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魔法少女リリカルなのはvivid 車椅子の魔導師

作者:月詠
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五話

週末。今日は定期健診って事で、聖王教会の方に足を運んできたよ

「着いたけど、今日はシスターシャッハがいないね」

いつもなら迎えに出ててくれるんだけどな

≪シスターシャッハも忙しい身ですし、色々あるのでしょう≫

「まぁそうだね」

勝手に入って大丈夫かな?

教会の中に入り、中にいたシスターさんに声をかける……

「あの今日、定期健診を受けるクロム・エーレンと言うのですが……」

「あ、エーレン様ですね?シスターシャッハより伺っています。ご案内しますので、ついて来て下さい」

あ、良かった。シスターシャッハが話通しててくれたんだ…

前を歩くシスターに話しかけてみる

「あの質問いいですか?」

「はい。なんでしょうか?」

「今日はシスターシャッハは忙しいんですか?」

いつもはシスターシャッハが案内してくれたし……

「今日は騎士カリムにお客様が見えております故に、シスターシャッハはその方で手がいっぱいなんです」

騎士カリムにお客さんが来てたんだ。それは来れないよね

≪今日は何やら騒々しいですね≫

ロンドがふと呟く……

「そうだね。今日はなんだか、いつもよりは騒がしいような…」

「今日は陛下がいらっしゃっていますので、それえ少々騒がしいのでしょう」

陛下…。ベルカの王とかだよね

≪聖王陛下でしょうか?≫

「はい。今日は冥王陛下のお見舞いにいらっしゃっています」

聖王陛下に冥王陛下か……。一度会ってみたいけど…

≪マスターには縁のない話ですよ≫

「わかってるよ」

ベルカの王となんて、早々会えないよ

「こちらになります」

いつもの治療室に案内された

「やぁ。クロムくん。足の加減はどうかな?」

中には聖王教会専属の医師。魔導師でもある先生がいた

「いつも通りリハビリはやっています。でも、回復は全然です」

≪全力で足に魔力を込めれば少しの時間くらいは動かせますが……≫

それには僕の全魔力が必要になるんだよね……。一度、使った事はあるけど、10秒も持たなかったかな

「そうか。では今日も見せてもらうよ」

「はい。お願いします」

足の具合は先生の魔法で見てもらってるんだ。可能であれば治療もしてもらいたいけど、原因不明の状態じゃ何があるかわからないからそうは出来ないって言ってたかな

「筋肉は毎日のリハビリで戻ってきているね。今年はインターミドルに出ても大丈夫なレベルまでは回復しているよ。でも、神経とかは反応しないから、歩く事はまだ無理だね」

「そうですか……」

まぁこの二年で歩けるようになるなんて事は考えてないけどね…

「今日の健診はこれくらいでいいだろう。休日なんだし、ゆっくりするといい」

「まぁそうします」


治療室を後にし、聖王教会の出口に向かう

「あれ?司書さん?」

「え?」

その呼ばれ慣れた呼び名。それを発したのは……

「あれ?高町ちゃん?」

図書館によくいる初等科三人の内の1人、高町ヴィヴィオちゃんだった

「どうしたんですか?ここに用事か何かですか?」

「あ、うん。ちょっと定期健診にね。高町ちゃんは?」

後ろの人達も気になるけど……

「友達のお見舞いに来てたんです」

友達のお見舞いね。

「それで、その後ろの方々は?」

高町ちゃんの後ろにいた、赤髪で少し少年的な容姿の女性と、その女性に似た容姿の女性…

「ウェンディ・ナカジマッス。よろしくッス」

「ノーヴェ・ナカジマだ。よろしくな」

ウェンディさんにノーヴェさん。ファミリーネームが同じって事は、お二人は姉妹って事になるのかな?

「君はなんて言うっすか?」

「あ、僕はクロム・エーレンと言います。高町ちゃんは学園の後輩です」

「ヴィヴィオの先輩か」

「ヴィヴィオはさっき司書さんって言ってたっすね」

もう高町ちゃんの癖なんでしょうね。僕の事を司書さんって呼ぶの…

「なんでだ?」

「学園の図書館で司書の代理を任せれらているんです。それで大体の人は僕の事、司書って呼ぶんです」

それで定着しちゃって、みんな僕の本名が知らなかったりするんだけどね

「高町ちゃんも僕の名前、初めて聞いたんじゃないのかな?」

「あ、はい。みんな司書さんって言っていたので……」

まぁ大体の人はみんなそうだから、気にしなくていいよ

「すいません」

それでも謝る高町ちゃんは礼儀の正しい子だよ

「それでさっきから気になってるんだけど……」

「はい」

「そのフヨフヨ浮いてるうさぎは何?」

さっきから高町ちゃんの横でフヨフヨ浮いているうさぎ……の人形かな?

「これ、私のデバイスなんです。クリスっていいます」

「デバイスだったんだ」

何かせっせせっせ動いてるけど……

≪そのうさぎはただの外装ですよ。マスター≫

外装って事は、中に本体のデバイスがあるって事だね

「はい。クリスの中身はちゃんとしたクリスタル型のデバイスです」

へークリスタル型とはまた珍しい……。今はほとんどがアクセ系に集中しちゃってるもんね。でも汎用型じゃなくて、専用となると…

「製作者はマリーさんかな?」

「はい。そうですけど、マリーさんと知り合いなんですか?」

そらね。マリーさんこと、マリエル・アテンザさんは管理局のデバイスマイスターで、奇跡の部隊、機動六課の隊長陣のデバイスを全てメンテやら何やらしていたんだって聞いたかな?

「僕のデバイス、ロンドはマリーさんに作ってもらったデバイスでね。今は、メンテとかは自分でやってるけど、少し前まではマリーさんにお世話になってたんだ」

母さんが管理局勤めでマリーさんとの交流もあったから、ロンドを作ってもらえたんだけどね……

「あ、高町ちゃん。シスターシャンテ見なかったかな?」

「シャンテですか?見てないですね」

んー今日は忙しいのかな?いつもは出口で絶対に隠れて待ってるのに……

「ならまた今度にしようかな」

アスには謝れば済むと思うし……

「それじゃあ僕は帰るよ。また図書館でね」

高町ちゃん達と別れて帰ろうの出口のドアまで行く

「あ、あの」

すると高町ちゃんに呼び止められた……

「ん?どうかした?」

「クロムさん。これから時間ありますか?」

時間?そらあるけど……

「良かったら、これからミッドの中央市街地の方に行くんですけど、一緒に行きませんか?」

「ウェズリーちゃん達と遊ぶんじゃないの?」

「はい。そうですけど」

「じゃあ、僕は邪魔出来ないかな」

それに、女の子だけの方がいいと思うし……

「まぁ遊ぶって言っても、ストライクアーツを見てやるだけだけどな」

「そうっすね」

ストライクアーツ。そう言えば、高町ちゃん達三人はやってたね

「なぁクロム。お前、少しチビ共のストライクアーツ、見てやってくれねぇか?」

「ノーヴェさん。僕はストライクアーツなんて初心者以下の実力なんですよ?僕が見たってそこまで変わりませんよ」

僕が使うのはストライクアーツではなく、我流の総合魔法格闘技。ストライクアーツはまた別の領域だからね

「素人からも意見が欲しいって事っすよ!」

「素人の意見はあくまで素人の意見ですよ?」

「それでもいいんだよ。ダメか?」

まぁ別に急ぎの用があるって事でもないし、高町ちゃん達が了承してくれるなら……

「だってよ。ヴィヴィオ」

「はい。コロナもリオも問題ないって言ってます」

いつの間に……。まぁそう言ってるなら、行こうかな?

「それなら、お邪魔しても大丈夫かな?」

「はい!」



てなわけでやって来ました中央市街地。高町ちゃんを先頭に僕、その後ろにノーヴェさんとウェンディさんがいる

ティミルちゃんとウェズリーちゃんを見つけると、高町ちゃんがそっちに走って行く……

「リオ、コロナ。お待たせ!」

高町ちゃんの後を歩いて、追う

「リオは二人とは初対面だったよね?」

「うん」

へーいつも一緒にいる三人組だから、ノーヴェさん達とも当然知り合いなのかと思ってた

「初めまして!去年の学期末にヴィヴィオさんとお友達になりました。リオ・ウェズリーです!」

「ああ。ノーヴェ・ナカジマと」

「その妹のウェンディッス♪」

ウェンディさんの方が妹だったんだ。まぁ姉よりしっかりした妹ってのもどうかとは思ってたけど……。違ったみたいだね

「ウェンディさんはヴィヴィオのお友達で、ノーヴェさんは私達の先生!」

「よっ!お師匠様!」

ウェンディさんが茶化す……

「コロナ、先生じゃないっつーの!」

結構焦ってるね。てか照れてるね

「先生だよねー?」

「教えてもらってるもん」

「先生って伺ってます!」

純粋な言葉時として鋭い武器だね

「ほら」

「うっせ」

まだ弄るか。ウェンディさん

「それで?色々と済んだところで、ここに集まってどうするの?」

「あ、はい。これから公民館の方に行こうと思ってるんです」

公民館?ここからだと中央第四区の公民館になるけど……

「あ、確かにあそこはストライクアーツの練習場があるね」

「はい。見てくれるんですよね?」

ノーヴェさんも口が早いな……

「うん。まぁ参考になるかはわからないけどね」

「いえ、それでもお願いします」

高町ちゃんにもお願いされて、とりあえず、公民館に向かった


「結構、柔軟な動きするね」

≪はい。型に縛られてないのも、点数高いですね≫

高町ちゃん達のストライクアーツは見た結果、伸びしろのある、いい選手になれるって思えたものだった

「どうだ?チビ共は」

「みんなまだまだ伸びる。そんな感じですね」

「流石だな。やっぱりお前はこっち向きだよ」

僕を試したって事かな?なら間違いだ……

「僕はコーチには向かない人間ですよ」

「ヴィヴィオ達、どこをどう伸ばしたらいいか。わかってるんじゃないのか?」

まぁあらかたは……

「ノーヴェさん。貴女は僕を買い被り過ぎですよ」

僕はただ、過去の辛い事から逃げてる臆病者でしかない。そんな僕に人に物を指南するなんて資格、あるはずがない

「そうか……」

「すいません。昔の事と言っても、やっぱり吹っ切れなくて……」

ノーヴェさんは僕がインターミドルの常連だったって事は知ってるみたいだね

「ほら、高町ちゃん達待ってますよ?行ってあげて下さい」

こっちを見て、ノーヴェさんの事を呼んでいる高町ちゃん達。

「ああ。なら見てろ。私とヴィヴィオのスパー」

ノーヴェさんは更衣室に行き、動きやすい服に着替えてから戻って来た

「高町ちゃんは……変身魔法か」

「ヴィヴィオがずっと練習してきた魔法ッス」

あれでノーヴェさんとの身長差をなくしたんですね

「結構人が集まって来たね」

「はい。あの二人のスパーって結構すごいんですよ?」

ティミルちゃんは何度も見てるんだね。それなら、ちゃんと見ようかな

ノーヴェさんと高町ちゃん、一定の距離を取る……

一瞬の静寂の後、二人は動いた

「これはまた……」

≪レベルの高いスパーですね≫

一進一退の攻防。これが高町ちゃんの実力……

≪ヴィヴィオ様は凄いですね。あの年であそこまでの技量を持っているのは少ないですよ≫

ロンドの言う通り、高町ちゃん達の年齢。インターミドルの参加年齢の最少年齢の子で、あそこまでの技量を持っている子は数少ない。ほとんどの子がかじった程度で、まだまだ甘い。そんな感じが多いけど……

「頑張って来たんだねってわかる。そんな戦い方だね」

≪はい。あそこまで真っ直ぐな戦いをする人は初めて見ました≫

そうだね。


高町ちゃんとノーヴェさんのスパが終わって、そろそろ時間だと言う事でお開きになった

「悪い。チビ達、送ってってくれるか?」

「あ、了解ッス。何かご用事?」

「いや、救助隊だ」

ノーヴェさんは救助隊、高町ちゃんは僕とは逆方向……

「クロムは私がついでに送っていくよ」

「1人で帰れるんですけどね」

「いいから黙って送られろ」

ノーヴェさん時々強引だよね

「それじゃあな」

「じゃあまた」

『お疲れ様でした!』


高町ちゃん達と別れ、ノーヴェさんと二人……

「それで?どうだ?」

「スパは凄かったですよ。高町ちゃんはあの年代では珍しいぐらいの子です」

もちろん、ティミルちゃんやウェズリーちゃんも

「あれほどまっすぐな戦いをする人は初めて見ましたよ」

「ヴィヴィオも頑張ってるからな」

「ノーヴェさんも教えがいがあるって物でしょう?」

「まぁそうだな」

こんな風に話しながら、帰っていた時だった……

「……ッ!?」

何かを感じて足を止める……

「どうした?クロム」

「何か……来ます」

大きな存在がこちらに近づいているような……

「ストライクアーツ有段者。ノーヴェ・ナカジマさんとお見受けします」

声がしたのは上。

街灯の上に立っていたのは黒いバイザーで目を隠した、碧銀の綺麗な髪の女性……

「あなたにいくつか伺いたい事と、確かめたいことが」

その姿、気の気配、魔力はそこかで見たような感じがした……

でもこの感じは……

「アインハルト……さん……?」


 
 

 
後書き
五話です

今回は通り魔覇王との遭遇まで書きました

やっと原作に入れた感じです。はい

クロムくんの親のこととかも少し触れた話でした。

では感想待っています 
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