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暗殺教室 in Hero

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緑谷出久の暗殺教室22 伏魔の時間

烏間「という訳だ」

ホテルから烏間と同じ防衛省の園川が走ってきた。
 
園川「烏間さん。案の定ダメです...政府としてあのホテルに宿泊者を問い合わせても、プライバシーの保護を繰り返すばかりで...」
 
烏間「やはりか…」
 
殺せんせー「やはり?」
 
烏間「裏社会と繋がりのあるんだ。国内外のマフィア勢力や、それらと繋がる財界人らが出入りしていると聞く。政府のお偉いさんともパイプがあり、迂闊に警察も手が出せん」
 
出久(オールマイトが言っていたホテルだな...!くそっ!よりにもよって!!!)
 
カルマ「ふーん...そんなホテルがこっちに味方するわけないね」
 
吉田「どーすんすか!?このままじゃいっぱい死んじまう...こ、殺される為にこの島来たんじゃねーよ!」
 
原「落ち着いて吉田君...そんな簡単に死なない死なない。じっくり対策考えてよ」
 
吉田「お、おお。悪ぃな...原」
 
 
寺坂「言うこと聞くのも危険すぎるぜ...1番チビの2人で来いだぁ?このちんちくりん共だぞ!?人質増やすよーなもんだろ!」
 
その2人とは渚と茅野のことだ。
 
寺坂「第一よ。こんなやり方する奴らにムカついてしょうがねぇ。人のツレにまで手ぇ出しやがって!」
 
狭間「単細胞が...」
村松「キシシ...」
 
寺坂「要求なんざ全シカトだ!今すぐ全員都会の病院に運んで!」
 
竹林「賛成しないな。もし本当に人工的に作ったウイルスなら、対応出来る抗ウイルス薬はどんな大病院にも置いていない。いざ運んで無駄足になれば、患者のリスクを増やすだけだ。対症療法で応急処置はしとくから、急いで取引に行った方がいい」

寺坂「竹林...」

竹林だけでなく、奥田も倒れた生徒達の応急処置をしている。

出久「冷静になろう、寺坂君...その怒りは主防犯にぶつけるんだ...!」

寺坂「...ああ」
 
烏間(敵の目的はこいつだがどうする!?交渉期限は1時間と無い...!)
 
殺せんせー「良い方法がありますよ」
 
律「殺せんせー、オッケーです♪」
 
殺せんせー「律さんに頼んだ下調べも終わったようです。元気な人は来てください。汚れても良い恰好でね...」

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律の指示で車に乗って移動する。竹林と奥田は倒れた生徒のところに残った。

着いた場所はホテルの裏...絶壁の壁の下だった。

木村「高ぇ...」

律「あのホテルのコンピュータに侵入して、内部の図面と警備の配置図を入手しました。正面玄関と敷地一帯には大量の警備が置かれています。フロントを通さずホテルに入るのはまず不可能。ただ一つ、この崖を登ったところに通用口がひとつあります。まず侵入不可能な地形故...警備も配置されていないようです」
 
出久「だからここに...!」
 
殺せんせー「敵の意のままになりたくないなら手段は一つ...患者10人と、看病に残した2人を除き...動ける生徒全員でここから侵入し、最上階を奇襲して治療薬を奪い取るのです!」

烏間「危険すぎる...!この手馴れた脅迫の手口...敵は明らかにプロの者だぞ!」
 
殺せんせー「ええ。しかも私は君達の安全を守れない。大人しく私を渡した方が得策かもしれません。どうしますか?全ては君達と...指揮官の烏間先生次第です」
 
磯貝「...それはちょっと」
 
菅谷「難しいだろ...」
 

烏間「やはり無理だ。渚君、茅野さん、すまないが...」
 
磯貝「いやまぁ...」
 
岡野「崖だけなら楽勝だけどね。いつもの訓練に比べたら」

すいすいと壁を登っていく生徒達。学校の裏山で散々訓練しているのだ。この程度は朝飯前なのだ。
 
磯貝「でも、未知のホテルで未知の敵と戦う訓練はしてないから...烏間先生、難しいけど指揮を頼みますよ」
 
寺坂「ふざけたマネした奴らキッツリ落とし前つけてやる!」
 
烏間「...!」
 
殺せんせー「見ての通り。彼らは只の生徒ではない。貴方の元には16人の特殊部隊がいるんです。さぁ、時間は無いですよ?」

生徒達の目に逃げるという選択肢はない。それを分かった烏間が指示を出した。
 
烏間「注目!!目標山頂ホテル最上階!隠密潜入から奇襲への連続ミッション!ハンドサインや連携については訓練のものをそのまま使う!違うのはターゲットのみ!3分でマップを叩き込め!21時50分(ニーヒトゴーマル)作戦開始!!」
 
一同「おう!!!」

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奇襲メンバー
出久、渚、茅野、カルマ、千葉、速水、寺坂、吉田、菅谷、磯貝、木村、片岡、不破、岡野、矢田、律、烏間、イリーナ

患者組
岡島、三村、前原、杉野、村松、倉橋、中村、原、狭間、神崎

看病メンバー
奥田、竹林




岡野「早くしないと置いてくよ〜」
 
岡野は誰よりも早くひょいひょいと崖を登っていく。
 
木村「やっぱ身軽だな〜岡野は」
 
磯貝「ああ。こういう事やらせたらクラス一だ」
 
木村「それに比べてうちの先生は」
 
イリーナ「きゃー揺れる!もっと静かに登りなさいよ!」

烏間「...ちっ」
 
磯貝「動けるのが3人中1人とは...」
 
ビッチ先生は烏間先生に捕まって、殺せんせーは身動き取れないから烏間先生が持ってる。烏間先生が不憫である。
 
殺せんせー「しかし皆さん見事なバランス感覚ですねぇ...」
 
烏間「崖登りクライミングなら学校の裏山でもさせている」
 
イリーナ「いいから早く登りなさいよ!掴まる手が疲れてきたわ!!」
 
千葉「つーか、ビッチ先生何でついて来てんだ...?」
 
片岡「留守番とか除け者みたいで嫌なんだって」
 
寺坂「フン。足でまといにならなきゃいいけどな」


渚「はぁ...はぁ...」

出久「渚君大丈夫?僕が背負って行こうか?個性を使えばできるから」

渚「えっ、で、でも...」

出久「ここで体力を使い切るのはダメだ。...特に渚君みたいな、暗殺の力に長けている人は」

出久は渚を背負って、OFA6%で一気に駆け上がっていく。

出久「しっかり捕まってね」

渚「う、うん...」

渚はぎこちなく出久にしがみついた。

殺せんせー「緑谷君も随分個性を使えるようになりましたねぇ」


矢田「...私も助けてくれない?私が登ったところ尖った岩が多くて...」

矢田の声が聞こえたため、出久は渚を頂上に送った後、降りてすぐに矢田を背負った。実際に尖った岩が多かったため、少し遠回りして上に登っていく。

矢田「ありがとう緑谷君♪」

出久「う、うん...(背中に大きな柔らかいものが...!?)」

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全員が頂上について、律が内部情報を説明し始める。

律「内部マップを表示します。エレベーターを使用することはできません。フロントが渡す各階ごとの専用ICキーが必要なためです。従って、階段を登るしかありません。その階段もバラバラに配置されており。最上階までは長い距離を歩かなくてはなりません」
 
千葉「テロリスト対策をしているテレビ局みたいな構造だな」
 
菅谷「こりゃあ悪い宿泊客が愛用するわけだ...」
 
烏間「行くぞ。時間が無い。状況に応じて指示を出すから見逃すな」
 
烏間を先頭にし、扉を開けて中へ入っていく。

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ロビーでは何にもの屈強な男達が見張っている。

渚「全員が突破するのは難しいんじゃ...」

烏間(ここは人数を絞っていくしか...)

イリーナ「何よ。普通にいけば良いじゃない」

イリーナの言葉に全員ポカンとする。

菅谷「状況判断もできねーのかよビッチ先生!」
 
木村「あんだけの数の警備の中どうやって...」
 
イリーナ「だから、普通によ」
 

イリーナは少し体をふらつかせながらロビーに入り、警備員の1人と肩をぶつけた。
 
イリーナ「ごめんなさい、部屋のお酒で悪酔いしちゃって」
 
顔を赤くした妖艶な表情に、警備員達は鼻の下を伸ばしていた。そしてロビーのピアノを指差し

イリーナ「来週そこでピアノを弾かせて頂く者よ。早入りして観光してたの...酔い覚ましついでにね、ピアノの調律をチェックしておきたいの。ちょっとだけ弾かせてもらっていいかしら?」
 
ビッチ先生は近くにいた警備員にそう頼むと、1人がフロントに確認を取ろうとした。しかしビッチ先生はそれを防ぐために、腕をそっと触ってその男を上目遣いで他の場所など見させない。
 
イリーナ「そんな事しなくていいじゃない。あなた達に聞いて欲しいの」

私だけを見なさいと言わんばかりの色気に全員が見入っていた。
 
イリーナはピアノを弾き始めた。その美しい音色、そして演奏しながら色気を100%引き出している。

その姿を見て、警備員だけでなく生徒達まで曲に魅了されていた。すると警備員から見られないようにイリーナがハンドサインを出した。
 
イリーナ(20分稼いであげる、行きなさい)
 
E組一同は隙をついてロビーの突破に成功した。E組は認識した...イリーナ・イェラビッチは世界を股にかけ、ハニートラップの巧み使う殺し屋だと。


烏間「よし。入口の厳しい警備は抜けられた。ここからは客のフリができる」
 
菅谷「客...って、こんなホテルに中学生の団体客なんているんすか?」
 
烏間「聞いた限り結構いる。芸能人や、金持ち連中のボンボン達だ。王様のように甘やかされて育った彼らは、あどけない顔のうちから悪い遊びに手を染める」

出久(その中にも個性を使う危険な奴らがいる...気をつけないとな)
 
殺せんせー「そう。だから君たちもそんな輩になったフリで、世の中をナメてる感じで歩いてみましょう」
 
殺せんせー言われた通りに殆どの生徒がナメてる感じで歩き始めた。

出久「...逆に違和感感じるのでは...堂々と歩いているだけで十分かと...」

烏間「緑谷君の言う通りだ。それとお前も舐めるな!」

殺せんせーも緑の縞々になって舐めていた...

殺せんせー「ですが、我々も敵の顔を知りません。敵もまた客のフリで襲って来るかもしれない。充分に警戒して進みましょう」

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進んでいくと客とすれ違う時もあったが特に何も起こらなかった。あちらも問題は起こしたくないのだろう。歩いていると少し開けた場所に着いた。

寺坂「入ったら楽勝じゃねーか。時間ねーんだからさっさと進もうぜ」

吉田「そーだな」

寺坂と吉田は烏間の前に出た。すると、向かい側から誰か歩いてくる。

不破「っ!寺坂君危ない!!!」

その言葉と同時に歩いてきた男が何かを出そうとした。烏間はすぐに2人を引っ張って後ろに戻すと、ハスを至近距離で食らってしまった。

出久「殺気なんて感じなかったのに...!」

「なぜわかった?殺気を見せずすれ違いざま殺る…俺の十八番だったんだがな?」
 
不破「だっておじさん。ホテルで最初にサービスドリンク配った人でしょ?」
 
一同「...あ!」
 
不破「そんな人がこんなホテルを歩いてるなんておかしいわ」
 
茅野「じゃあ、あなたが皆に毒を...!?」
 
「フッ。断定するには証拠が弱いぜ。ドリンクじゃなくても、ウイルスを盛る機会は沢山あるだろ?」

不破「皆が感染したウイルスは経口感染...つまり、飲食物に混入されていたもの」

ここに来るまで、竹林の考察によると感染は経口感染ということが判明した。理由はシンプルで看病している竹林と奥田が感染していないからだ。
 
不破「クラス全員が同じ物を口にしたのは、あのドリンクと、船上でのディナーの時だけ。けど、ディナーを食べずに映像編集をしていた三村君と岡島君も感染した...感染源は昼間のドリンクに絞られる...従って!


犯人は貴方よ!おじさん君!!」
 
毒使い「っ!」

渚「すごいよ不破さん!」
 
茅野「なんか探偵みたい!」

不破「普段からショウネンマンガを読んでいると、普通じゃない状況でも素早く適応できるの!」

出久「少年漫画にそんな力が...すごくカッコよかったよ不破さん!」

不破「っ!そ...そうでしょ!」

出久(少年漫画...借りたらちゃんと読もう!)

そんなことを話していると烏間が膝から崩れた。


殺せんせー「毒物使いですか。しかも実用性に優れている」
 
「俺特製の室内用ガスだ。一瞬吸えば象すら気絶する。外気に触れればすぐ分解して証拠も残らない...さて、お前たちに取引の意思が無いことはよーくわかった。交渉決裂。ボスに報告するとするか...んっ!?」
 
毒使いの男が気付く頃にはもう遅い。すでに生徒達によって全ての退路が絶たれていた。
 
「はやい...!」

磯貝「敵と遭遇した場合...」
 
片岡「即座に退路を塞ぎ...」
 
寺坂「連絡を断つ...」
 
出久「そうですよね?烏間先生...!」
 
烏間「...お前は、我々を見た瞬間に...攻撃せずに報告に帰るべきだったな...!」
 
「フン。まだ喋れるとは驚きだ。だが、所詮他はガキの集まり。お前が死ねば統制が取れずに逃げ出すだろうさ!」
 
ガスの男はふたたび毒を噴射しようとするが、その前に烏間先生の目にも止まらない攻撃を顔面モロに食らって倒れた。
 
毒使い(つ、強え人間の速さじゃねぇ...!だがな...おっそろしい先生よ...お前の引率もここまでだ...)
 
男が倒れると同時に烏間先生も倒れてしまった...
 
一同「烏間先生!!!」

-----

ガスの男を縄で縛り、磯貝が烏間に肩を貸している。烏間曰く、30分で回復させるという...

菅谷「象も眠らせるのに...」

岡野「先生も十分化け物じみてるよね...」

そして再び進み始める。あのようなプロがこの先も待ち構えていると考え、生徒達に不安がよぎる...

殺「いやあ。いよいよ夏休みって感じですねぇ」
 
いくら何でもこの言葉は生徒達を苛つかせた。
 
片岡「何をお気楽な!」
 
木村「ひとりだけ絶対安全な形態のくせに!」
 
菅谷「渚!振り回して酔わせろ!」
 
殺せんせー「にゅやーーーっ!!」
 
渚は殺せんせーが入っている袋を遠慮なくぶん回す。
 
カルマ「よし寺坂。これねじ込むからパンツ下ろしてケツ開いて」
 
寺坂「死ぬわ!!」
 
出久「こんな状況なのにどうしてこれが夏休みなんですか?」
 
殺せんせー「先生と生徒は馴れ合いではありません。そして夏休みとは、先生の保護が及ばない所で自立性を養う場でもあります。普段の体育で学んだ事をしっかりやれば、そうそう恐れる敵はいない。君達ならクリア出来ます」

-----

その頃、最上階では
 

「濃厚な魚介出汁に、たっぷりのネギと人匙のニンニク...

そして銃!!あぁ...!つけ銃うめぇ...ライフリングに絡むスープがたまらねぇ」
 
男は銃をスープに浸けてチュパチュパと上手そうに舐めていた。
 
「ククク、見てるこっちがヒヤヒヤするぞガストロ。その銃、実弾入りだろ?」
 
 
ガストロの異常な食事の仕方に雇い主の男はニヤニヤと笑っていた。
 
ガストロ「ヘマはしねっす。撃つ時にも何の支障もありませんし、ちゃんと毎晩我が子のように手入れしてます。その日、一番美味い銃がその日一番手に馴染む...経験則ってやつっす俺の」
 
「奇特な奴だ。他の奴等もそんなか?」
 
ガストロ「ええまぁ。俺等みたいな技術を身につけて何度も仕事をしてきた連中は何かしら拘りが出てくるもんです。例えばスモッグの毒は全て自作...洗練された実用性に拘るあまり研究室まで作る始末ですからね」
 
 
「...ほう...ではあのグリップも?」
 

ガストロ「ええ。まあ、あいつはちょっと変わってましてですねぇ......それと誰呼んだんすか?俺らにも教えないって」


「ふっ...心配するな。ここには手を出させないようにしているさ。奴は血が見たいだけなんだからな...」

男は口角をさらに上げて笑う。

シリーズ
暗殺教室 in Hero



 
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