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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百七十五話

「おぉ……すっげぇ」

カンヘリア首都セルピニシア。

つまりは西サハラ基地である。

今日は直江津高校の卒業式。

の深夜。かっこ日本時間かっことじる。

自分の奥底にあるものと対面する勇気などないチキンな俺はセルピニシアに逃げたのだ。

鏡の国から逃げたのだ。

管制塔の窓から見える街の風景に思わず声が漏れる。

コンビナートと各種格納庫、滑走路を含む軍事施設。

それをすべてひっくるめて

「現状基地設備は完成。あとは外縁部の難民街の内装整備だね」

「食料プラントは?」

「建造中。あとタンパク質は合成か魚メインになりそう」

「品種は?」

「遺伝子改良とクローニングした魚。量も味も栄養分も問題ないよ。
ただ生き物だからさ、そこまで急速には大きくできなくって」

「陸?」

「もちろん。逃げたら面倒だもん」

難民街…まぁちょっといいプレハブ小屋の居住区を建設中。

これと食料プラントを完成させねば住民の受け入れはできない。

ここカンヘリアの存在する西サハラ地域は俺が転生する前の史実でも係争地の一つだった。

だがその頃は、地雷問題や小競り合いこそあれど暫定政権があり統治されていた。

それが2020年代のコロナ禍とロシアウクライナ戦争のあおりを受けて無政府状態化。

こういった場所はアフリカや南米の一部地域に存在する。

白騎士事件も一端だと言われるとぐうの音も出ないが。

幸い旧首都の機能は維持されており、最低限の生活を送れてはいるようだが、他地域への統治を行う余裕はないのが現状だ。

「日本との盟約は?」

「合意済みだよ。近々支援食糧が届くはずだよ。総理含む外交団と一緒にね」

二日後の予定だ。

「そこで建国宣言か。総理も大変だなぁオイ」

さて、地上施設は十分か。

「で、艦隊は?」

「あ、やっぱ気になる?」

「気になるねぇ」

ドヤ顔の束さんとエレベーターで地下施設へ。

ガラス張りのエレベーターチューブから地下ドックが一望できる。

そこには完成したプトレマイオス2改級が5隻並んでいる。

「これが第二ロット。3日前に完成したばっかりのピカピカさ。
第一ロットは第二ドックに移してあるよ」

「パーフェクトだよ。束さん」

これで世界各地に殴り込みをかけれる。

現時点ですでに難民キャンプにはリムシィを送り込み、住民の説得は終了している。

あとはフォールドでトレミー2を送り込むだけ。

「ああ、それと、レイヴ。完成したよ」

「マジで⁉できてんの⁉」

「マジマジ。ぴーちゃん連れてきてるんでしょ?」

「箒といるよ」

そうか。レイヴ完成してたか。

じゃあ試運転もしなきゃなぁ。

「よし。じゃあ式典に向けて大掃除だな。レイヴの燃料採集も兼ねて」

「そうだね。外交団が狙撃されましたとか洒落にならないからねぇ」

本部地下施設の食堂。

シルヴヴァインの面々、連槍、ロリs、あと眠そうな箒が夕食を食べている。

「よっす久しぶりお前ら」

「お、若」

「ようヴィッサリオン」

奥の席に座っていたヴィッサリオンの隣に行く。

「このあと君らヒマ?」

「たったいまヒマじゃなくなった。若のご命令が最優先事項だからな」

「うむ。よろしい」

パンパンと柏手を2回うち、注目を集める。

「明後日、食糧支援と共に外交団の方々がいらっしゃる。
が、ここは散らかっている。掃除をしなければならない」

シルヴヴァインの面々をぐるりと見回す。

「という訳で。ヒト狩り行こうぜ!」

ぐっと手を掲げるが、しんと静まり返ってしまった。

「ミッション開始は3時間後。各々準備を済ませるように」

通達の後に、俺は箒を呼び出した。

基地内に用意した自室。

まだベッドと机くらいしかない部屋。

ベッドの上でぺたんと座って箒と向き合っていた。

「箒。俺たちは今から人を殺しに行く」

「ああ。私も行く」

「そのつもりらしいな」

ムーバルスーツを纏い、あとはアーマーを展開するだけだ。

「今回は本当に人を殺す。相手は怪異や機械じゃない生きた人間だ」

「わかっている」

「そして今この基地の周りにいるのは基本的に敵だ。
大国が水面下で送り込んできている刺客だ。公的には存在しない、工作員だ。
故に彼らを殺しても社会的に責められる事は一切ない。
だがそれでも彼らは生きている。戦う覚悟があるか?」

「わからない。でも、敵なら倒す」

「言っておくが今回の相手は捕縛後生かしておく事はない。
お前が手を下さずとも、連れ帰っても、確実に俺が殺す。
それでも戦うか?」

「戦いたい。お前と姉さんの役に立ちたい」

箒の拳がぎゅっと握られる。

「わかった。なら止めない」

箒の手を取る。

「今日、指揮を取るのは俺だ。命令するのは俺だ。
お前は、俺の命令で人を殺す。忘れないでくれ」

と、まぁ箒のメンタルケアを考えて色々言った訳だが。

「ステイ」

出撃前のブリーフィングルームにて。

「どうしたんだい若?」

「なぜ円香とリムとエレンがムーバルスーツを着ている?」

保護者組、アルシャーヴィン夫妻と束さんに視線を向ける。

「んー?それは私が許可したからだよ。いっくん」

「理由は?」

「こういうのは早いほうがいいと思ったから。かな?
私達の側にいる以上。まーちゃん達はいつか必ず人間と戦わなきゃいけなくなる。
それがいつかはわからない。その時に人を殺すことを躊躇って、まーちゃん達が死んじゃうのは避けたい」

「とはいえ早すぎる」

「君が初めて人を殺した時と大して年は変わらないはずだけど?」

「俺のときはもっと遅かった。少なくとも他人を殺したのは」

そこで、ポンと箒が俺の両肩に手を置いた。

「一夏。ここは姉さん達が正しい」

「そんな道理があってたまるか⁉」

振り返ると、箒がしゃがみこんでいた。

俺の肩に再び置かれた両手と、まっすぐ射抜くような瞳。

「一夏。お前が巻き込んだんだ。諦めろ」

「なっ⁉」

「お前も万能の存在ではない。それくらいわかっているだろう?」

そう言って箒は俺の胸を叩いた。

先日、貫かれたばかりの胸を。

「わかったよ」

3人に視線を向ける。

「円香。リム。エレン」

「「「はい」」」

「お前たちは、俺の命令で人を殺す。
お前たちは、俺のために人を殺す。
お前たちは、俺を憎んでいい」

三人が頷く。

「ではブリーフィングを始めようか」

作戦はローラー。

扇状の作戦エリア内の敵を虱潰しに撃破する。

班分けは3つ。

シルヴヴァインをヴィッサリオンとフィーネの指揮下2班に分け、ヴィッサリオンの1班にエレン、フィーネの2班にリム。

3班には俺と箒と円香。

束さんは司令塔で指示出し。

バックアップにはミハシラシステムとティルナファシステムの計6基のISコアがつく。

連槍は何かあったときのための遊撃として待機。

1,2班には移動用として随伴でライオットシールド装備のロジコマが2機とオートマトンが6機つく。

基本的に、ロリsには魔法で盾役に徹してもらう。

無駄な足掻きだが、最前面に出したくはない。

敵の位置はメティスサイトで知覚、CADを通しミハシラとティルナファにアップロードし、バックアップ経由で各員に伝わる。

敵は数名捕縛できれば好ましいが、無理に捕縛する必要はなく、殲滅しても構わない。

遠くの敵は3班が殲滅するので、舗装エリア内と周辺5km圏内の敵が1,2班の対象だ。

ブリーフィング後、出撃だ。

1,2班のメンバーがロジコマとオートマトンの把手をつかみ、搭乗する。

「死んでも俺が死なせないから安心しろ。
寿命まで扱き使ってやるから、そのつもりでな!」

シルヴヴァインの面々からのブーイングを聞き流し流し、作戦開始の号令をかける。

「作戦開始!」

イエスマムの返答と同時に、シルヴヴァインの面々が乗った多脚戦車が走り出す。

「キャスト」

「起動」

「展開」

俺に続き、箒と円香が飛行術式を起動した。

行動開始だ。 
 

 
後書き
院生って忙しい 
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