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不浄の木

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第二章

「それを懲らしめる為にだ」
「これからですね」
「そこにあえて入ってな」
「懲らしめる為に」
「ことを為すぞ」
「わかりました」
「男は川辺にいる」 
 カムイは自分の言葉に頷いた供の者に話した。
「それなら川上に向かうぞ」
「そしてですね」
「水源を抑えてな」
「男の飲み水を抑える」
「そうする、そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「そこからな」
「さらに攻めますね」
「いいな、それで」
「いいと思います」
 供の者も賛成した、そうしてだった。
 カムイは供の者を連れて川上に向かった、だが。
 突如ひゅうと二人の横を何かが通った、それは音の様に速く。
 川の源に当たった、するとだった。
「なっ、鮭達が」
「そうだな」
 カムイは供の者の言葉に頷いて川を見た、見れば。
 川の鮭達が急いで川を下ってきている、カムイはそれを見て供の者に話した。
「胡桃の矢の力だ」
「男のものですね」
「魔族の男が持ったからな」
 それ故にというのだ。
「胡桃の弓矢は不浄なものとなり」
「そしてですか」
「その不浄の力でだ」
 それで以てというのだ。
「川を汚してな」
「鮭を自分のところに寄せて」
「そして全てな」
 源から汚れそれから逃れて川を下る鮭達をというのだ。
「捕らえて自分のものとするつもりだ」
「鮭の全てを」
「もっと言えば川の魚全てをな」
「鮭以外の魚も逃れていますが」
「全てな」
「では捕まえ喰らい」
「食いきれないものは干してだ」
 そのうえでというのだ。
「喰らう、兎角だ」
「その全てをですね」
「自分のものにするつもりだ」
「そして食いきれないなら」
「捨てるだろうな」
「とんでもない奴ですね」
「どうやら我々の存在には気付いていない様だが」
 魔物の男はというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「許せんな、川を汚してまでそうするとは」
「全くですね」
 供の者もそれはと頷いた。
「ここまでとは」
「では容赦はしない」 
 カムイは怒りを滲ませた声で言った。
「これより成敗する」
「懲らしめるのではなく」
「そうする、こうしてな」
 矢が飛んできた方に向けてだった。 
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