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豊臣秀吉が異世界で無双系姫騎士やるってよ

作者:モッチー7
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第6話:再起経験か足りない……

 
前書き
前回のあらすじ

友軍が次々と敵砦を次々と破壊する事態に完敗の足音を感じずにはいられないオラウ。
そして早速敵軍師イナオリの思惑通りの凶報がオラウの許に届く。
何と、敵砦破壊速度が最も速かった第一王子が野営地内で死亡……しかもその頭部は行方不明……怖っ!
ドウカァー達は予想外の展開に驚き動揺する中、この展開をある程度予想していたオラウはまったく驚く事無く目の前の敵砦に対して行っていた干殺しを中断し、急遽アニマの姉が率いる部隊を救助する事を決断します。
だが、既に敵の砦を8か所も破壊しており、アニマの姉に関するオラウの不安は更に募ります。
そして……
アニマの姉が率いる部隊の野営地に到着した時には既に遅く……アニマの姉はエイジオブ帝国に寝返った一般兵達に拉致されて既に数日が経っていました……
一方、オラウ隊が未だに資源収集用砦を1つも墜とせていない事態に危機感を抱いたイナオリは、指揮官のオラウの賢さを危険視。
オラウと言う危険要素を排除すべくエイジオブ帝国特殊精鋭部隊『イェニチェリ』の前線投入を決意し、それを自分自ら指揮する事を決意するのでした。

へべく! 

 
豊臣秀吉(わたし)達は、ヌードン救助に失敗したその足で私達が落とす予定だった砦の前に戻った。
とは言え……失敗したとはいえヌードン救助を理由に1度はその場を離れたのだ。それってつまり……敵への兵糧攻めは1からやり直し……
「オラウ様!敵襲です!」
「敵襲!?奴らは既に兵糧の補充を終えた筈ではないのか!?」
豊臣秀吉(わたし)は理解に苦しんだ。
色々と準備万端な時の豊臣秀吉(わたし)が相手なら兎も角、守りが硬くて兵糧がたっぷりある砦を早々に放棄して野戦を選択する理由が思い浮かばない。
突撃上等なドウカァー辺りが喜びそうだが、嫌に不気味なのでそれは避けたい。
なにせ、こっちは奴らを砦の外に誘き寄せる事はなに1つしていないからだ。
……
……
……
またドウカァー達に臆病者とどやされるが、ここは背中を見せながらゆっくりと下がるか。
「全員、ゆっくり後退」
だが、今回はドウカァー達に何も言われなかった……
どうやら、エイジオブ帝国に寝返った元同胞に裏切られた事を未だに引き摺っておる様じゃな……
とは言え、それが自分達が目の前の敵に殺されても良い理由とはならん!
しかも!相手はどう言う訳か砦を捨てて私達に野戦を挑んでくれたのだ!下手に奴らに「砦に帰りたい」と言わせる道理は無い!
だが!だからと言ってこっちが兵を無駄遣いする道理も無い!
でも……これが意外と難しい!
鉄砲を持っている敵軍相手に付かず離れずを保ったままゆっくりと逃げるフリをするのは怖いし疲れる。
それに、
「あっ!?テメェ逃げてんじゃねぇ!さっさとお得意の突撃をしろよ!テメェらはそれでもムソーウ王国の軍隊かぁー!」
相手からの挑発が非常にムカつくものだ。いつものドウカァー達ならここで突撃していた事だろう。
しかし、
「逃げるな!戻れ!さっさと砦を攻め落とせ!」
よく聴いてみると……どうもただの挑発には聞こえない……
本来、挑発する側は堂々とする筈だ。
なにせ挑発とは、相手の誇りを刺激して相手の冷静さを奪う事を言う筈だ。故に、挑発はもっと悪口じみていなければならない筈だ。
だが、今回私達が受けている挑発はドウカァー達の怒りを買うと言うより……何かこう……何だったけ?
「敵の砦が目の前に有るんだぞぉー!お前達もムソーウ王国軍人の端くれなら、さっさと目の前の砦を落とせよぉー!」
そうだ!
逃げる味方に突撃を命令する無謀で非情な大将の見当違いな命令だ!
逃走を禁じ、敵に投降する事を禁じ、ただひたすら戦う事のみを強要した、情け容赦無い無謀な……
ってあれ?
アイツ、私達の敵だよね?
何でアイツに命令されなきゃならんのだ?意味が解らんわ!
「こんな小さい砦相手に何日掛かっている!?さっさとこの様な弱々しい砦、さっさと落とせよ!お前達はそれでムソーウ王国軍人かあぁー!」
それに……アイツ何か焦ってないか?
……
……
……
「後退は一旦中止。今日はここで野営する」
豊臣秀吉(わたし)のこの命令に、ムソーウ王国やマッホーウ法国を裏切った連中にされた事が余程ショックだったドウカァーも、流石に反発する。
「ですが、敵軍は目の前ですぞ?」
……いつもより弱々しいがな……
とは言え、今回のドウカァーの言い分は間違ってはいない……筈……
だが、どう言う訳かあいつらに襲われる心配が全く無い!何故かは知らんがな。
でも、取り敢えずは交代で見張りを立てるぐらいはしておこう。

ドウカァーの言う通り目の前に敵軍がいると言うのに、何故か豊臣秀吉(わたし)は目の前の敵軍に襲われない予感がしていた……
いや、確信していた!
その証拠に、あいつらは無謀で無慈悲な命令の様な挑発擬きを繰り返すばかりで、威嚇射撃すらしない。
……恐らくだが、豊臣秀吉(わたし)にカミカゼやヌードンと同じ過ちを犯させようとしているのか?
……こういう時にアニマの動物操作を使いたいところだが―――
「調べて来たよ」
調べた!?
アニマがか!?
ヌードンが……仲が悪かったとは言え実の姉が敵に捕まってショックな筈のアニマがか!?
あのドウカァーですらあんなんなのに……
「……気持ちはありがたいが無理はするな……アニマだって辛い筈だろ?」
だが!アニマの意志と志気は意外と高かった!
「確かに敵に捕まったお姉さんの事は心配です。でも、此処で立ち止まったら何も変わらないですから!」
アニマ……お前はそこまで強い人間だったのか!?
「このまま敵に勝ち続ければ、もしかしたらお姉さんを助けられるかも知れない。もしお姉さんが既に駄目だったとしても、ある程度勝っておけばある程度は無念を晴らせるかもしれません」
エイジオブ帝国の戦術に姉を奪われた少年の勇気を振り絞ってのこの言葉……当然腑抜けになったドウカァー達に響いておるだろうな?
「だから……僕は僕が出来る戦い方をします!オラウさんが信じてくれたこの力で」
アニマ・マッホーウ見事なり!正にマッホーウ法国屈指のいくさ人よ!
すると、今までアニマの事を馬鹿にしていたドウカァー達が一斉にアニマの前で膝を屈した。
「アニマ様!お見事にございます!このドウカァー、感服いたしましたぞ!」
ここまで来たら、私は是が非でもアニマを手放せなくなったな。
「解った!アニマ・マッホーウ!その力、改めて私達の為に使ってくれ!」
その時のアニマは、年相応の笑顔を魅せてくれた。
「はい!」
私は本当に、ムソーウ王国やマッホーウ法国の中にいた味方の中では非常に頼もしい仲間を運良く手に入れられたものじゃ!
ただ、このお涙頂戴劇に水を差す様で悪いが、アニマのこの演説のせいで、ムソーウ王国が『突撃一辺倒で柔軟性が無い』に逆戻りだけは勘弁な。

で、アニマの報告によると、私達の野営地の前にいる敵軍の大隊長は焦っているとの事。
そこで、彼らは砦から出て野戦を挑むフリをして私の中に眠る突撃欲を刺激して突撃命令を出させ、私達の突撃に耐えられずに敗走するフリをして最初の砦を放棄、そのまま第二次砦まで撤退して私を勝利に溺れた状態にし、そのまま私をズルズルとカミカゼやヌードンと同じ轍に引き摺り込む。
それが奴らの作戦らしいとアニマは言うのだ。
「なるほどな……道理で豊臣秀吉(わたし)が後手に回る事への危機感が欠如していた筈だ」
「と……申しますと」
やっぱりね。ドウカァーはこの程度の回りくどい説明だけでは理解出来ないのだ。ま、慣れましたけどね。
「つまり、この戦いは私達にあの砦を落とさせる為の、接待(・・)みたなもんですわ」
「接……待……何でエイジオブ帝国が、今更我々の御機嫌取りを?」
やはり首を傾げるドウカァー。
そりゃそうだ。戦術が乏しい者にとって敵にわざと自分の城を落とさせる行為は、自殺行為以外のなにものでもないだろう。
だが!ヌードン救助に失敗した今の豊臣秀吉(わたし)には解る!エイジオブ帝国が行っている接待合戦の本当の意図を!
「それは、私達が強いと勘違いさせて無謀な突撃を繰り返させる為だ!そんなエイジオブ帝国お得意の接待戦法にまんまと引っ掛かったカミカゼ兄上は、気付いた時には就いて来た一般兵達がエイジオブ帝国の甘言に絡め盗られてカミカゼ兄上を……」
豊臣秀吉(わたし)の説明を聴いて難しい顔をするドウカァー。
「となると……我々はどうすれば?」
だが、豊臣秀吉(わたし)にとってはこれは好機!
どっちにしろ、今のアイツらは砦の防御力を自ら捨てた状態。この機を逃す馬鹿はいない!
「大丈夫だ!豊臣秀吉(わたし)に良い手がある!」

一方、一向に自分達への攻撃を行わないオラウ隊にイライラするヨツメ。
「くそぉー!俺が聴いた話では、既にムソーウ王国の攻撃を受けている筈なのにぃー!」
だが、オラウ隊は他のムソーウ王国軍将校とは違って慎重な戦術に徹底しているのだ。
これは正直、ヨツメに運が無かっただけなのだ。
なにせ相手は、エイジオブ帝国にとっては異世界と言える日本を掌握した天下人『豊臣秀吉』の生まれ変わりである『オラウ・タ・ムソーウ』だからだ。
豊臣秀吉は勇猛果敢で無謀で柔軟性が無い突撃一辺倒なムソーウ王国とは違うのだ。寧ろ逆だ。
戦わずして勝つ!
使える資金や人材を最大限に使用し、敵も味方も多数死者が出る直接的な戦闘は避け、味方を温存しながら敵を下す。特に城攻めに関しては、長期戦に持ち込んで敵方の餓死者を悪戯に増やしていく。
豊臣秀吉はそう言う男であり、オラウ・タ・ムソーウに生まれ変わっても『戦わずして勝つ』路線を頑固なまでに変えないのである。
だが、対するエイジオブ帝国は、ムソーウ王国やマッホーウ法国の得意戦術は熟知しているが豊臣秀吉の必勝戦術をまったく知らないのだ。だから、エイジオブ帝国はムソーウ王国やマッホーウ法国の得意戦術を参考に、わざと連敗を重ねながら敵軍を疲労させ、下っ端を巧みな甘言で転向を促し、敵軍の上層部を暗殺か捕縛する。真綿で首を締めるかの様な接待戦法『クーデタードア』を生み出したのだ。
が、そのクーデタードアが実行者であるヨツメから武運と悪運を奪う結果になってしまったのだ。
しかも、このクーデタードアがマッホーウ法国を滅ぼし、ムソーウ王国軍将校を次々と捕縛か殺害しているので、クーデタードアの欠点を指摘してくれる傑物に乏しいのも、長期戦思考なオラウと戦うヨツメを更に追い詰めたのだ。
「他の部隊は既に敵部隊を次々と壊滅させたと言うのに……何で俺だけ……何で俺だけえぇーーーーー!」
ヨツメにとっては屈辱だった。
このままだとヨツメは無能な指揮官と言う烙印を押されてしまう……ヨツメの出世街道が完全に閉ざされてしまう……
それだけでもヨツメを焦らせるには十分な要素だが、ヨツメが焦ってイライラしている原因はそれだけではなかった。
「あの馬鹿ガキは、イェニチェリは今どこだ!?」
「既に我が部隊の第四次砦で待機中です」
副官の報告を聴いて焦るヨツメ。
「もうそこまで来ているのか!?」
エイジオブ帝国王室側近軍師であるイナオリ・ネッジーは、オラウ隊が木こりだけ殺していると言う報告を聴いた時点で既にヨツメが実行しているクーデタードアの失敗を察し、その事実をオラウ隊諸共歴史の闇に葬り去ろうと特殊部隊イェニチェリを率いてやって来るのである。
このままでは、例えオラウ隊を撃破してオラウを捕縛または殺害してもイナオリの手柄になってしまう。
「クソオォーーーーー!早く、早くさっさとお得意な突撃しろよ!でねぇと……俺に恥を掻かせる心算かあぁーーーーー!」
故に、ヨツメは油断して致命的なミスを犯した。
「大変です!」
「今度は何だ!?」
「敵襲です!奴らが遂にこちらに突撃しました!」
報告を最後まで聞かなかったヨツメは、久々に……もとい、オラウ隊との戦いで初めて万遍の笑みを浮かべた。
「そうか♪予定通りだな♪では、早速撤退するぞ!」
そう言ってオラウ隊の野営地に背を向けるヨツメだったが、
「お待ちください!それでは敵軍と激突してしまいます!」
「何でだよ!?敵はどう視てもあっちだろ!」
そう言いながら背後のオラウ隊野営地を指差すヨツメだったが、
「ぎゃあぁー!」
「うっわぁぁ。何で最後尾である俺達が敵の突撃を受けているんだ?」
「敵が退路からやって来るなんて……聴いて無いぞおぉーーーーー!」
予想外だらけの報告に狼狽するヨツメ。
「何が……どうなっているのだ?」
だが、予定通りにオラウ隊が自分達に向かって無謀な突撃をしてくれたのだ!それを活かさねばとヨツメは判断した!
「撤退だ!第一次砦を通過しつつ第二次砦に向かうぞ!」
しかし、
「どうやって!?敵は第一次砦へと続く道から突撃しておるのですぞ!」
「……何!?」

やっぱりねぇ♪
奴ら、私達が前方から突撃した途端に即撤退して私達が勝ったと錯覚させ、そのまま私達に砦への無謀な突撃を促す作戦だった様だ。
だから、豊臣秀吉(わたし)達は野営地の反対側から出て、アニマの動物操作魔法を使って相手に気付かれずに背後に回り込んだ。
上手い事背後を盗った豊臣秀吉(わたし)達は、遂にドウカァー達待望の命令を下した。
「突撃!」
効果は絶大だった♪
背後からの攻撃を想定していなかった敵は、無抵抗で豊臣秀吉(わたし)達の攻撃を受けてくれた。しかも、豊臣秀吉(わたし)達が意参る所が敵の予定退路だからか、逃亡も蜘蛛の子散らすかの様に無秩序でデタラメ。
今回はまだまだこちら側の戦死者が出る可能性が大きい戦い方だが、今までの無知蒙昧で無茶無謀な突撃を繰り返して敵の接待戦法にまんまと引っ掛かったムソーウ王国にしては大きな1歩じゃ。反撃されずに攻撃する術を身に着ける為の第1歩となる事を祈るぞ!
と、ここで気を緩めてはいけない事態が発生した。
とは言っても、無秩序に混乱するのみだった敵が遂に反撃した……ではなくて!
手前味噌ながら、私が強過ぎるからだ!
何度も言っていると思うが、私が所属しているムソーウ王国の将校は、鎧袖一触が容易に出来る一騎当千でなければ部将以上に昇格出来ない。
当然、ムソーウ王国軍部将である私も一騎当千でい続けなければならない訳で……
「はあぁ!」
ムソーウ王国御自慢の戦技を使わずとも、私が軽く剣を振るだけで十数人の敵兵を木の葉の様に吹っ飛ばしてしまうし、ついつい敵兵を遠投してしまうし、戦技の1つである『光刃』を使えば遠くにいる鉄砲隊を近づく事無く簡単にまとめて斬り殺せる……
我ながら化物だなぁ……ムソーウ王国がムソーウ王国軍将校に求める戦闘能力と身体能力が人間離れ過ぎる……
これでは、有頂天になって戦術を疎かにした突撃に傾倒すると言う間違いを犯すのも無理は無いな。
だが、ここで反転の機を見落とす訳にはいかない。
「反転だ!砦を盗るぞ!」
「背後の砦に向かって突撃ー!」
ここまでは豊臣秀吉(わたし)の予定通り。問題は、私達がどれだけあの砦に辿り着けるかである。
で、豊臣秀吉(わたし)のこの言葉を聴いて慌てるのは当然敵大将。
「いい加減にしろよおぉー!それでもお前は、ムソーウ王国将校か!?この、臆病者オォーーーーー!」
……幼稚な挑発。必死だねぇ。
でもま、とっくに恥を掻かせているとはいえ、この馬鹿を無傷でほっとくのも癪に障る。
だから、私は「本当に豊臣秀吉(わたし)か?」と言いたくなる程の速度で先程私を挑発した男に近付き、死なない程度にかつ跡が必ず残る程の斬撃を奴の顔に叩き込んでやった。
「ぎゃあぁーーーーー!」
豊臣秀吉(わたし)がした事はそれだけであり、敵の砦に向かって突撃させたドウカァー達の許に戻る事にした。
一方、大混乱して無秩序にバラバラに逃走する敵兵達の中に私達がさっきまで使っていた野営地に逃げ込む者もおったが、そこは生憎、既に無人よ。
その後、豊臣秀吉(わたし)達は敵が戻ってくる前にエイジオブ帝国がついさっきまで使用していた砦に入城し、アニマ達が既に砦を落としてくれていた事を確認した。
「アニマ、無事だった様だな?」
アニマの明るい笑顔が、この砦を容易に落とせた事を物語っていた。
「はい。僕達が辿り着いた時には、既に誰もいませんでした。正直言って不気味だったので、この近くに暮らす蟻達に周囲を探索させたけど、今のところはこの砦に危害は無いらしいよ?」
確かに、無人の砦を落とすのは意外と勇気がいるし、アニマの言う通り逆に不気味だ。だから、アニマの今回の過剰な警戒はあながち間違っていない。
が、今回は杞憂と徒労に終わった様だ。
「だとすると……アイツはこの砦の戦力を全てあの野営地に向けたのか……」
カミカゼやヌードンの失態を考慮すれば、この砦を捨てて今回の挑発に賭けたのも頷ける。
だが無謀だ。今回の様に捨てた砦が敵に利用される事態もあり得る訳で……
「ま、考えてもしょうがない。せっかく手に入れた砦だ。有効利用させて貰うよ!」

一方、ヨツメは誰もいないオラウ隊野営地に駆け込み、そこで残り僅かになった部下達の治療を受けていた。
「ふがもがけだぁーーーーーあ!」
ヨツメは顔半分が包帯で覆われて口が塞がっている状態なので副官が代わりに集合の合図を掛けたが、ヨツメと合流出来たのは10人にも満たない。
ある者はオラウ隊に討ち取られ、ある者は一目散に逃げる事に夢中になり過ぎて大隊とはぐれて行方不明。
正にヨツメ隊の完全敗北である。
「ふがげがぁーーーーー!」
ヨツメは激痛と屈辱にもがき苦しみながらオラウに復讐を誓った。
それもただの復讐ではない。オラウを生け捕りにして永き生き地獄に堕としてやると誓った。そう、エイジオブ帝国の他の部隊に捕縛されたヌードンの様に。 
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