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八条学園騒動記

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第七百五十話 練習中にまた話をしてその六

「それまで長生き出来なかった人がだ」
「生きられる様になったか」
「そうなった、一九二〇年代生まれの人と一九三〇年代生まれの人でだ」
「違うか」
「昔は子供がよく死んだ」
 乳幼児の死亡率が高かったというのだ。
「昨日元気でも今日はだ」
「子供は死んでいたんだな」
「そうした状況でだ」
「丈夫な人でないと生きられなかったか」
「その中でも特に丈夫な人がな」 
 そうした人こそというのだ。
「スポーツ選手になっていた」
「それで丈夫だったか」
「日本で言うと大正時代の人の方がだ」
 丁度戦前に現役であった人達である。
「昭和十年代生まれの人達よりも丈夫だった」
「そうだったんだな」
「だから一九二〇年代の人達なら」
 その頃生まれた人達はというのだ。
「ずっと連投でもな」
「大丈夫だったか」
「だがそれ以降の人達は」
「丈夫でなくてもか」
「生きられる人が増えてな」
「スポーツ選手でもか」
「連投は出来ても」  
 先発でというのだ。
「長持ちしなくなった」
「そうだったか」
「そしてサチェル=ペイジさんはな」
 今話しているこの人物はというのだ。
「本当にな」
「その中でもか」
「特に丈夫だった」
 そうした身体の持ち主だったというのだ。
「そうだった」
「そうなのか」
「だからだ」
 それ故にというのだ。
「六〇近くまでな」
「投げられたか」
「そうだった」
 こう話した。
「あの人はな」
「そういうことか」
「時代によってな」
「医学も変わってか」
「生きられる人も増えてな」
 そうなってというのだ。
「人口は増えたが」
「それでもか」
「昔は早く死ぬ様な人も生きられてだ」
「スポーツ選手になってか」
「頑健さは全体的に見てな」
 スポーツ選手のそれはというのだ、そこに野球選手が入っていることはもう言うまでもないことだった。
「かなりだ」
「落ちたか」
「そうなった」
「一九二〇年代の人と一九三〇年代の人でもか」
「生まれがな、僅か十年じゃない」
 この場合はというのだ。
「その十年で医学はな」
「かなり違っていたか」
「しかもその頃文明の利器も変わった」
 一九二〇年代生まれの人が現役との頃と一九三〇年代生まれの人が現役の頃ではそうなっていているというのだ。
「これがな」
「十年でか」
「車が増えて他にもだ」
「文明の利器がか」
「増えてな」
 そうなっていてというのだ。
「その分身体を動かさなくなってな」
「トレーニングだけが身体を鍛えるものじゃないか」
「日々の生活もな」
 これもというのだ。 
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