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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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68話 決意のconclusion




「さ.........まさ.......才。起きろ。」




重い瞼をゆっくりと開ける。久々に寝た俺を起こすとは重罪だ。よほどのことがない限り起こされてたまるか。

ほら、隣の部屋でも寝息が聞こえるじゃねぇか。変な笑い声にうめき声が——————


俺の体を揺さぶった張本人は—————魁だった。



「何だよ........まだ5時じゃないだろ?」
「ちょっと——————言いたいことがある。」
「言いたいこと.......?」
「あぁ—————」


弱々しい口調。稀に見る姿だ。流石にそれを見せられて断るのは酷だな。



「しょうがねぇな..........表出ろ。」
「ああ、助かる。」




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



十千万の面.........ちょうど海水浴場へと出る。


まだ日は登っておらず、満点の星が地平線の奥の奥まで夜空に煌めいていた。
明けの明星がくっきりと見え、月は俺たちの体を明るく照らしてくれた。


俺は砂浜に座り、本題に入るように話を促す。だが魁はその星々を遮るかのように立ち、回りくどく語り始める。


「内浦の空ってこんなに綺麗なんだな........改めて思ったよ。」
「ああ。今日は特にいい。明けの明星と満月のコラボレーションなんてそうそうお目にかかれねぇしな。」
「———————稜はこの景色を守ろうとしたのかな?」
「それもアイツの目的だっただろうな。」


稜は背負いすぎた——————それだけは言える。

アイツは守るものが多すぎて、なおかつ自分すら忘れかかっていた。でも俺が見た最期の稜は決して迷いのうちに死んだとは考えづらかった。むしろここから始まる——————一種の希望に満ちていたに違いない。

だからこそ『今』いなくなってしまったことにどうしても俺は納得できなかった。



「今稜がどうなっているかはわからない。でもどのみち《《力》》が必要なんだ。アークに打ち勝つ力が——————」
「そうだな.............」
「お前と戦った《《あの時》》俺はもう悟ったんだ。現時点ではお前しかアークを完全に倒すことはできない。アークの復活が無制限であるかも知れない以上、俺たちとお前の力の圧倒的すぎる差—————これがある以上はお前と肩を並べて戦うことはできないと思ったんだ。」
「いやそんなことは.........」
「あるんだ。だから俺は強くなりたい。お前を超えずとも————いや、先を行くお前を追い越したい!!」
「魁............」



確かにいう通りかも知れない—————が、しかし魁ならそこまで足手纏いになっていないはずだ。いやいやそんなやつ誰もいないんだ。

しかし彼の主張はそうじゃない。対等な戦い。俺とタメを張って怪人たちと戦いたいというのだろう。

しかしそうなれば修行に入るということだ。そんな本格的な修行なんて—————あった。たった今あったじゃないか。



「なら.........いい話がある。」
「え........?」
「俺のじいちゃん—————オーマジオウが祝を通じて連絡してきたんだ。夏休みで修行しないか..........と。」
「修行?」
「特別講師を招いているそうだ。そしてオーマジオウ本人も鍛えてくれるらしいが................どうする?」
「もちろん.........行くに決まってるだろ!!」
「そうか————————」
『なら—————俺も行く。』
「!?」



道路側からのクールな声に俺は振り返る。そんなかっこいい声の持ち主は虎太郎だった。



「俺もその特別講師っていうのに興味がある。」
「そうか.........言ってた通りだな—————」
『だったら俺も行くぜ!!』
「!?!?」


ジャバジャバと海の方から起き上がる人影。月光に照らされてそのシルエットが徐々に白日になった先は、なんと竜介先生だった。



「竜介先生....!ずいぶん遅かったな————」
「いや〜何か勢いに乗ってそのまま富士山麓まで泳いぢまって、戻るの大変だったぜ!!」
「もう俺先生に体力じゃ絶対勝てない気がする........」
「それより、お前らがそこに行くんなら俺も行くぜ!強くならなきゃいけねぇのは俺も同じだからな!!」
「先生.............!」
「全く——————結局、全員行くのか........」



最初祝から聞いた時はそこまで《《俺》》はそこまで乗り気ではなかった。しかしコイツらが行くというのなら止める権利は俺にない。



「わかった。3人とも東京に行くんだな。」
「ああ、それで出発はいつなんだ?」
「明後日だ。」
「明後日!?早くねぇか!?」
「—————早い方がいい。」
「それもそうか............」



魁の驚きの声とは対照的に虎太郎は冷静ながらも躍起になっている。その特別講師ってのが相当気になるのか..........それともこの人物の正体をわかっていて話しているのか——————



「3人とも...........目的は同じってことでいいんだな?」
「ああ—————」
「稜を.......《《救う》》ため。」



稜は悪意の彼方へと沈んでしまった。殺されてしまったのか、どこかへ幽閉されているのか。遺体がない以上は後者が有力だ。しかし前者であったとしても、俺たちは絶対にアイツの本懐を遂げなくてはならない。それが唯一の稜の救済法だ。仮面ライダーの弔いは戦いでしかゲーム(戦い)でしか返せないんだ.......





——————————※—————————


「あーあんなことしてたら私バカみたいじゃん!!」
「実際バカだろ。」
「ぐぐぐ..........言い返せない————!」
「それよりダンスと歌詞の相談だろ?」
「そうそう、早く決めないと。」


あのバカ丸出しの格好から抜け出した千歌。加えて果南と梨子は俺とともに迫る予備予選のダンスと演出、歌詞作曲の相談をしに梨子の部屋にまで来ていた。


無論作曲は作詞に引っ張られるところもある故に、どうしても作詞第一になってしまう。それはダンスや演出にも言えたことだ。


「大切な—————モノ?」
「それが歌詞のテーマ?」
「うん。まだ出だししか書けてないけど..........」



千歌は自身の書き掛けた作詞を俺たち3人に公開する。梨子に手に取ってもらい、それを俺はチラチラと横目で見た。

たしかに千歌の言う通り、冒頭部しか書かれていない。しかし冒頭部に描かれた『とある台詞』に俺はビビッとインスピレーションを感じた。



「なるほど.............何でこれを思いついたんだ?」
「え!?いや..........なんとなくビビッと!」
「そうか........」
「(しいたけ→犬にしかできないこと→私たちにしかできないモノ→大切なモノなんて絶対言えない..........)」
「—————————」



インスピレーションを感じたはいいが、これによって今まで思い描いていた演出が全て崩れ去った。それほどまでに画期的——————と言い換えられる。


俺が言葉を少なくとも発したのに対して、固まっている梨子に果南は声をかける。



「梨子ちゃん?」
「え?」
「梨子ちゃんはこれを見てどう思ったの?」
「そうですね.......何か出会ったことのあるような————いつも自分の中でいるような..........」
「ふーん。何かどこかでこのフレーズを聞いたことあるってこと?」
「いえ、そういうわけじゃないんですけど—————————」



梨子のことだ。作曲の中でこの台詞に似つかわしい旋律を思い出したのだろう。それを参考にするのも1つのかもしれない............

ところで千歌は視線を俺たちから梨子の机へと向かう。そこに置いていた書類のようなものを手に取り、梨子に問いかける。

見たところ楽譜であるが——————『海へ還るもの』と題名を添えられた。



「梨子ちゃんこれは?」
「あっそれは.........前に海に潜った時に思いついた作曲なんだけど........」
「あぁあの時の...........」


そういえばここにいる4人は確か『あの時』のダイビングに付き合ったっけな..........最初は4月の海に潜りそうなのを利用されてレイダーにされたのは梨子だったか..........

よく考えてみればあの事象自体が怒るべき行為だ。あの時呑気に戦っていた俺をぶん殴ってやりたいぐらいだ——————

俺は千歌の手にある音譜を見る。


すると何か違和感を感じられた。


そうどこか既視感のあるような————!!



「そうか..........『こういうこと』か———」
「どういうこと?」



果南が素っ頓狂な声で尋ねる。



「偶然だが.........この千歌の書いた歌詞原案とこの音階、冒頭部で大きくシンクロしている。まるでこの歌詞のために作曲されたみたいに—————」
「つまりそれって........」
「この歌詞は価値があるってことさ。」
「すごいじゃん梨子ちゃん!!私その曲聴いてみたい!!」
「え.......?」
「そうだね。聴いてみれば出てくるモノもあるかもしれないし。」
「いや.........」
「ということで梨子、弾いてみてくれ。」
「............弾けない。」
「?」
「3人ともごめん。私やっぱりその曲を好きになれないの。」



申し訳なさそうな顔の梨子を見て俺たち3人は静止する。そして梨子にそんな言葉を言わせた自分自身が恥ずかしくなった。



「そっか........ごめん梨子ちゃん。私も千歌も盛り上がりすぎちゃったね。」
「いえ.....!こっちこそ、変な空気にしちゃって———————」
「————————」



ここでこの話は一旦終わった。


しかし俺は妙に納得いかなかった。先ほど歌詞のために作られた曲と言ったが、それでは真の価値が伝わらない。正確には《《桜内梨子という人間の真髄》》の籠った曲————————彼女のとってかけがえのないモノを象徴した旋律なのだ。


それを封じることで生まれる弊害—————それは想像するに難くない。




—————————※—————————




「「はぁ..............」」
「今日もまた売れなかったんだね.............」
「やはり天界からの命令が—————!!」
「何だよ命令って.......」



無視を決め込もうと思ったが、ここは突っ込ませてもらう。

完全に余談だが最近ツッコミの仕事が多くなってねぇかな?俺も定期的にボケに回っているが..............そもそもツッコミ担当のはずのダイヤがポンコツ度マシマシになった以上、常識枠が俺や梨子、虎太郎、曜あたりになってきた。

この3人も常識枠から飛び出す可能性も否定はできないのだ。


ところで何やらいい匂いがするが——————



「よーしできた!船乗りカレーwithシャイ煮&堕天使の泪————!」
「おぉ........グロテスクな2つの食材が————」
「見事に中和—————されてもないか.........」



曜が編み出した船乗りカレーなるモノ。素が散々たるモノ故に少々不気味ではあるものの、拒絶感はそこまでない。しかし—————



「いざ食べるとなると気が引けるな...........」
「うぅ............ルビィ死んじゃうかも————」
「じゃあ梨子ちゃんから召し上がれ!」
「えぇ!?何で私!?」
「1番近くにいたからかな?」
「そんなぁ.........」
「観念しろ梨子。どのみち誰か毒味しなきゃいけねぇんだ。」
「毒味って言っちゃってるじゃない!!」



嫌がりながらもカレーとその下に敷かれたライスを掬い、口へ運ぶ梨子。皆がその反応に注目する。そして下されたジャッジは—————


「!————美味しい!曜ちゃんこんな特技あったのね!」
「oh〜デリシャス!」
「パパに教わった船乗りカレーは何にでも合うんだ♪」
「バクバクバク.........」


花丸が前回のシャイ煮以上にがっついている。タバスコの辛さがカレーへと浸透し、シャイ煮の具材やよりスパイシーでデリシャスな料理へと変化している。そして挽肉として俺特製の謎肉が使用されている。



「ふふふ..........これで明日は完売ですわね.....!!」
「お、お姉ちゃん......?」
「おかわりずら!」
「はやっ!」


金へのがめつさ全開の顔でそろばんを弾くダイヤ。


さて..............皆さん。謎肉とはいったい何か知りたくなったのではないだろうか?


その答えは—————————












企業秘密です!
 
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