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金木犀の許嫁

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第八話 同居をはじめてその三

「自分が困った時にね」
「何してくるかわからないですね」
「それも延々とね」
「そうしたことを考えても」
「絶対にね」
 それこそというのだ。
「人はけなさない、そもそも傷付けることも」
「しないことですね」
「普通の人でも傷付くし」
「そんな人に何かしらな」
「絶体絶命の時にやってくるから」
 そうしてくるからというのだ。
「しないことよ」
「その人のお話聞いてわかりますね」
「ええ、それに何よりもけなしたらその人が奮起するどころか」
「テンション下がりますね」
「それもずっと言われたら」
「尚更ですね」
「それならやってやるってなる人もいると思うけれど」
 それでもというのだ。
「テンション下がってね」
「やる気なくす方が普通ですね」
「だからいいところを見て」 
 そうしてというのだ。
「上げることよ」
「そうすることですね」
「まあ世の中人間の最底辺からさらに落ちて」
 そうなってとだ、夜空はサラダを食べつつ応えた。
「人間よりも酷いね」
「そんな人もいますね」
「こうなるとね」
 人間以下の存在にというのだ。
「もうね」
「どうにもならないですね」
「褒めるところなんてね」
 人間でなくなると、というのだ。
「なくなるけれどね」
「人間だから褒められますね」
「普通の生きものもね」
「人間の最底辺から落ちたら」
 真昼はそうなると、と話した。当然彼女もハンバーグとサラダを食べている。佐京は黙々とそうしている。
「生きものじゃなくて餓鬼になるのよ」
「あのいつも餓えている」
「そう、六道のね」
 仏教のそれのというのだ。
「普通の生きものの畜生道でもないね」
「餓鬼道ね」
「そこに落ちて」
 そうなってというのだ。
「褒めるところなんてね」
「ないのね」
「それでよく言う人もね」
「いないのね」
「そんな人もいるのよ」
 世の中にはというのだ。
「もう餓鬼になるとどうにもならないわよ」
「そこまでなると」
「最早ね」 
 こう言うのだった。
「誰でもね」
「救えないですか」
「ええ、もうね」
 白華に話した。
「無理よ、どんな人でも」
「救えなくて」
「どんな宗教でも哲学でもね」
「それが餓鬼ですか」
「そう、人でなくなった場合は」
 それこそというのだ。 
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