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ハイスクールD×D イッセーと小猫のグルメサバイバル

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第124話 ガツガツカレーを完成させろ!祐斗VSウォータイガー!!中編

 
前書き
 島うまのオリジナルの設定やグルメアイテムが出ますのでお願いします。


 後今回で後編にする予定でしたがまた話が大きくなってしまったので中編にします、申し訳ありません。 

 
side:祐斗


「助けてくれてありがとう、イッセー」
「まあ助けたのはゼノヴィアとイリナだけどな……」


 イッセー君は背後でシュモークサーモンを切り身を食べているゼノヴィアさんとイリナさんを見て苦笑していた。


「そういえばあの子達は誰なの?去年は来ていなかったよね?」
「ああ、俺の仲間達だ」


 イッセー君はサフラさんに僕達を紹介する。


「初めまして、私はサフラと言います。貴方達個性的なメンバーなのね」
「リアスよ。ふふっ、イッセーも退屈しないでしょうね」


 部長が代表してサフラさんに挨拶する、部長はツッコミキャラだからマトモですよね。


「この子はバブー、私のパートナーよ」
「水陸両用の猛獣バブルナックルだな。前よりも大きくなっていないか?」
「あはは、イッセーほどじゃないと思うけど」


 サフラさんはバブルナックルのバブーを紹介してくれた、大人しい子だね。


「でもサフラ、なんで連絡しなかったんだ?クミン滅茶苦茶心配していたぞ」
「どうせワンワン泣きながらお願いしてきたんでしょ?私だってもう子供じゃないんだからいちいち連絡なんてしないわよ」
「そう言うなよ、クミンにとってお前はもうたった一人の家族なんだぞ?大人だってホウレンソウはするんだ」
「……ごめん、その通りだね」


 イッセー君に注意されてサフラさんはシュンとしてしまった。でも報告はしないと心配かけちゃうからね。


「ごめんねイッセー、私兄貴と喧嘩しちゃってさ……意地張って連絡したくなかったの」
「喧嘩?どうしてだ」
「兄貴ってばお父さんが意地悪してカレーのレシピを教えてくれなかったって泣き言ばかり言ってさ、それでカチンときて言い合いになっちゃったのよ」
「そういうことか、まあクミンも悪いわな」


 どうやらサフラさんはクミンさんと言い合いになっちゃって連絡しずらかったみたいだね。


「でも流石に反省してるわ、帰ったら兄貴に謝っておくから私は無事だって言っておいて」
「あっおいクミン!」


 サフラさんはそう言うとバブーに乗って何処かに行こうとする。イッセー君は慌ててそれを止めた。


「どうしたのイッセー?」
「お前一人じゃ心配だから俺達もカレーの材料集めを手伝うよ」
「気持ちは嬉しいけど遠慮しておくわ。お父さんは一人でカレーの材料を集めていたの、私もそれが出来るようにならないといけないから」


 イッセー君は材料集めを手伝うと話すがサフラさんは遠慮すると答えた。サフラさんのお父さんは一人でカレーの材料を集めていたみたいで彼女もそうなりたいみたいだね。


「気持ちは分かるがサフラ、お前はまだ駆け出しの美食屋だ。親父さんのカレーの食材の一つであるウォータイガーの捕獲レベルは70……とてもじゃない勝ち目はない」
「それは……」


 ウォータイガーの捕獲レベルを聞いたサフラさんは何も言い返せなくなってしまった。さっき襲われていたシュモークサーモンで20だから単純に3倍以上の差がある、彼女だって馬鹿じゃないから自分では無理だと分かってるはずだ。


「お前にもしもの事があったら親父さんやクミンに合わせる顔が無い、今回は俺達にも協力させてくれ」
「……分かった、ウォータイガーの捕獲は任せてもいい?」
「ああ、任せろ」


 こうして僕達はサフラさんと一緒にカレーの具材を集める事になったんだ。


「ぷはぁっ!やった、取れたわ!」
「おおっ立派な『タピオカイ』じゃないかじゃないか!あんなに深くまで潜れるようになったとは成長したな」
「ふふん、これくらいは朝飯前よ」


 自慢げに胸を張るサフラさん、彼女はそれ以外にも沢山の食材を捕獲していた。


「あっ『マトリョーシカイ』もありますね、コレ中々市場に出ないんですよ」
「貴方も料理人なの?兄貴と似たような雰囲気を感じるのよね」
「はい、私も料理人の端くれです。イッセー先輩とコンビを組んでいます」
「えっイッセーと!?あれだけコンビ選びは慎重だったのに……貴方凄い才能を持ってるのね」
「えへへ、因みに妻です♡」
「ええっ!?イッセー、アンタ結婚してたの!?」
「まだだよ」


 小猫ちゃんのカミングアウトにサフラさんは驚いていた。まあ親友がいきなり結婚してるなんて利いたら驚くよね、実際はまだしてないけど。


「因みにこちらの方達もイッセー先輩の妻になる予定です」
「つ、妻2号です!」
「んっ?」
「妻3号ですわ♡」
「えっ?」
「妻4号で~す!でもいずれは正妻になりまーす!」
「はあぁっ!?」
「妻5号だ、よろしく頼む」
「マジ?」
「妻6号にゃ、最近入ったばかりなの」
「……サイテー」
「……」


 小猫ちゃんに紹介されたアーシアさん達もイッセー君の妻だと言い最終的には白い目でイッセー君を見るサフラさん、イッセー君は目を逸らしていた。


「はぁ~……まさかアンタがハーレム作ってるとはね、そういうのに興味ないのかと思っていたわ」
「まあ俺も小猫ちゃんに出会うまではそんな気持ちは1ミリも無かったからな」
「えへへ~」
「……なによ、私もアンタの事好きだったのに……私がアピールしても一切靡かなかったくせに」
「ん?何か言ったか?」
「なにも言ってないわよ、馬鹿!」


 身を寄せ合うイッセー君と小猫ちゃんを見てサフラさんは最後に何かを呟いたけど僕達には聞こえなかった。ゼブラさんがいたら聞こえたんだろうけど生憎今はいない。


「ところでサフラさん、結構な食材を集めたようだけどこれがガツガツカレーのレシピの食材なの?」
「ううん、そうじゃないわ。私もレシピは分からないからとにかく美味しい食材を集めているんだけどこれだけじゃ駄目ね。やっぱり唯一分かってるウォータイガーは絶対に捕獲したいの」
「まああのカツカレーのカツはウォータイガーじゃないと駄目だろうしな」


 部長がこれらの食材がカレーのレシピなのかと尋ねるとサフラさんは首を横に振った。唯一判明しているウォータイガーを捕獲したいと言う彼女にイッセー君も同意する。


「だがウォータイガーは海を渡る虎だ、この広大な海を当てもなく探したって見つかる可能性は低いぞ。なにか情報はないのか?」
「ふっふ~ん、私を舐めないでよね。ちゃんと情報は持ってるわ」


 イッセー君の質問にサフラさんは得意げに笑うと古いメモ帳を取り出した。


「これはお父さんの遺品を整理していた時に見つけたモノよ。このページを見て」
「ん?『島うま』という生物について書かれているな」


 サフラさんが見せてくれたメモ帳には島うまという生物について書かれていた。


「島うまは背中に島を背負った巨大な馬で海流に乗って海を渡るのよ、そして1年に一度この時期にこの辺りの海域に来るってことを突き止めたの。お父さんの持っていたメモに乗ってたんだから無関係だとは思えないわ」
「確かに調べてみる価値はありそうだな。十夢!」
「ああ、任せておけ!」


 僕達はその島うまを探すことにした。でもこの辺りは諸島も多いからどれが島うまなのか分からないね。


「どれが島うまか分からないわね、イッセーの鼻じゃ分からないの?」
「嗅いではいるが流石に海中に引っ込まれていてはな……」
「ルフェイさんの魔法じゃ駄目なの?」
「生物をサーチする魔法はありますが流石に海で使っても生き物が多くてどれが島うまなのか把握できませんね」
「じゃあおじさまの発明品などはどうでしょうか?」
「俺はバカンスに行くって聞いてたしこんな事態想定してなかったから何も持ってきてねぇよ」


 リアス部長がイッセー君に匂いで分からないかと聞くが彼は首を横に振った。


 次にイリナさんがルフェイさんに魔法でどうにかできないかと聞くと彼女は海では生物が多すぎで島うまだけをサーチするのは難しいと答える。


 最後に朱乃先輩がアザゼル先生に何か良い発明品はないかと聞いたけど先生は持ってきていないみたいだ。


「イッセー、島うまは綺麗な歌声が好きだってメモに書いてあるわ」
「歌か……アーシア、頼んでいいか?」
「えっ、私ですか?」


 サフラさんの教えてくれた情報にイッセー君はアーシアさんに歌を歌ってほしいとお願いした。


「前にミルクジラにも聞かせて夢中にさせたって話が合ったじゃないか、アーシアならいけるさ」
「イッセーさんのお役に立てるなら私頑張ります!」


 アーシアさんは張り切ってビンクスの酒を歌い始めた。


「あら、綺麗な歌声ね」
「良い声だろう?俺も偶に子守唄を聞かせてもらうんだがよく眠れるんだ」
「さりげなく惚けるなっての」


 イッセー君の惚けにサフラさんが呆れたように溜息を吐いた。


「ん?おいイッセー、あの島なんかゆっくりこっちに向かって来ていないか?」
「なに?」


 その時だった、十夢さんが前方にある島がゆっくりとこっちに近づいてきていると言って船を止めたんだ。


「本当に近づいてきてます!」
「じゃああれが……」


 船の近くで島が動きを止める、そして海中から何かが上がって水柱を上げた。


「馬の頭~~~ッ!?」


 リアス部長はそういって大層驚いていた。突然海から巨大な馬の頭が現れれば誰でもそんなリアクションを取るよ、僕だって驚いたもん。


「マジで馬じゃねえか、どんだけ馬鹿でかいんだ!」
「グルメ馬車で見たギガホース並ですね」


 アザゼル先生は島うまの大きさに驚きギャスパー君は前に見たギガホース並にデカいと呟く。


「イッセー、島が動くから船を寄せられねえ」
「飛び移るから十夢は安全な場所に船を移動させてくれ」
「分かった、気を付けろよ」


 船の事は十夢さんに任せて僕達は島うまに飛び移った。


「うわ~、上陸したら本当に島だね」
「ここにウォータイガーがいると良いんだけど……」


 イリナさんは島うまの背中に乗った感想を言いサフラさんはウォータイガーがいてほしいと願っている。


「うん?曇りか……」


 イッセー君は強い日差しが隠れたので上を見上げる、そこには分厚い雲が太陽を隠しているのが見えた。


「雨が降って海が荒れたら厄介だわ、早めに行動しましょう」
「そうだな」


 リアス部長は雨が降らない内にやることを済ませようと言いイッセー君は頷いた。そして僕達は島の中を探索すると何かが木々を走っていくのを見かけた。


「あれは『ポテキャロニオン鳥』!?体がニンジンやジャガイモ、肉も美味いカレーにうってつけの鳥だ!」
「ラッキー!バブー、行くわよ!」


 サフラさんはバブーに乗ってポテキャロニオン鳥を追いかけていく、当然ポテキャロニオン鳥は逃げるがサフラさんはバブーから大きくジャンプするとワイヤーを伸ばしてポテキャロニオン鳥に引っ掛ける。


「ノッキング!」


 そしてそのまま一気に距離を詰めてノッキングガンで動けなくした。


「やったやった!上手くいったわ!」
「お見事なノッキングだな、親父さん譲りか」
「私だってやるもんでしょ?」


 喜ぶサフラさんにイッセー君がねぎらいの声をかける。


「ああっ!?あそこにいるのって『コンソメナトロス』!?アレもカレーに合う食材じゃない!」


 サフラさんは近くに隠れていた猛獣を見て大きな声を上げる、そして逃げ出したコンソメナトロスをバブーに乗って追いかけ始めた。


「イッセー、私達は手伝ってあげなくていいの?」
「カレーを完成させたいって思いはこの中じゃサフラが一番だろうからな、出来るだけ彼女に任せよう」
「そうね、サフラさんもそれを望んでいるものね」


 部長は自分達が何もしなくていいのかとイッセー君に尋ねるがサフラさんの意思を尊重してできるだけ手は出さないようにすると話す。


 確かにガツガツカレーを完成させたいって気持ちは一番強いだろうしその方が良いね。


「この~!待ちなさい!」


 サフラさんはコンソメナトロスを追いかけてすり鉢状に穴の開いた地形に追い詰めた。サフラさんはバブーから飛びおりてコンソメナトロスを捕まえようとしたがジャンプで逃げられてしまった。


「わわっ!?」


 危うく穴の中に落ちそうになるけどイッセー君が彼女を助けた。


「大丈夫か?」
「ありがとう、イッセー」


 サフラさんは顔を赤らめながらイッセー君にお礼を言う。薄々思っていたけどサフラさんってもしかしてイッセー君の事……いや、これは口にしない方が良いね。


「逃げ足の速いやつね、だったらこれの出番よ」

 
 サフラさんがそういってなにかフードのような物を地面に仕掛けた。


「イッセー、アレってなんなの?」
「あれは『トラップフード』だな。食べると眠くなったり体がマヒしたりするんだ」
「へぇ、そんなアイテムもあるのね」
「俺達は直接やっつけて捕獲することが多いが普通の美食屋はああやって獲物を動けなくするのが基本だからな」
「あっ、そう言われれば普通はそうするわよね」


 リアス部長はイッセー君にサフラさんの使ったアイテムについて尋ねていた。僕達は猛獣と戦って捕獲するけど普通の人はそんなことできないからね。


 そんな事を話していると仕掛けを終えたサフラさんが身を隠すように言ってきた、僕達が身を隠すとコンソメナトロスがトラップフードを見つけて駆け寄ってくる。


 走り回ってお腹が空いていたのかコンソメナトロスはトラップフードを食べた。するとフラフラとしながら倒れてしまう。


「よし!」


 サフラさんは慎重に近づいてコンソメナトロスを捕獲した。


「こうしてみると美食屋って本当に大変な仕事なのね、特に彼女のような普通の人間は苦労も多いはずよ」
「俺達みたいにグルメ細胞や神器もない、悪魔でもない普通の人間が殆どですからね。実際死亡するリスクも多いんですよ、その多くが無知によるものが大半です。俺やサフラは教えを授けてくれる人がいたけど大抵は何も知らない初心者ばかりですし」


 リアス部長は美食屋の過酷な仕事ぶりを改めて見てイッセー君とそんな会話をしていた。


「一つ思ったんだけど美食屋を育てる施設や学校は無いのかしら?無知が原因ならちゃんと教えてあげればいいんじゃないの?」
「ところがそうもいかないんですよ。リアスさんはこの世界において最も重要な職業は何だと思いますか?」
「えっ、やっぱり美食屋じゃないの?」
「いや違います。この世界で一番重要な職業、それは『料理人』です」
「料理人……」


 イッセー君はこのG×Gで一番重要なのが料理人だと言った。


「どんな凄い食材を取ってきてもそれを調理できなければ本当の美味さは味わえない……だからこそ料理人はこの世界で最も価値のある存在なんです。ランキング100位に入ればそれこそ油田や宝石の採掘所を見つけたかのような大騒ぎになる程にね」
「確かに言われてみれば調理してくれる人がいるから美食を楽しめるのよね」


 確かに料理してくれる人がいるから僕達は美味しい物を食べられるんだよね、そう考えると料理人の価値が一番大きいと言うのも頷けるよ。


「だからこそ料理人を目指す人は多い、大成すれば億万長者だしそうじゃなくても仕事には困らないですからね。安全に地位を得られるし料理人は一番人気の職業です」
「じゃあ美食屋は?イッセーはカリスマって呼ばれてるじゃない」
「それも4000種類の食材を見つけてやっとですからね。美食屋は基本的に重労働ですし危険も伴う上失敗する確率も大きい、料理人と比べると人気は低いです。まず裕福な人間は料理人を目指すでしょうね」


 イッセー君は自分がカリスマと呼ばれているのも4000種類の食材を発見したからだと苦笑して言った、死ぬ確率も大きい美食屋になる人間は少ないと彼は話す。


 悪魔でグルメ細胞を持つ僕だって何度も死にかけたんだ、普通の人にはリスクが大きすぎるのも納得だ。


「美食屋になるのは貧困の為それ以外に仕事が出来ない人間、単純に暴れたり美味い物を食べたい人間などが殆どです。だから教育の場を作っても学費が払えない、勉強してる暇があるなら美味い物を探しに行きたいなどまともに教育も出来ません」
「世知辛いわね……」


 美食屋をするのは貧困のため他に仕事を選べない、知識を学べない人間が多いらしくそれ以外は暴れたり美味しい物を食べたいって目的の人が多いんだろうね。


 もちろん例外はあるだろうけど全部がそうじゃないからね、基本はそうなるんだと思う。


「ぶっちゃけこのメンバーで最も価値があるのは黒歌と才能が開花してきた小猫ちゃんですからね、俺が節乃おばあちゃんに調理を習ったのも食事を美味しくいただきたかったからですし」
「美食屋ってもっと憧れる職業だと思っていたわ」
「子供の頃は憧れていても大人になって現実を知る……よくある事です」


 中々重い話だったね。僕は部長に拾って貰えたから生活できたけど、そうじゃなければそのまま野垂れ死にしていた可能性の方が高かったし運が良かったんだと思う。


 生まれる場所は選べないしそこが貧困な場所だとできる事も限られてしまうからね。


「きゃああっ!?」
「どうした、サフラ!?」
「な、なんか変な奴がいるの!」


 急にサフラさんの叫び声が聞こえてきたので振り返るとサフラさんが慌てた様子でイッセー君に駆け寄った。


「誰が変な奴じゃ~~~ッ!!」


 すると茂みから何者かが出てきた、この人は……


「ゾンゲじゃないか、なんでここにいるんだ?」
「イッセーじゃねえか、奇遇だな!」


 なんとそれはグルメ馬車で出会ったゾンゲさん達だった、なんで島うまの背中にいるんだろう?


「イッセー、コイツ知り合い?」
「まあそんなところだな。それにしてもゾンゲ、お前らどうして島うまにいるんだ?グルメ馬車で別れたよな?」
「実は俺様は悪の組織に狙われていたらしくてな、あの馬車から脱出を図ったんだ」
「はぁ?」


 ゾンゲさんの意味の分からない話にイッセー君は首を傾げた。


「あの、どういう事なんですか?」
「実は無銭飲食がバレちゃって警備員に船の倉庫に閉じ込められていたんです。警察に突き出される前に脱出したんですけど海を漂流する事になって偶然この動く島を見つけて上陸したんですよ……」


 小猫ちゃんがゾンゲさんの部下の一人に事情を聴くと彼は説明してくれた。波乱万丈すぎるよ、この人……


「それで何で慌てていたんだよ」
「それがだな、この島で変な虎を見つけたから捕獲してやろうと思ったんだけど攻撃が効かねえんだよ。ありゃ間違いなくフラグが立ってないから負けイベントだと判断して準備しに向かってるんだ。決して逃げてるわけじゃねぇぞ!」
「変な虎ってまさか……」


 その時だった、森の奥から凄まじい威圧感と共に何かが現れたんだ。


「コイツはまさか……!」
「ガァァァッ!!」


 それは全身が水で出来た虎だった、まさかこの猛獣がウォータイガー!?


 ウォータイガーは口から勢いよく水を吐き出して僕達を攻撃してきた、僕達はそれを回避するが後ろにあった木々をなぎ倒すその威力に驚いてしまう。


「なにあれ!水鉄砲なんてレベルじゃないわよ!?」
「まともに当たったらバラバラになってしまいますわね……!」


 その威力にリアス部長と朱乃先輩が冷や汗を流す。


「喰らえ、フライングフォーク!」


 イッセー君はフライングフォークを数発撃ったけどウォータイガーは体から放たれた水の弾丸に打ち消されてしまった。


「流石捕獲レベル70……一筋縄ではいかねぇな」
「皆、行くわよ!」


 全員が戦闘態勢に入る、このまま皆で戦うのが一番なんだろうけど……


「皆、ここは僕にやらせてくれないかい?」
「なに?」


 僕は敢えてタイマンでの戦いをお願いした。


「危険よ祐斗、相手は捕獲レベル70よ!?」
「僕はギリムを前にして動くことすらできなかった……あんな情けない思いはもうしたくない、少しでも強くなるために経験を積みたいんだ!だからお願いします!」


 部長は当然止めようとするが僕は其れでもと頭を下げる。


 前にグルメピラミッドで遭遇したギリムを相手に僕は戦う前から負けを認めてしまった。奴はこの先必ず立ちふさがってくるはずだ、その時にまたイッセー君達に任せるなんて事はしたくないんだ!


「……分かった、最悪俺が守ればいいからな。リアスさんも祐斗の意思を組んであげてくれませんか?俺は強くなりたいと叫ぶ男の邪魔をしたくない」
「……はぁ、仕方ないわね。無茶だけはしないでね、祐斗」
「イッセー君!部長!ありがとうございます!」


 二人に礼を言って僕は和道一文字を構えて前に出る。


「ウォータイガー、お前の相手は僕だ!」
「ガァァァァッ!!」


 僕は和道一文字を突き付けてそう叫んだ。ウォータイガーも雄たけびを上げて襲い掛かってくる。


 僕の振るう刀とウォータイガーは爪がぶつかり衝撃が走った。この勝負、必ず勝って見せる


 
 

 
後書き
 サフラよ。ようやくウォータイガーを見つけたけど流石に私は何もできないのよね……だからイッセーに任せようと思ったけどまさか仲間の木場祐斗って子が一人で戦うなんて思ってなかったから驚いたわ。


 でもイッセーは信頼を込めた目で彼を見て頷いた。イッセーは祐斗君を心から信頼してるのね、彼にあんな信頼されていることが少しだけ羨ましいわ……


 イッセーが信じるなら私も信じるわ。お願い祐斗君、お父さんのカレーを完成させる為にウォータイガーを捕獲して!


 次回第125話『ガツガツカレーを完成させろ!祐斗VSウォータイガー!!後編』で会いましょう。


 次回も美味しくいただきます! 
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