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リュカ伝の外伝

作者:あちゃ
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第一節:「ぼくらのオープンコード」

 
前書き
今回より登場する新キャラは、
名前だけは実在する偉人をモチーフにしましたが、
容姿・性別・性格などは関係しておりません。
なのでエミヘンは右利きですw 

 
(グランバニア:芸術高等学校・音楽部特別教室)
ヨクスSIDE

約40倍もの倍率の中、運良く選ばれた新楽器の受講。
その授業の第一回目。
俺はウキウキとした気持ちで指定されてる教室へと廊下を進む。

遠くから少し激し目の演奏が聞こえてくるのを感じていたが、その音源が今から向かっている教室からである事は、近付いてから気付いた。
授業開始時間にはまだ15分くらいあるから、俺みたいに待ちきれない生徒が既に到着していて、勝手に弾いているんだと思ってた……

だけど教室に入ってビックリ。
生徒は俺が一番乗りだったけど、既に講師の先生が到着していて、何やら格好いい曲を弾いていたのだ。
俺は演奏の邪魔をしてはいけないと思い、声を出さずに深く頭を下げて挨拶をする。

だが講師の先生は俺に気付き演奏を辞めて挨拶をしてくれた。
「やぁ、早いね。まだ時間はあるのに、やる気を感じるね。さぁ、好きな席に座ってよ」
そう爽やかに、そして格好良く俺に話しかけ着席を促してくれた。

恐れ多い……
だって、聞いてはいたけど本当に講師の先生は国王陛下なんだもの!
恐縮の極みだ。俺の事など気にしないで、演奏を続けて欲しかった……曲も格好良かったが、演奏しているお姿も格好良かったから。

とは言え、そんな事を言えるはずも無く俺は一番手近な席へと腰を下ろした。
そして一際気になったのは陛下が弾いておられた新楽器……MG(マジカルギター)だ。
先日の新楽器発表演奏で使用していたのと同じ、濃い青を基調にドラゴンが描かれてる格好いいMG(マジカルギター)

直ぐ隣に立て掛けてあるのも先日女性が使用していたMB(マジカルベース)だ。
白を基調に赤でキラーパンサーが描かれている。
両方とも授業で陛下が使用するのだろう。
メチャクチャ格好いい!

後続の生徒が俺と同じように教室へ入ってきて、陛下の存在に慌てて挨拶をしてるけど、俺はあの格好いいMG(マジカルギター)から目が離せない。
教室の端には俺等が使用する用のMG(マジカルギター)MB(マジカルベース)らしき物が立て掛けてある。

それぞれに黒い布製のケースが装着されてるから中身までは解らないけど、きっと陛下が使用してる物ほど格好良くは無いだろうなぁ……
この特別授業を受ける者は王家から新楽器を無料で提供してもらえると事前には聞いていたから、十分嬉しいんだけども……あの格好良さはズルいなぁ。

俺の視線に気付いた陛下が入ってくる生徒らに挨拶をしつつ、「格好いいでしょ、このギター」と掲げ見せてくれた。
当然だが俺は素直に「(すげ)ー格好いいッス!」と言うよ。
だって本当の事だし。

「皆に渡す楽器は各人見分けが付く様に色分けしてあるけど絵は描いて無いんだ。このギターとベースは特別でね。開発してくれた女の子の彼氏が宮廷画家でさ。お披露目するに当たって描いてくれたんだ」
宮廷画家の事は聞いた事がある……演奏会でイチャつくカップルとしてイジられてた二人だ。
良いなぁ……

「あの陛下。先程までずっと聞こえてた演奏は、陛下が奏でられてたのですか?」
俺の直ぐ後に入って来た女の子が、俺の所為で演奏を中止してしまった先程の曲の事を尋ねる。
余談だが、この女の子は凄く可愛い。

「あ、うるさかった? ゴメンね。チューニングだけのつもりだったんだけど、弄ってたらノってきちゃって(笑)」
「い、いえ! 全然うるさくなかったです。激しくて格好いい曲だったから、曲名は何かなと思いまして!」
確かに格好良かった……でも俺は陛下とMG(マジカルギター)の格好良さに気を取られてた。

「うん。先刻(さっき)の曲は“パイプライン”って言うんだ。取り敢えず今回みんなに練習して貰う曲は演奏会でも奏でた“夜に駆ける”だけど、習得できたら随時レクチャーするよ」
良いなぁ……俺には課題曲を憶えるのだけで精一杯だろうから、そっちにまで手が回らない。

質問をした女の子は両方とも憶えられるだろうなぁ。
彼女の名前はエミー・ヘンドリクス。結構な有名人だ。
見た目がフワッとした感じの可愛らしい女の子なんだけど、専行してる楽器はギター……所謂アコーステック・ギター……で、腕前はかなりのもの。

しかも演奏が始まると人が変わったかの様にスタイリッシュになり、テクニカルで格好いい美女に変貌する。
そのギャップで下級生女子から告白されるくらいだ。
以前は同性愛者ではと疑われた事があったが、現在は彼氏がいる。

しかもその彼氏は、ベース……所謂アコーステック・ベース……を専行していて、今回の授業にも当選しているんだ。
彼氏の名はジャコパ・ストリアル。カップルで新楽器の授業に当選した。
羨ましい限りである!

「さて……じゃぁ全員揃ったみたいなので、ちょっと早いけども始めちゃって良いかい?」
全く問題無い……ってか反対する者は居ないだろう。
それに『ちょっと早い』と言っても5分程だ。

「反対する子もいないし始めます。先ずは自己紹介からだね。僕はリュカ。リュケイロム・グランバニア。済し崩し的に王様やってます。今回は皆に色々教えるから“先生”って呼んでね」
「よろしくお願い致します、リュカ先生!」「「「よ、よろしくお願い致します!!」」」

短いながら陛下……いや先生の自己紹介が終わり俺等の事を見渡したので、生徒の一人が元気よく挨拶をした。
俺等もそれに釣られ慌てて挨拶をする。
ビックリしたが、ぼーっとしてた俺等が悪い。

「おぉぅ、元気良いな(笑) じゃぁ引き続き皆の自己紹介もお願いしよう。そうだな、入口側の君から順番にいこうか」
そう言うとリュカ先生は『どうぞ』と言わんばかりに手の平を上にして俺を指名した。

「あ……は、初めまして! 俺はヨクス・ノームルと言います。専行はパーカッションですが、どちらかというと作詞が得意です。本当に『どちらかというと』ってだけで、実際は大したことないです」
自分で言ってて情けなくなったが、本当の事だから仕方ない。

「じゃぁ次は俺ですね。俺の名はジャコパ・ストリアルです。専行はベースで、それなりに自信があります」
次に自己紹介をしたのは俺の隣に座ったジャコパ君だ。彼は先刻(さっき)も言ったがエミーさんの彼氏である。彫りの深いイケメンだ。

「初めまして、私はエミー・ヘンドリクスです。私はギターを専行しております。よろしくお願いしまぁ~す」
ホントに可愛い!。
ジャコパ君が羨ましすぎる。

「ども、私はケティー・リーン。私もベースを専行してます」
結構な美人さんだ。何より背が高くて格好いい。
踵の高い靴を履いてるわけでもないのに、俺よりも高い。175cm以上はあるだろう。

「はい。僕はジェフリー・ベックです。僕はギターを専行してます。腕前はぁ……ご想像にお任せします(笑)」
彼を最初に見た時は可愛い女の子だと思った。声も男性にしては高いし、睫毛も長い。
でもしっかりと喉仏があるし、男の子だろう。

「どうもッス! 俺の名前はポウル・マッカートナーです! 今までもベースを頑張ってきました。なのでMB(マジカルベース)を練習したいッス!」
声がデカく顔の濃い彼は、先刻(さっき)率先して挨拶をした男性だ。初対面の人にこんな感想を持つのは失礼だけど……暑苦しそうな男だ。

「初めましてエルリック・クラプトンです。専行はギターです。作詞作曲も出来ます。よろしくお願いします」
彼も有名人だ。
切れ長の目をしたイケメンで、既に色んな楽団から声がかかっているらしい。

「クリスティーナ・バートンと申します。木管楽器全般を学んで参りました。特にフルートが得意ですが、今回はMB(マジカルベース)を学んでみたく応募致しました。よろしくお願い致します」
良いとこのご令嬢かと思える女の子。
言葉遣いも丁寧で優しそうだ。

「は、は、初めまして……わ、私はジェーン・ハリスンです! よ、よ、よろしく……あ! せ、せ、専行は鍵盤打楽器で……マ、マ、マリンバが得意でフ……いえ、得意です!」
噛み噛みの彼女は俺の幼馴染み。軽度ではあるが人見知りが激しく、人前で挨拶をするのは苦手だ。演奏は始まってしまえば大丈夫なのだが、それまでは見ているこっちの胃が痛くなるくらい緊張している。

「どもーッス。ウチはピノ・パラデイン言いま~す! 専行はバイオリンどぅぇ~す! ヨロー♥」
ノリの軽い女の子だ。髪型はツインテールで身長は低く幼く見える。
ケティーさんの胸くらいまでの高さだ。しかもハイヒールを履いていて……
でも胸が(すげ)ーデカい! 動作の一つ一つでゆっさゆっさ揺れる。目が離せない。

「よ~し……みんな自己紹介が終わったね。女の子の顔と名前は憶えた……でも男を憶えるのは苦手なので、間違えたらゴメンね(笑)」
笑顔でそう言い俺達を見回す先生。

さぁいよいよ新楽器を貰えるのだろうか?

ヨクスSIDE END



 
 

 
後書き
新キャラの名前の元ネタを
全員解る人は居ますかね?

コメント待ってます。 
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