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氷蕎麦

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第四章

「だからね」
「冷やすことについてはな」
「何でもないわ」
「そうだな、じゃあな」
「保存も出来るし」
「自分達で打ってな」
「切って茹でて」
 そしてというのだ。
「氷水を出して冷やして」
「そして食っていこうな」
「そうしましょう」
 二人で話した、そしてだった。
 実際に夫婦で蕎麦を作って食べていった、それで友人である他の妖怪達にも振舞ったりもしたがその評判は。
「いや、美味いな」
「そうだよな」
「よく冷えていて」
「それで麺も引き締まっていて」
「美味いよ」
「あんた達の作った蕎麦は」
 こう言うのだった、だが。
「冷えてるな」
「それもかなり」
「雪、いや氷だな」
「それみたいに増えてるな」
「やっぱりそれは仕方ないな」
 雪男は友人達にこう返した。
「わし等だとな」
「私達雪の妖怪だから」
 雪女も言った。
「凍らせない様にはしてるけれど」
「冷えているのはな」
「仕方ないわ、だから私達は平気でも」
 それでもというのだ。
「冬は辛いかもね」
「ああ、冷え過ぎてな」
「氷みたいだから」
「冬は勘弁だよ」
「どうしてもな」
「やっぱりそうだな、じゃあ冬はわし等だけで楽しむな」
 こう言うのだった。
「そうするな」
「どっちにしても私達が楽しくてやっていて」 
 雪女も言った。
「お店じゃないし」
「商売じゃなくて趣味だからな」
「それでいいわね」
「じゃあな」
「ええ、これからもね」
「わし等で蕎麦を作ってな」
「食べていきましょう」
「そうしましょう」
 二人で話してだった。
 彼等は蕎麦を作って食べていった、冷えた蕎麦は冬は他の誰も食べなかった。だが彼等ははそれは平気で食べていった、そうして店の蕎麦だけでなく自分達の蕎麦も楽しんでいった。


氷蕎麦   完


                 2023・1・14 
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