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八条学園騒動記

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第七百四十七話 サチェル=ペイジその十二

「現役生活は短かったな」
「まだやれそうでも引退したな」
「だが凄い人だったな」
「そのことは事実だな」
「その人にもね」
 その五〇〇勝投手はというのだ。
「例えられているのよ」
「そうなのか」
「そんな人もいるのか」
「凄い人だったから」
 五〇〇勝達成した様なだ。
「言われてるわ」
「そうした人もいるんだな」
「イスラエルにはな」
「そうなの、そしてね」
 アンはさらに話した。
「コーファックスって持ち球少なかったのよね」
「三つしかなかったそうだな」
 タムタムが腕を組んで答えた。
「確か」
「本当に少ないわね」
「ストレートとな」
 言うまでもなくこの時代でもピッチャーの球種の基本である。
「カーブとだ」
「あと一つね」
「チェンジアップだ」
「それで三つね」
「それで全てだ」
「シュートやスライダーやフォーク投げなかったの」
 アンはこの時代でもよく投げられている変化球の名前を出した、この三つの球種をいずれか若しくは複数投げるピッチャーは非常に多い。
「そうだったの」
「そうらしいな」
「その三つだけって」
「だがその全部がな」
 三つの球種がというのだ。
「抜群によくてな」
「それでなのね」
「凄かったらしい」
「そうだったのね」
「ユダヤ系の最高のピッチャーだったとな」 
 その様にというのだ。
「言われていたな」
「そこまでの人だったのね」
「知らなかったか」
「いや、名前位しかね」
 アンは残念そうに答えた。
「知らなかったわ」
「そうだったか」
「残念なことにね」
 コーファックスのことはというのだ。
「名前は知っていたけれど」
「それでもか」
「イスラエルでも有名だし」
 祖国でもというのだ。
「凄いメジャーのピッチャーだったって」
「英雄か」
「そう言っていいけれど」
「どんな人かまではか」
「私もね」
 こうタムタムに話した。
「知らなかったわ」
「そうだったか」
「ええ、けれど凄い人で」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「球種はその三つだけだった」
「ならその三つがね」
 ストレート、カーブ、チェンジアップがというのだ。
「凄かったのね」
「そうだった、どれもな」
「だから勝てたのね」
「だがすぐに限界と言ってな」 
 三十を過ぎたばかりでそう言ったのだ。
「残念なことにな」
「すぐに引退したのね」
「肘に爆弾があったらしい」 
 それで常に気を使っていたという。
「何でもな」
「それでなのね」
「引退してな」
 そうしてというのだ。
「伝説になった」
「成程ね、じゃあちょっと観てみるわ」
「観る?どうしてだ」
「ゲームでね」
 こう言ってだった、アンは二人に恋人のギルバートも呼んで放課後自分の部屋に来る様に言った。そうして話すのだった。


サチェル=ペイジ   完


                 2024・1・9 
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