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イベリス

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最終話 素敵な想い出その七

「どうも」
「まあマトン位はいいな」
「そうですか」
「何かお魚好きだな」
「凄くね」
 また咲が答えた。
「煮ても焼いてもお刺身でもね」
「好きなんだな」
「揚げてもね」
 フライや天麩羅もというのだ。
「あとお野菜もよく食べるし」
「人参とかピーマンもか」
「ほうれん草が特に好きで」
「茸もか」
「果物は桃でね、お野菜だけれど西瓜とか苺も」
「何でも食べる感じか」
「私と似てるわね、私も好き嫌いなかったし」 
 自分そっくりの顔の娘を見つつ父に話した。
「そうしたところもね」
「そっくりだな」
「ええ、このまま何でも食べてね」 
 自分の様にというのだ。
「元気になって欲しいわ」
「そうなんだな」
「そう思いながら育ててるわ。躾もね」
 こちらもというのだ。
「やってるし」
「それは忘れないでね、ちゃんと常識やルール教えないとね」
 母が言って来た。
「よくないから」
「子供にね」
「成長しないと」
 さもないと、というのだ。
「よくないから」
「そうよね、そして」
「そうよ、あんたもね」 
 母は咲にも言った。
「ちゃんとね」
「成長しないと駄目よね」
「親が成長しないと」
 さもないと、というのだ。
「子供もね」
「成長しないわね」
「お互いにね」
 親も子もというのだ。
「成長するのがね」
「あるべき姿ね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「あんたもね」
「ちゃんとしていくわね」
「そうしなさいね」
「わかったわ、これからもね」
「とはいってもね」
 母はここで少し苦笑いになって咲に話した。
「偉そうに言ってもね」
「そうは出来ないのね」
「お母さん自分は成長してきたかって聞かれたら」
「そうじゃないっていうの」
「全然ね」
 こう言うのだった。
「どうもね」
「お父さんもな」 
 父も言って来た。
「成長してるとはな」
「思えないわよね」
「まだまだだよな」
「人間としてね」
「ううん、お父さんもお母さんも立派だと思うけれど」  
 咲は両親に娘として話した。
「違うの」
「自分から見たらな」
「そうよ」
「そうなのね、それ言ったらね」
 咲はそれならと応えて言った。
「私もね」
「そう思うな」
「まだまだって」
「ええ、けれどそれでもなのね」
「ちゃんとな」
「一緒に成長していってね」
「努力していくわね、一緒にね」
 また息子を見て話した。 
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