| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

IS 〈インフィニット・ストラトス〉 飛び立つ光

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

異変収束 予測される敵

永遠亭

魔理沙達は倒れた闇夜を、大急ぎで永遠亭へと運び込んだ。
闇夜の状態を見た永淋は少し慌てて冷仙と共に処置室に入って行った。魔理沙達は処置室の外で待っているが、紫や幽香に幽々子、更に闇夜と親交がある閻魔である四季映姫・ヤマザナドゥが休みだったらしく、死神の小野塚 小町を連れやって来た。後は、夜になってからスカーレット姉妹と雛もやって来た。

そして、漸く治療が終了したのか、扉が開いて入室が可能になると、皆に部屋に入って闇夜の様子を見た。闇夜はベットに横たわり、眠っている。

「良かった・・・」

魔理沙は、自分の攻撃で闇夜に何かあったら・・・と思っていたらしく一番安心している

「でも、如何してこうなったのかしら?闇夜がそんなへまをするとは思えないけど・・・」

幽々子が、闇夜の寝顔を見ながらそう呟いた。
確かに何故新たな意識が生まれたのか原因が解らない
すると永淋が、ベット近くの椅子に腰掛けたまま口を開いた。

「原因は・・・これよ」

永淋が手のひらを広げると、なにかの小さいチップのような物があった

「???これ何?お姉様?」
「さあ」

それを見たフランはレミリアに聞くが、レミリアが解る筈も無い

「これは闇夜君のPE『煉獄の闇』に付着していた物よ、にとりに解析してもらった結果
これがとんでもない物だと解ったわ」
「如何いう事なんだぜ?」

魔理沙は身を乗り出すように尋ねた

「これは、付着した機械を伝って、その機械を装着している人間に入り込んで相手の精神に攻撃を仕掛ける物なのよ」
「じゃあ、つまりそれが。今回、闇兄が可笑しくなった原因!!」

閃輝が大声を出して言うと、永淋も頭を縦に振った。閃輝や魔理沙、紫、幽香、幽々子は激しい怒りを表した。

「俺がもう一度外界に出て、外界を滅ぼしてやる!」
「待ちなさい」

閃輝は部屋を出て行こうとするが、それを映姫は止めた

「何故止めるんです!!?」
「罪があるのは外界そのものではなく、それを作った者でしょう」
「そうだよ、少しは冷静になりなよ。閃輝」

閃輝は、映姫と小町の言葉に冷静さを取り戻し、落ち着きを取り戻した

「・・・はい、すいませんでした・・・」
「解れば良いのです。ですがこのチップを作った者は幻想郷に危険を齎した
罪も無い人や妖怪を巻き込んだ罪は軽くは出来ません」

映姫は、閻魔らしく原因となった者の罪を数えている。それだけ重い事になるのかと

「でも、このチップはかなり外界では高度な物よ。外界じゃ早すぎる技術だわ」
「って事は、製作者は外界でトップの技術者っと言う事もなるな」

永淋の言葉にレミリアはそう言った。そしてそれを聞いた、紫、妖夢、小町は誰だか見当が付いた

「それって・・・明らかに・・・」
「だろうねぇ・・・」
「篠ノ之 束って事になるわね」

3人は、束がチップを作ったのではないかと睨んだ。
束は外界では、何歩先の技術を持っている為、第1候補に挙がるには間違いない。

「でも、その人間がやったって確証はないんでしょ?」

フランが首を傾けながら閃輝に尋ねた。閃輝も頭を縦に振った

「確かに確証はないが、俺も奴以外に考える事が出来ない」
「でも、問題はどうやって闇夜にこれを取り付けたか、よ」

幽香はチップを指差しながら言った。確かにそうだ人賢者の二つ名を持ち、優れた力と能力を持った闇夜にチップを付けたのか、それが一番の謎である。

「考えられるとしたら、臨海学校の時だと思うぜ。でもその時は、私もずっと傍に居たし」
「でも、あの篠ノ乃 束なら出来そうで恐いよね」
「うむ、そのチップに動力の追加装備でも付けて闇夜兄様に付けたのではないか?」

魔理沙と共に闇夜の傍に居た、シャルロットとラウラもそれぞれの意見を口にした
ラウラの意見が最もありそうだ

「ラウラちゃんの言う通り、このチップにはモーターの追加がされていたみたいで、それを動力源に闇夜君に接近して、『煉獄の闇』に付着した所でモーターをパージして、闇夜君の精神をじわじわと食い漁っていった。正直、こんな事をするなんて驚きだわ」

流石の永淋も驚きだった様だ。数多くの患者を診てきたが、人為的に精神に攻撃を仕掛けられた患者は初めてだったからだ。が、紫、幽香、幽々子は立ち上がって歩き出す。シャルロットとラウラは直感的に何かを感じ取ったのか、3人の前に立って進路を塞ぐ

「ど、何所に行く気なんですか!!?」
「「「そんなの決まってるわ、篠ノ之 束を潰しに行くのよ」」」

3人は完璧にシンクロし、同じ言葉を黒い笑みを浮かべて言った

「止めなさいよ。あんたらが潰すって言ったら外界の地形が変わりまくるわよ?」
「有りそうで恐い事言うなよ・・・霊夢」

霊夢の言った事は本当に有りそうで、冷や汗を欠く魔理沙

「「「私達が止まると思う?」」」
「お父さんに連絡して、止めて貰うわ。お父さんの能力があれば直ぐに来てくれるし
っていうか今来てくれないと不味そうね。お父さん~」

霊夢は、壁に向かってお父さんと言う。シャルロット達は何をやってるんだ?っと思うが
その時、霊夢の隣の空間が裂け始めて、そこから覇狼が顔を出した

「呼びましたか?霊夢ちゃん?」
「うん、実は・・・(少女説明中)・・・っというわけなのよ」
「なるほど、任せてください」

覇狼は霊夢から説明を聞き終わると、シャルロットとラウラが道を通らせない様にしている3人に向かった

「3人とも」
「「「何かしら?」」」
「・・・おやすみなさい」

覇狼は、一瞬で3人の背後に回りこんで、首を軽く叩いた。すると3人の身体から力が抜けていってゆっくりと座るように倒れて、眠り始めた。

「ふう・・・」

そして、3人は覇狼が空いているベットに寝かせた。すると霊夢が覇狼に抱きついた

「流石お父さん♪」
「ははは、それはどうも。ですが問題はこれからですね」

覇狼は若干目つきをきつくして、口を開いた。その表情はこの幻想郷で最も長い時間生きていて、無数の戦いの歴史を、身に刻んだからこそ出来るものなのだろう

「闇夜君は今に至っては、幻想郷のパワーバランスの一角を担える程の実力者になりつつある。それを攻撃してこの幻想郷に異変を齎した、篠ノ之 束・・・やはりあっさり返すべきでは
なかったのですかねぇ」
「そ、それどう言う事なんだ!?師匠!!?」

魔理沙は覇狼の予想にもしなかった言葉を聞いて驚いた。あっさり返すべきではなかった?如何言う事なんだ?魔理沙の頭の中は疑問でいっぱいになる。
それは他のメンバーも同じであった。みなの顔に覇狼は呆気を取られたような顔をする

「あら、可笑しいですね?紫には『貴方から話してもらえますか?』っと言っておいたのですが・・・」
「って、スキマ妖怪が私達に話すわけが無いだろう」

思わずレミリアが突っ込みを入れた。それを聞いた覇狼は苦笑した

「そうもそうでしたね。では話すとしましょうか・・・」

覇狼は椅子に座って語り始めた

「私が知っている、幻想郷にいた頃の篠ノ之 束を」
「「「「「「「「「「「「な、なんだって~!!!?」」」」」」」」」」」

私が彼女に、出会ったのは20年前後ほど前でしょうか。私が紫に頼まれた仕事、結界のチェックを藍さんと共にしていた時の事ですね

「それってただ単に押し付けられただけなのでは・・・」
「今思えばそうでしたね~」
「呑気だねぇ・・・」

続けますよ?結界の近くで一人の女の子を見つけたのです。その女の子こそ幼少時代の篠ノ之 束だったのです。どうやら、結界の僅かな綻びから幻想郷に来てしまったようでね
ですが、その綻びは塞いでしまった為、私の能力で戻してあげる期間まで私が面倒を見る事にしたのですよ。ですが彼女は、妖怪や魔法使い達の力を目の当たりにして
そのあまりの美しさと強さに虜にされてしまったのです。彼女は空を飛んで私の家に戻る時に私に言ってきました

『どうやったら私もあんな風になれるか教えろ!』

自分もやってみたかったんでしょうねぇ・・・道具に頼らないで空を飛んでみたかったんでしょうねぇ・・・話を戻しますが、彼女には霊力の欠片も感じる事が出来ませんでした
潜在する能力も感じられず、普通の人間と変わらない存在です。私は言いました

『無理ですよ、貴方には向いていませんよ』
『うるさい!さっさと教えろ!!』

っと、聞く耳持たずでした。しょうがないので修行を付けてあげたのですが・・・負けん気が強く、短気で私が取り込ませようとした精神修行などは一切受けなかったのです
魔法の術式は、よく聞いてくれましたがね。
ですが数ヶ月も過ぎて魔法や弾幕戦の才能は開花する事が無く、能力もまったく発現する事も無く、魔法使いなどには決して向いていませんでした。更に特定の人物以外に対して異常なまでに無頓着な性格、私に偶に優しい言葉をかける程度。能力よりもこの性格の方が危険だと私は考えました。私は彼女に真っ当な人生を歩んでほしいという願いを込めて外界の家族の元へ、彼女が幻想郷に迷い込んだ日に帰してあげました。
それが私が知っている篠ノ之 束についてです

覇狼の話を聞いたメンバーは、驚きと呆れに包まれていた

「そいつはあほなのか・・・仮にも自分は教わる側であるだろうに」
「人の話は最後まで良く聞いて行動しなさいってお姉様に教わったよ私。その人ってじこちゅーしんてきなひとなんだね」

レミリアは単純に呆れていて、フランは束は可笑しい人だと認識したそうだ

「狂ってわね・・・昔も今も」
「馬鹿ね、完全に」

雛と咲夜は完全に、束を馬鹿にしている

「・・・これはなんと言いますか・・・」
「流石の四季様でも困りますか」

映姫はあまりの事に呆れていて、次の言葉が中々でない

「お父さんに、そんな事があったのね・・・ってか本当に狂ってるわね」
「じゃあ、あいつは私たちの姉弟子に当たるのか?」

霊夢は他のメンバーと同じように呆れているが、魔理沙は覇狼に知らない弟子がいた事とにやや驚いている

「ですが、少々心配な事があります」

その言葉に、全員が耳を傾けた。

「それって、何なんですか?」

皆の疑問を代表するように閃輝が、それを尋ねた

「彼女は性格は異常なものの、頭脳はかなりいい物です。まあ永琳程ではありませんがね。その頭脳を使って此処へ、幻想郷へ来る可能性は否定出来ませんね」

その言葉に、閃輝をはじめとしたメンバーは驚いた。外界の人間が博麗大結界を破って幻想郷に来る?博麗大結界の源は目の前にいる覇狼の神力だ、それを突破してくるとは思えない。
それを一番信じられないのは霊夢だった

「う、嘘でしょ!?お父さんの力を源としてる博麗大結界が破られるわけ無いでしょ!!?
綻ぶ事はあるとしても破られるなんて!!」
「残念ながら突破する方法は幾つかあります。まあ実際には一つに等しいですが」
「それって一体何なんだい?」

小町が尋ねた

「まず一つ目、博麗大結界の源である私を葬る事。ですが、私は神ですので死ぬ事は出来ない。そして、彼女が取るであろう手は此方でしょう
閃輝君、思い出したくないでしょうが確か織斑 千冬は『暮桜』というISに乗っていたでしょう?」
「ええ、忌々しい女は確かに『暮桜』というISに乗っていました」

閃輝は過去の記憶を少し思い出しただけで、手を思いっきり握り締めて歯を食いしばっている。そんな閃輝に雛と咲夜が寄り添って宥める
閃輝は二人によって落ち着いたのか手を開いて、口を食い縛るのを止めた。

「・・・すいません・・・」
「いえ、私もすいませんでした。そして私が知っている情報が正しければ、『暮桜』の単一能力、零落百夜はあらゆるエネルギーを断つ事が可能です。
篠ノ之 束の技術力であれば、本来は目に見えないであろう博麗大結界を感知し、余程の手練が使えば結界の破壊は無理ですが一時的な切れ目は作る事は出来るでしょう」

それを聞いた、実際に束の技術力を見ているシャルロット、ラウラ、閃輝、魔理沙は頷く

「なんだか本当にやって来そうで恐いよ。なんか沢山の無人機とか引き連れてきて」
「うむ。戦いで勝敗を左右するのは、勢力の多さ、部隊同士の連携、それぞれの技能、武器や武具などの質だ」
「あ~・・・マジで頭痛くなってきた・・・幻想郷に乗り込んでくるメンバーは、普通に考えて・・・篠ノ之 束、織斑 千冬、篠ノ之 箒って所かな」
「だろうな。もし増えるとしたら、あの中国の代表候補生ぐらいだろうな。イギリスのセシリアって奴は、まだまともな奴だったみたいだし」

シャルロットは本当に起きそうな事を言って、ラウラはシャルロットの言葉を肯定した。閃輝は天災の馬鹿さ加減に頭痛を起してながらメンバーを絞った
魔理沙は閃輝の絞ったメンバーに、一人だけ追加される可能性があると言った。

「あややややや、闇夜さんは大丈夫ですか?」

その時、部屋に一人の少女が入ってきた。その声を聞いた閃輝は、身を引いた

「ゲッ!?この声は・・・」

健康的できれいな黒髪を、ショートヘアーにしていて
白の半袖シャツに、黒いリボン。綺麗な赤い瞳がとても可愛らしい。
フリル付きの黒スカートを着用していて、赤い天狗下駄も特徴的。そして頭には、ちょこんっと可愛らしく赤い山伏風の帽子が乗っている
彼女は鴉天狗の妖怪。清く、正しく、美しくのフレーズの幻想郷ではお馴染と化している 射命丸 文である。

「文?何しに来たのよ?」

霊夢が文に疑問を投げかける、文は笑いながら霊夢の方を向いた

「嫌だな~霊夢さん。そんなの決まってるじゃないですか?私のお兄様になる闇夜さんの事を聞いて、新聞の作成を急いで終わらせて駆けつけたんですよ」
「闇夜兄様が貴様の兄様になるわけが無いだろうが。鴉天狗」

ラウラは、手に真っ黒いボールのような物を出現させていて怒りの表情をして、文を睨みつけていた。文はラウラの怒りの篭った視線を受けて少し苦笑いをしたがまったく余裕そうだ。

「あやや、ラウラさん。私は間違った事はいっていませんよ?」
「貴様の戯言が正解であった事は無いだろう」

ラウラは覇気を出しながら文を威嚇する。文はラウラの覇気を一点に受けてる筈だが、顔色一つ変えない。伊達に1000年という年月を生きていないという事だ

「はぁ・・・あの子も諦めが悪いわね、咲夜」
「ええ、悩みの種よ」

雛と咲夜は、文が来てから顔を曇らせて、溜息をついている。何故文が、闇夜の事をお兄様と呼んでいるのかというと、文は閃輝を恋愛対象として見ているからだ
そんな文を閃輝が、苦手としている理由はあまりにもしつこいアタック。ストレートすぎる文の行動に閃輝は、文に対して苦手意識を抱くようになってしまったのだ。
文は閃輝を自分の物にしたいという独占欲が、咲夜と雛より強く、その強さは二人も呆れるレベルのものである。

文は自分を見て引いている閃輝を見て、少しにこやかに笑った

「あやや、そんなに避けなくても。ねぇ?私の旦那さん?」
「「誰の旦那さんだって?」」

文の言葉に強く反応したのは、咲夜と雛だった。咲夜は片手に持てるだけのナイフを持ち、雛は殺気を丸出しにして文に向けている
文はあまりの殺気に、苦笑いを浮かべる

「やっぱりガードが硬いわね~・・・少しは緩めてくれても・・・」
「「ナニヲイッテルノカシラ?ツギニオナジヨウナコトヲイッタラ、ヤキトリニスルワヨ?」」
「ありゃ~・・・でも閃輝君は私の旦那様絶対するからね。では!!」

そう言って、閃輝の頭を軽く撫でて風のごとく去っていった。文がいなくなると閃輝は肩から力を抜いて、息を吐いた

「はぁ・・・やっぱ俺、文苦手なタイプだわ・・・」
「まさか、魔法戦士と名高い閃輝がそこまで身を引くなんて驚きだね」

小町は余りの閃輝の、引き方に若干驚いているようだ。幻想郷では、閃輝の知名度は高い。
当初は人賢者、霧雨 闇夜、白黒の魔法使い、霧雨 魔理沙の弟してだったが能力を発現し、実力を付けてからは異変の解決にも参加しており、解決にも導いた事から高い知名度を得る事となった。
本人は余りこの事を気にしていないが

『人里の掲示板に依頼が増えて、良い感じ』と言っている

「私はこれから、博麗大結界の調整に入ります。出来れば外から妙な思いを持った侵入者など入って欲しくないのでね」
「私も手伝うわ、お父さん」

覇狼は霊夢を連れて、空間の裂け目を再び開いてその中に入っていった。その場にいた全員が唖然としていた

「霊夢が・・・自分から率先的に手伝いに向かった?」
「小町が自分から積極的に仕事をする事並に考えられない事ね」
「ちょっと!あたいはどんな目で見られてるんだい?」
「「「「「サボリに定評がある死神」」」」」

この日、小町は軽く傷ついたのか少しはまともに仕事をするようになり、映姫は喜んだそうだ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧