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幽霊は本当にいる

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第一章

                幽霊は本当にいる
 幽霊なんているか、榊原直美はいつもこう言っていた。
「幽霊なんていないわよ」
「じゃあ心霊写真インチキね」
「霊能力者も」
「怪談も」
「それでそうした番組も」
「全部インチキよ」 
 職業はOLで黒髪をショートにしている、丸顔で可愛らしい童顔で背は一五四位で胸も腰も結構ある。声も可愛くその声で言うのだった。
「そんなのね」
「そうなのね」
「じゃあ直美ちゃんそうした番組は一切観ないで」
「無視してるのね」
「そうなのね」
「そうよ」 
 その通りと言うのだった。
「私はね、幽霊なんていないよ」
「果たしてどうかしらね」
「幽霊って実際はいるんじゃない?」
「そうよね」
「そうしたお話多いしね」
「だから全部嘘で」 
 こう返す直美だった。
「インチキだって」
「そう言うのね」
「まあその目で見ないとね」
「いるって言えないわよね」
「何でも」
「そう、私見たことないから」
 幽霊をというのだ。
「こう言うのよ」
「そういうことね」
「やっぱりその目で見ないとね」
「いるって言えないわね」
「そういうことよ」
 直美はこう考えていた、それでだった。
 幽霊を信じずそういう手の話は全て嘘っぱちだと断言していた、そうして働いて日常生活を送っていたが。
 ある日彼女は会社の昼休みに同僚達と共に会社を出て昼食を食べにある店に向かっていた。そこで同僚達に言っていた。
「あのお店美味しいわよ」
「そうそう、手打ちでね」
「おうどんコシがあるのよね」
「おつゆも美味しくて」
「いいわよね」
「やっぱり関西はね」 
 自分達が今いる場所はというのだ。
「おうどんはおつゆよね」
「昆布のね」
「それよね」
「あの香りもいいのよね」
「コシだけでなくおつゆもいいから」
 今から自分達が行く店はというのだ。
「いいのよね」
「そうそう」
「じゃあ今から行きましょう」
「あそこのおうどん食べにね」
 同僚達も笑顔で話した、そしてだった。
 その店に向かっている途中だ、ふと。
 直美は空を見た、すると。
「えっ・・・・・・」
「どうしたの?」
「何があったの?」
「あれ」 
 同僚達に真っ青な顔になって空のある場所を指差して言った。
「見て」
「えっ、何あれ」
「女の人じゃない」
「お空飛んでるけれど」
「お婆さんね」 
 見れば八十過ぎの穏やかそうな顔立ちの老婆だった。
「お空飛んでるけれど」
「正面だけ見て」
「それで飛んでるわね」
「お身体半分透けてて」
「まさか」
 地味な服装の彼女を見て言うのだった。 
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