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金木犀の許嫁

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第二話 相手から来たその五

「それからです、何でも世界に旅立ったこともあるそうですが」
「世界って」
「大阪の夏の陣で秀頼様をお連れして」
 薩摩藩までというのだ。
「それから暫く十年程です」
「世界中を旅してたの」
「幸村公と他の十勇士の方々と共に」
「そんなことがあったのね」
「それで佐助様からです」
 初代であるその彼からというのだ。
「我が家は代々です」
「お見合いで結婚してるの」
「武家なので」
「あっ、十勇士ってね」
 夜空は武家と言われてはっとなって応えた。
「武士なのよね」
「皆様忍者ですがご身分は」
「武士よね」
「明治以降は士族でした」
「そうなのよね」
「幸村公にお仕えしていましね」
「それもお傍に」
「そのことからもわかる通りに」 
 それでというのだ。
「我が家は武家で」
「結婚もなのね」
「代々そうしてきましたし」
「今回もなのね」
「私もです」
 白華自身もというのだ。
「やがてです」
「お見合いして」
「それで結婚します」
「そうなるのね」
「昔は許嫁がです」 
 そうした相手がというのだ。
「いたそうですが」
「そうなの」
「それがです」
 今はというのだ。
「そうした人がいて」
「そしてなのね」
「それ、です」 
 そのうえでというのだ。
「結ばれていました」
「そうだったの」
「それで夜空さんもです」
「お見合いをして」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「兄さんと一緒になります」
「そうなのね」
「それでどんな方か」
 夜空を見て言うのだった。
「確認したいと思いまして」
「今日来たのね、私も丁度ね」
「兄さんのことを知りたかったんですね」
「それでご本家のこともね」
「お互い思うことは同じですね」
 白華はその話を聞いて述べた。
「夜空さんも私も」
「お互い何も知らないとね」
「不安ですよね」
「どうしてもね」
「それが人ですね」
 白華の言葉はしみじみとしたものだった。
「お見合いをするにしましても」
「いきなりよりもね」
「ある程度でも知っておくことですね」
「それがベストよね」
「本当に」
 夜空にその通りだと答えた。 
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