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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝

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第41話 孔融の生存フラグを折る?

 
前書き
更新が遅れすみません。 

 
私達が凪と真桜のいる場所に駆けつけると、彼女達は1人の女性と対峙していました。

「正宗様、あいつなのーーーーーー!」

沙和が大きな声で対峙している女性を指差しました。

彼女は両手に双剣を持ち、凪と真桜を相手に一歩も引かずに攻勢をかけていました。

凪と真桜の2人を同時に相手できる技量から、ただ者でないです。

私は体中を硬気功で強化し、3人の間に無理矢理に入り込みました。

「何するんや!危ないやろ!えっ、正宗様やんか。そこどいてんか」

真桜は邪魔されたことに怒りましたが、私だと気づくと驚きつつ厳しい表情で彼女を睨みました。

「正宗様、この女は危険です。そこを退いてください」

凪も彼女を威嚇しています。

「沙和の話ではお前の方から攻撃してきたと聞いている。私の部下が何か問題でも起こしたのか?」

私は彼女に対し威圧的に言いました。

「へえ、あんたがこいつらの主人かい?」

「そうだ。私の部下を襲った理由を知りたい」

私は不必要に面倒事を起こしたくないです。

相手の出方次第ですが、穏便に済まそうと思いました。

「別に大したことじゃない。彼女達に劉ヨウという人物を知らないかと聞いたら、無視されたから襲ったのさ」

彼女は私を探しているようです。

泰山郡からの追手でしょうか?

追手が往来で堂々と襲うとは思えないです。

泰山郡の大守に金をせびろうとしている賞金稼ぎでしょうか?

お尋ね者になっている気配はありません。

どれも当てはまりそうです。

考えるだけ無駄の様な気分になりました。

人探し為に話かけた人物に無視されたくらいで斬り掛かるとは、凪の言う通り危険人物です。

あまり関わりたくない人種だと思いました。

「貴様っ!」

凪が今にも彼女に襲いかかろうとするのを私は手で静止しました。

「生憎だが私は劉ヨウという人物は知らない。他を当たってくれ。凪、真桜帰るぞ」

私は彼女に嘘をつき、この場を納めて宿に戻ろうとしました。

「あんたが劉ヨウ様じゃないのかい?」

私が背を向け凪と真桜を宥め、宿に帰ろうとすると彼女は私に話しかけてきました。

「だから、私は劉ヨウでは」

劉ヨウではないと彼女に告げようと振り向くと彼女は私の目前まで迫っていました。

彼女は私に双剣で首目掛けて斬りつけてきました。

私は寸でのところで、双天戟で剣を受け止め彼女の攻撃をいなすと、彼女の脇腹を右腕で殴りつけました。

私の反撃をまともに受けた彼女は吹き飛ばされました。

「何のまねだ!理由次第では覚悟して貰うぞ!」

穏便に済ませたいですが、無理のようです。

私は双天戟を構え言いました。

「正宗様、ご無事ですか?貴様っ!泰山大守の回し者だな!」

「いい加減しいや!もう許せへん!」

「あなた何ですの!正宗様を背後から斬り掛かるなんて!」

「やっぱり危険な奴なのーーーーーー!」

「・・・・・・」

私を含め他の者も彼女の行動に頭に来たのか口々に怒りを表し、臨戦態勢です。

揚羽だけは何も言わず剣を鞘から抜きました。

「痛ちっ!思った通りだな。あんたが劉ヨウ様だ。そこの姉ちゃんが泰山大守がどうとか言ってたのを聞いたぞ」

彼女は凪の方を見やると私の方を見ました。

「くっ!正宗様、申し訳ありません」

凪が苦虫を噛み潰した表情で臨戦態勢を解かずに私に謝罪してきました。

「凪、気にすることはない。お前の言う通り私は劉ヨウだ。お前は何者だ」

私は隠すだけ無駄だと悟り、彼女を睨みつけました。

「そんな恐い顔しないでくれ。アタイは太史慈、字は子義っていうんだ。最近、あんたが泰山郡の悪徳大守から人を助けた話を聞いて、山陽郡の麒麟児がどんな人物か会いたくて探していたのさ」

「太史慈と言ったな。突然私に斬り掛かって来るとは非常識過だぞ!お前の攻撃を私が上手く避けたから良かったが、一歩間違えたら死んでいたかも知れない。お前は私が劉ヨウではなく、別人だったらどうしたのだ」

私は太史慈が東莱郡にいるとばかり思っていたので、彼女がその当人であることに驚きました。

太史慈がこんな危険な人物とは思いませんでした。

彼女にも言いましたが、一般人なら間違いなく太史慈の剣で首が飛んでいました。

「その心配は無いよ。劉ヨウ様が5人の中で一番偉そうだった。劉ヨウは男で獲物は珍しい形状の槍だって有名だ。そこの2人に劉ヨウ様のことを聞いたとき、一瞬だったけど私を警戒していたのさ。だから、劉ヨウ様の関係者だと思ったんだ。3人を攻撃したのも、アタイに敵わないと思えば、助けを求めに行くと思ったからさ。案の定2人を残して、1人が助けを求めに行った。これでも手加減してたんだぜ。この街の自警団は名ばかりの連中でアタイの邪魔をするわけない。必ず自分の仲間を呼ぶと踏んでいたんだ」

彼女は腕を胸で組んで自慢げに話していました。

「太史慈、それで私が来るとは限らないだろ」

「ちっ、ちっ、ち。分かっていないな。アタイは伝聞でしか劉ヨウ様のことを知らない。でも、劉ヨウ様が義挟に熱い人物だというのは想像できる。劉ヨウ様は自分の家臣が危険な状況にあれば、すぐ駆けつけるはず。泰山郡では見ず知らずの人間の為に官軍と対峙した人が助けに来ない訳ないだろ。ここに現れた人物で一番偉そうで、さっきいった特徴に合致する人物を探せばいいだろ。事実、劉ヨウ様はアタイの目の前にいるじゃない」

彼女は人差し指を揺らして言いました。

彼女の中では全て計算した上での行動で、私達は彼女に踊らされていたようです。

私は彼女への見方が変わりました。

この様子ではまだ東莱郡の役人でないでしょう。

孔融には悪いですが、計画通り彼女を私の家臣にスカウトします。

ここは直球で行きます。

「私に士官してくれないか?洛陽に戻ればそれなりの役職に就くから、お前を家臣にする位の余裕はある」

麗羽の話では袁逢殿がかなり良い役職を用意してくれるようなので問題ないでしょう。

「なっ!本気ですか!?」

「何言うてんのや!こいつは正宗様を襲ったんやで、信用できるかいな」

「こんな危険な奴、嫌なのーーーーーー」

凪と真桜と沙和は私の言葉を信じられないと言わんばかりの表情で見ています。

麗羽と揚羽は太史慈の名前を聞いて黙っています。

「あははははははっ!無礼を働いたアタイを家臣にするのかい。劉ヨウ様の家臣は納得していないのにいいのかい?」

彼女は興味深そうに私に聞いてきました。

「私の家臣がお前に疑心を抱くのは当然のことだと思う。だが、私はお前の才覚が欲しい。お前ならこれからの結果で家臣を納得させることができるはずだ」

彼女に相対して粗忽ですが武力は申し分無い人物だと思いました。

彼女が史実の太史慈と同じかは分からないですが、きっと心強い味方になってくれると思います。

「アタイのことを高く買ってくれるんだね。良いよ。その話乗った。アタイは賊狩りで生計を立てているんだけど、いつまでも今の稼業を続けるのは無理だと思っていたところなんだ。母さんも心配していたし調度良い。劉ヨウ様、お願いが一つあるんだけどいいかい?」

「内容によるが私に出来る範囲内であれば聞こう」

「あのさ・・・・・・。アタイ、母さんと2人暮らしだから、母さんも士官先に連れて行きたいんだけど無理かな」

彼女は言いにくそうに私に言いました。

史実では孔融が彼女の母親の面倒を見ていた縁で恩に感じた彼女が孔融を助けたとあります。

ここは了承した方が良いと思いました。

「そんなことか。構わない。お前の好きにすると良い。そうだな・・・・・・。私達はまだ旅を続ける予定だから、洛陽に先に戻ってくれるかな。途中、私の父が治める山陽郡に寄るといい。そうだ!父上とお爺々様に宛てた文も書こう。洛陽までの路銀も必要だな。給金は姉上に立て替えて貰うかな。そうなると姉上にも文が必要だな」

「劉ヨウ様、ありがとう。これで安心して士官できる。劉ヨウ様にはアタイの真名を預ける。真名は真希。これからは真名で呼んでくれ」

彼女は快活な笑顔を私に向けました。

「・・・・・・ああ。私の真名は正宗だ。私のことも真名で呼んでくれて構わない」

言葉遣いが乱暴なので気づきませんでしたが、太史慈は凄い美少女です。

素朴ですが美しいです。

「正宗様!」

「・・・・・・」

麗羽と揚羽が私を睨んでいました。

「真希、洛陽に戻ったら忙しくなるだろうから、それまで英気を養っていてくれ。路銀や渡すものがあるから、後で私達が逗留している宿に来て欲しい」

麗羽と揚羽の睨みが恐かった私は彼女との今後の話を進めることにしました。

「了解!正宗様、アタイに任せておけば万事問題ないよ」

彼女は元気良く返事をしました。
 
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