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金木犀の許嫁

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第十話 部活でその十

「もうね」
「そこで失敗して」
「怪我もするから」
 だからだというのだ。
「絶対にね」
「焦らないことですね」
「鱧の使って火もとなると」
 そうであるならというのだ。
「焦ったらね」
「本当に怪我しますね」
「だから焦らず的確によ」
「やっていくことですね」
「焦る位なら」
 それならというのだ。
「自分が出来るお料理をね」
「作っていくことですね」
「それで徐々に経験を積んで」
 そうしていってというのだ。
「レベルを上げていってね」
「より難しいお料理出来る様になっていくことですね」
「私達が高級フランス料理なんか作れないでしょ」
 夜空はかな恵に話した。
「そんなことはね」
「絶対に無理ですよね」
「そう、だからね」   
 それでというのだ。
「出来るお料理を焦らずね」
「作っていくことですね」
「そうして技量を上げていくのがね」
「うちの部活のやり方ですね」
「一歩ずつでいいのよ」
 技量を上げていくことはというのだ。
「それこそ人参切るだけとかね」
「ジャガイモの皮を剥くだけでもですね」
「いいのよ、というかこうしたことが出来ないと」
「基本ですからね」
「基本が出来てないとね」
「何も出来ないですね」
「雑用を馬鹿にしている人は実はお仕事が出来ない」
 こうもだ、夜空は言った。
「うちの学校全体でよく言われるでしょ」
「お勉強もまずは小学校低学年からですね」
「雑用は起訴でね」
「小学校低学年の勉強も基礎ですしね」
「基礎が駄目だとね」
 そうであるならというのだ。
「肝心のことがね」
「駄目ですね」
「だから雑用を馬鹿にする人はね」
「お仕事が出来ない人ですね」
「自分はどう思っていても」
 優秀だの思っていてもというのだ。
「そうだしね」
「切ったり剥いたりすることも」
「大事なことでね」
「それをやることもですね」
「恥ずかしいことじゃなくて」
 そうであってというのだ。
「しっかりとね」
「やっていけばいいですね」
「そうよ」
 夜空の返事は淀みのないものだった。
「そうすればいいのよ」
「そうなんですね」
「というかね」
「というか?」
「いや、普通にね」
 それこそという口調で言うのだった。
「怪我しないことは大事だしね」
「怪我したら元も子もないですね」
「部活はあくまで楽しく真剣にでしょ」
「それで努力して結果を出す」
「そうした場所でね」
「怪我したら駄目ですね」
「怪我していいことはないから」 
 夜空は包丁を使いながら言った、人参を切っていくがそれは肉じゃがそれにビーフシチューに合わせた大きさで切られている。 
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