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楓の笛

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第三章

 彼の家に入ると粗末だが清潔なものでよく掃除されていた、また彼が出してくれたパンとチーズそれに水も質素だが。
 奇麗なものだった、またそういったものを口にしながら王女と供の者達が食べてから自分も食べてそうして話したが。
 その話も実に聡明なものでだった、王女は微笑んで言った。
「実は私は伴侶を探していまして」
「そうなのですか」
「はい、貴方さえよければ」
「いえ、私と両親はいいとしましても」
 少年はここでも聡明な声で応えた。
「お父上、王がです」
「どう言われるかですか」
「それ次第です、またです」
 少年はさらに話した。
「若し伴侶となっても牧場をどうしていくか」
「そのこともですか」
「問題です、私の妹に任せられますが」 
 それでもというのだ。
「色々牧場に羊や犬それに彼等を動かす笛のことを教えないといけないので」
「そうしたものが済んでからですか」
「それで宜しいでしょうか」
「わかりました、では一度都に戻ります」
 王女はそれならと答えた。
「そのうえで」
「またですね」
「来させて頂きます」
 こう言ってだった。 
 王女は一旦都に戻り王に彼のことを話した、すると王はこう言った。
「子供というがかなりの賢人だな」
「お父様もそう思われますか」
「先が楽しみだ」
「ですが身分は」
「何、優れた者こそ取り立てるべきだ」
 これが王の返事だった。
「身分が低いなら余が貴族とする」
「そうしてですか」
「そなたの夫としよう、だがその前にだ」
 王はここでこうも言った。
「余もその少年と会ってだ」
「その話をですか」
「聞きたい、また確かめたい」
 こう金髪の王女に言うのだった。
「そうしたい」
「そですか」
「実際にどういった知恵かをな」
「そうされますか」
「是非な」
 こう言ってだった。
 王は少年に合って彼の話を聞こうとしたがここで彼は上の娘の黒髪の王女と彼女の夫にこう尋ねた。
「今そなた達が国にしたいことは何か」
「はい、新たな作物が欲しいです」
「そう考えています」
 二人は王に即座に答えた。
「民達が喜びまた売れる様な」
「そして国を富ます様なです」
「そうしたものが欲しいです」
「そう考えています」
「ふむ、そなた達は民を考えているか」
 王は二人の返事を聞いて頷いた。
「それは素晴らしい、それでだな」
「何かです」
「そうしたものが欲しいですが」
「果たして何がいいか」
「二人で話して考えています」
「ではその少年にそれを聞こう」
 王は決めた、そして羊飼いの少年を王宮に召し出し話を聞いた、少年は下の娘の王女の言う通り非常に聡明で王もこれはと思った。 
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