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金木犀の許嫁

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第七話 同居のはじまりその三

「お刺身を胡麻醤油に漬けてお茶漬けにして食べても」
「いいのね」
「そうしたお料理もまた」
「九州で鯖を生で食べることは知ってたけれど」
 夜空はそれでもと言った。
「そうした食べ方もあるのね」
「そう」
「いい勉強になったわ、そういえばね」
 ハマチを食べつつ言った。
「私九州のお料理はね」
「よく知らないんだ」
「言われてみればね」
「俺も。鯖を生で食べることは知ってても」 
 佐京は白ワインを飲んでから話した。
「他のお料理はあまり知らない」
「そうなのね」
「知ってるのはガメ煮とモツ鍋と明太子と」
 福岡の料理を挙げていった。
「豚骨ラーメン」
「麺が細い」
「そういうの位で」
 それでというのだ。
「後は鹿児島料理」
「佐助さん達が逃れた先ね」
「それと長崎ちゃんぽん」
 今度は長崎名物だった。
「けれどそれ以外は」
「そう言えば知らないわね」
「だから勉強して」
 九州の料理をというのだ。
「食べられたらいい」
「そうよね」
「うん、ただ福岡に行った時に」
 佐京はさらに話した。
「森鴎外さんの記念碑か何かあって」
「福岡に?」
「赴任したことがあるそうで」
 それでというのだ。
「あったけれどその前で大学生位のお姉さんがキャーーキャーー言ってた」
「文学女子の人ね」
「多分。ドイツ留学してエリート軍医で文豪で翻訳家で」
 それでというのだ。
「チートよチートって」
「キャーキャー言ってたの」
「そうだった」
「そんな人いたのね」
「けれど森鴎外は」
 この人はというと。
「お寿司食べなかった」
「そうだったの」
「不潔とか言って」 
 これは彼が細菌学をドイツで学んだからである。
「それで」
「そうだったの」
「他にも色々あったし」
「脚気とかね」
 真昼は蕎麦、ざるそばを食べつつ応えた。
「あの人結構ね」
「ありましたね」
「チートチートって言っても」
「問題だらけで」
 それでというのだ。
「そんなこと言ったら」
「結構おやおやってなるわね」
「そうですよね」
「あの人はね」
「とりあえずお寿司食べなかったことはね」 
 真昼は鰻を食べつつ言った。
「かなりね」
「俺達としてはですね」
「今お寿司食べてるしね」
 現在進行形でというのだ。 
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