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金木犀の許嫁

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第十七話 生まれ変わりならその四

「お好きでないのです」
「そうなの」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「私達もです」
「様付けはしないの」
「前はそうでしたが」
「それをなのね」
「幸雄様が言われて」
 彼自身がというのだ。
「それならということで」
「さん付けなのね」
「そして真田家の他の方々も」
 彼等もというのだ。
「その様に言われています」
「そうなのね」
「はい、そのことはお聞きになっていなかったですか」
「お父さんとお母さんから」
「どうだったのでしょうか」
「忘れていたかも」
 真昼は白華に少し考える顔になって答えた。
「前に言われてね」
「そうだったのですか」
「私達のお家あまり十勇士のお家とお付き合いなかったからね」
 白華を見て話した。
「だからね」
「そういえば私のお家とも」
「お付き合いなかったでしょ」
「そうでしたね」
「若しかして大阪に引っ越してからね」
 それからというのだ。
「お付き合いがね」
「なくなったんですか」
「そうじゃないかしら」
「そうですか」
「皆神戸で暮らしているでしょ」
「真田家の方々も十勇士それぞれの本家も」
「それがね」
「大阪に行きますと」
「お仕事とか学校のお付き合いはあっても」
 それでもというのだ。
「十勇士のお家とはね」
「お付き合いがなくなりますね」
「猿飛家の他の分家の人達も」
 彼等もというのだ。
「特にね」
「お付き合いがですね」
「なかったし。大阪にいるのはね」
「真昼さんのお家の方々だけですか」
「他の十勇士のお家の人達もね」
「それでなのですね」
「そうしたお話はね」
 付き合いがないうえにというのだ。
「聞いてもね」
「忘れていましたか」
「そうね」
「大阪と神戸は目と鼻の先と言っていいですが」
 電車で行き来出来る距離だ、それこそ一時間もあれば行ける。
「しかし」
「それでもね」
「離れるとですね」
「どうもね」
 これがというのだ。
「縁がなくてね」
「こうしたお話もですか」
「忘れるわね」
「聞いても」
「そうね、しかし幸雄さんのことを聞いて」 
 ここまでとだ、麻尋はあらためて述べた。
「いい人ってね」
「おわかりになられましたね」
「これまでお聞きしてこちらに来てくれてね」
「それで、ですね」
「一緒に住んでお話もして」
 本人と、というのだ。 
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