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大阪のキョンシー

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第五章

「そういうものやワインを飲んでおるとのことだ」
「赤ワインね」
「そうじゃ、かく言うわしも血よりもワインじゃ」
 そちらを飲んでいるというのだ。
「お好み焼きやたこ焼きを楽しみつつな」
「ワインか、この場合は赤ワインだよな」
 真琴はキョンシーが飲むワインを何かすぐに察した。
「そうだよな」
「まさか白ワインではあるまい」
「この場合はな」
「それでランブルスコ、サイゼリアでも売ってるな」
「あれ発泡性だろ、血って感じしねえな」
「しかし好きでな」
 キョンシーはそれでと答えた。
「わしとしてはな」
「よく飲んでるんだな」
「そうなのじゃ」
 こう真琴に答えた。
「わしはな」
「そうなんだな」
「それでじゃ」
 さらに言うのだった。
「血は一切飲まぬ」
「人も食わないか」
「実はまずいというしのう」
「そうなんだな」
「実は人の血も飲んだことがない」
 このことも話した。
「鶏や豚の血は飲んでおったが」
「人はなかったか」
「妖怪の肉屋の店員だったからな」
「そうだったんだな、あんた」
「上海におった頃はな」
 このことも話したのだった。
「それでじゃ」
「鶏や豚の血を飲んでたんだな」
「これが結構美味くてのう」
「そうか?生臭いだろ」
「わしにとっては美味かった、しかし今はな」
「ワインなんだな」
「あとわしもトマトジュース等を飲んでおる」
 キョンシーもというのだ。
「グレープジュースもな」
「そうなんだな」
「よく飲んでな」 
 そうしてというのだ。
「毎日楽しく過ごしておる」
「成程な」
「それでお主達のこともわかったからな」 
 三人が何故今ここにいるかということをというのだ。
「普通女の子三人でしかも厚着で来るところではない」
「厚着?そういえば」
 由乃はここで三人の服装を見た、見れば三人共帽子で頭を覆い分厚い生地のコートを羽織りズボンを穿いている、その下にはセーターやストッキングに靴下があることは言うまでもない。靴も三人共ブーツである。
「そうね」
「こうした場所で来るとな」
「すぐに逃げて相手を刺激する為に」
 こうした場所のことを知っている亜梨沙が応えた。
「それでなのよね」
「露出が多いからのう」
「冬でも出来るだけね」
 寒さと相談しつつだ。
「そうするしね」
「色気も何もない恰好だからのう」
 三人の今の服装はというのだ。
「ここに来るには場違いでな」
「それで妙に思ったのね」
「そうであった」
 実際にというのだ。
「わしはな」
「そうなのね」
「しかし妖怪や幽霊が見たくて来てな」
 そうしてとだ、キョンシーはさらに話した。 
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