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脚が悪い猫も幸せに

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第二章

「二匹一緒にだよ」
「家族にする?」
「そうしよう」
 同居している恋人に話した。
「足が悪い子もね」
「わかったわ、じゃあ一緒にね」
「二匹共家族に迎えよう」
 こう言ってだった。
 兄の後ろ足が動かない子をスクーター、妹をスケートと名付けてだった。
 一緒に暮らす様になった、すると。
「家の中が変わったわね」
「スクーターの後ろ足が動かないからね」
 サムはマーサに話した。
「だからね」
「介護用にしたのね」
「僕達が世話をするだけじゃなくて」 
 トイレは彼等がそうしてだ、他のことも同じであるのだ。
「そのうえでね」
「お家全体を介護用にしたのね」
「スクーターの為にね」
 そうしたというのだ。
「是非にと思って」
「そうなのね、しかもね」 
 マーサはさらに言った。
「あなた自身も変わったわね」
「そうかな」
「スクーターとスケートと一緒に暮らす様になって」
 そうなってからというのだ。
「特にスクーターの世話をする様になって」
「それからなんだ」
「前よりも明るくなって」
 そうなってというのだ。
「自信を持って明るくね」
「なったかな」
「ええ、前からそうした性格だったけれど」
「以前よりもだね」
「そうなってきたわ」
「そうなんだ」
「スクーターの世話をしていることがいいのね」
 その彼を見つつ話した。
「やっぱり」
「何か彼の頑張りを見てね」
 サムはマーサに今言われたことを自分でも考えつつ話した。
「それでね」
「そのせいでなの」
「僕も頑張ろうと思ってかな」
「明るくなったの」
「そして頑張って」 
 即ち努力してというのだ。
「それが自信につながってるかな」
「そうなのね」
「そうなったのは」
 まさにというのだ。
「本当にね」
「スクーターのお陰ね」
「そうだね、そう思うとあの時二匹共引き取ってね」
「よかったわね」
「そうだね。これからも仕事も大学も」
 どちらもというのだ。
「頑張っていくよ」
「そうしていくのね」
「この子達と一緒にね」
「ナア」
「ニャア」
 猫達を温かい笑顔で見て話した、見ればだった。
 猫達は今はご飯を食べていた、スクーターは確かに後ろ足は動かない。だがそれでもであった。
 猫用の車椅子で器用に動いていた、そのうえで食べて動いていた、サムはその彼の頭を撫でた、すると猫が喉を鳴らす音が聞こえてきた。


脚が悪い猫も幸せに   完


                    2023・12・21 
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