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自分の荷物

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第一章

                自分の荷物
 何かとあってだった。 
 シンドバットはある島に辿り着いた、そこで彼はいつも一緒にいる従者の姿も認めて彼に対して尋ねた。
「今回も生きてるよな」
「旦那様もですね」
「生きてるから言うんだ」
 これがシンドバットの返事だった。
「そうだろ」
「それもそうですね」
「それでここは何処だ」
 従者にあらためて尋ねた。
「一体な」
「起きていきなりわかりませんよ」
 従者はこう返した。
「ですからまずは」
「ここの人に聞いてか」
「確かめましょう」
「それもそうだな」
 シンドバットも頷いた、そうしてだった。
 自分達が海岸にいることを確認して近くにたまたまいた初老の漁師に聞くとこう言われた。
「ここはミュールジャン王の国だよ」
「その王様の国か」
「そうだよ」
 こう言うのだった。
「この国はな」
「そうなのか」
「そしてな」
 漁師はさらに言った。
「ここでは名馬が生まれるんだ」
「名馬がか」
「波打ち際にいいまだ一度も種付けしていない雌馬を連れて行くんだ」
 まずはそうするというのだ。
「そうしたらな」
「ああ、わかったぞ」
 シンドバットはその話を聞いて笑顔で応えた。
「そこで海から海馬が出て来るんだな」
「ああ、知ってるんだな」
「その話は俺も聞いたことがあるよ」
 笑顔のまま話した。
「実は色々な国を巡っていてな」
「それでか」
「そうした話も聞いたよ」
「そうなんだな」
「それで雄の海馬が来てだな」
「雌馬に種付けするんだよ」
 そうするとだ、猟師は話した。
「あんたの言う通りな」
「やっぱりそうだな」
「ただ雄馬は雌馬を連れ帰ろうとするからな」
「女房にしてな」
「雌馬には縄を付けておいて」
 そうしてというのだ。
「俺達が剣や盾を鳴らしてな」
「雄馬を追い払うな」
「そうするんだよ、そうしたらな」
「物凄い名馬が手に入るな」
「三千世界に他にないな」
「噂に聞いたその国に来るなんてな」
 流れ着いたとはとはいえとだ、シンドバットは思った。 
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