち上げるティミー。
「当然です!この超天才美少女魔道士マリーちゃんにが居れば、無駄なく・そつなく・ぬかりなく大魔王まで一直線よ!お~ほっほっほっほっ!」
左手を腰に、右手は甲を口元に当て、つるぺたな…最近少しだけ膨らんできた胸を大きく反らして高笑いするマリー。


「…で、その情報は?」
本当に今回は真面目に会議を進めようとするリュカ…何よりも、早く終わらせてこの場からの解散をしたい気持ちでいっぱいなのだ!

「ノ、ノリが悪いわねお父さん…(汗)」
異様にテンションの低いリュカに対し、宴会からのテンションを維持しているマリーがリズミカルに語り出す。
「誰が言ったか憶えてないが、誰かが言ってたこの台詞!『雨と太陽が合わさる時、虹の橋が出来る!』ってね!ちょ~意味深じゃない!?更に更にぃ♪ こ~んな事も聞いちゃいました。『ラダトーム城に【太陽の石】ってアイテムがあるらしい』ってね!コレって~、コレってぇ~……もしかしちゃわない?もしかして、もしかしちゃったりだったりしちゃって!!」
大勢の人前で気持ち良く歌った高揚感から、何だかよく分からないテンションになっているマリー。


「……では、明日は城に行って『太陽の石』を探す事にしよう!」
早くアルルとティミーを二人きりにさせたいリュカは、マリーのテンションには付き合わず、話を纏めて立ち上がる。
「じゃぁ、疲れたし…マリー達も大騒ぎして疲れただろうから、今日はお開きにして休もう!」
そう言って部屋の扉を開け、みんなの退室を促すリュカ。
テンションが上がりきっているマリーは、不満げではあるのだが、リュカの指示に逆らう訳にもいかず、渋々ながら部屋を出て行く。

しかし何も分かってないラーミアが、出て行く直前に振り返り、
「アルル、ティミー、交尾ガンバレよ!」
と告げて、場の空気を凍らせた。
「バカ!人間は『交尾』って言わないって言ったろ!」
「むぅ!ミニモン生意気!ラーミアをバカにするな!…お前は何て言うのか知っているのか!?」
場の空気を気にしない2人は、皆に簡易アストロンがかかっている間に漫才を繰り広げる。

「本当にお前はバカだな!人間のはセッ(ゴスン!)くはぁ~!!」
NGギリギリの所でリュカの拳がミニモンの後頭部に降り注ぐ。
「お!?何だミニモン?『セッ』何だ?続きはな(ゴン!)ぎゃ!」
続いてしつこく騒ぐラーミアの後頭部にも、リュカの拳が落ちてきた…ただし威力は控えめで!
「お前等いい加減にしろよ!(怒)…今日はもうお開きなの!部屋に戻って寝ろ!良い子も、悪い子も、明日の朝まで部屋から出るな!」

泣き愚図るラーミアと、気絶するミニモンを両脇に抱え、リュカはアルルの部屋を後にする。
ラーミアの直線的台詞に顔を真っ赤にしているアルルとティミー…
そして互いを見つめ、思わず意識してしまい何も喋れなくなる2人の男女…
かなりの時間、黙って見つめ合っていた。
隣接する各部屋からは、各々が入室した音が聞こえてくる。


ティミーは室内に、自分たち以外に誰も居なくなった事を確認すると、勢い良くアルルを押し倒しキスをする!
何せ途中だったので、ずっと我慢していたのだ!
そして、それはアルルも同じ…
彼を強く抱き締めたと思ったら、手早く服を脱がし出す!


そんな白熱する部屋の外では………
みんなが居なくなれば、確実にアレを再開させると読んだマリーとウルフが、自室へ戻ったフリをしてアルルの部屋の前で待機していたのだ!

そして扉を少し開け、2人が互いに服を脱がし合う様子を観察している…
「何よ…結構脱がし慣れてるじゃないの!真面目なフリしてムッツリなんだから!」
「まったくだ…2人のキスは、結構激しかったぞ!…ティミーさん、さっきはずっと座っていたけど、ビンビンで立ち上がれなかったんだゼ!」
「アルルさんだってそうよ!立ち上がったら雫が滴り落ちてきたはずよ!だって臭いをプンプンさせてたもん!」
マリーとウルフは室内の状況から一切目を離さずに、ふざけた意見を語り合う。

(ゴツン!)(ゴツン!)
すると2人の後頭部に強烈な衝撃が降り注ぐ!
「ぐ(んぐっ!)」「ぎゃ(もが!)」
脳天への衝撃と共に、不意に口を塞がれた2人は、慌てて周りを確認する…
そこには、かなりマジで怒っているリュカと、マリーの口を塞ぐビアンカ、ウルフの口を塞ぐハツキの姿が…
「んがもががむが!」「ふがもがむ!」
2人とも一生懸命言い訳をしているが、口を塞がれているので何を言っているのか分からない。
そんな2人を見下ろしながら、リュカは顎でこの場から移動する様に、ビアンカとハツキに合図する。


マリーとウルフを拉致したリュカ等は、アルルの部屋から一番遠くにある自室へと戻り、2人を正座させ目の前に仁王立ちしている。
「お前等性懲りもなく…」
一際怒っているリュカを筆頭に、夫婦の時間を邪魔されたビアンカと、その後に控えている自分の時間を邪魔されたハツキが、同じくらいの怒りで2人を睨み付けている。
「ち、違うのよお父さん!!コレはアレよ…その…ゆ、勇者カップルが、どんなプレイをするのか気になっちゃって!!べ、勉強になればなぁ~…と、思っちゃって!!」
「そ、そうですよリュカさん!そ、それに俺は2人の恋のアドバイスをしましたからね…どの様に成長したのかを、確認したくって…えっと…ねぇ!?」

その後2人は、一晩中説教をされ続けた…
リュカが終わるとビアンカが…
そしてその後にはハツキまでもが説教を続けたのだ。
親友アルルの恋を邪魔する事が許せないのだろう…勿論本音は別だろうが…

マリーとウルフは、リュカがティミーの事を大切に思っているのを、骨身に染みて知る事となった。
そして、もう二度と覗かないと心に誓うのである。



 
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