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仮面ライダーBLACK RX〜ネオゴルゴムの陰謀〜

作者:紡ぐ風
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第十三話『血液泥棒は誰だ!』

 「麻木、ヤマビル怪人が集めた水耕ゴルゴメスの実の維持に必要な血液が劣等なものばかりで使えないことがわかった。そこで、お前の力が必要だ。」
 ソフィルはヤブ蚊怪人の吸血能力の使用を麻木に指示しようとする。
 「それなら、わざわざ私の力を使うほどでもありません。より効率的且つ、怪しまれない方法があります。」
 「何だ、言ってみろ。」
 麻木からの返答にエピメルは苛立つ。
 「なに、私主催の献血イベントを開けばいいだけの話です。人間は愚かな生き物ですから、自分より偉い立場にいる人間は絶対に安心できると錯覚する。そして、より健康的な若い人間共は自分の欲しい物があればその危険性なんて考えることなく飛びつく。イベントの参加記念品に、彼女達を使っても構いませんか?」
 麻木は大怪人達に提案をする。
 「作戦遂行が可能なら、構わないわ。」
 麻木の提案から少しの間をおき、リシュナルが代表して許可を出す。
 「そうと決まれば、早速作戦の準備を始めましょう。」
 麻木はすぐに行動に移った。

 それから二日後、報道系バラエティー番組の1コーナーで、ある内容が放送された。
 『最後にお知らせです。今週土曜日と日曜日にかけて国際医療連盟主催の献血キャンペーンを実施いたします。当日は日本で唯一の役員でもある麻木昭三さんも出席し、スピーチを行う予定となっています。また、当日会場に来られた方にはアイドルグループ“PRE-T”のブロマイドを会場でプレゼントします。皆様のご来場、お待ちしております。』
 麻木の作戦が自然な形で放送される。
 「このキャンペーン、色んなところでチラシが配られているけど、テレビでも告知するのか。」
 霞のジョーがテレビを観ながら言う。
 「俺も参加できるなら参加したいけど、改造人間の血液は提供できないからな。」
 光太郎の肉体に流れている血液は大神官ダロムによる遺伝子改造光線の影響で人間の血液と異なるものになっている。当然、輸血用の血液として使うことなどできないのだ。
 「俺だって、クライシスに改造されているんだから参加できないよ。改造人間って、こういうときに貢献できないから辛いよな。」
 「ああ。それでも多くの人が参加することで、救われる命が増えるんだ。キャンペーンの成功を祈ろう。」
 ネオゴルゴムの作戦を知らない光太郎は、キャンペーンの成功を期待した。

 月曜日となり、ある事件が飛び込んできた。
 『本日のニュースです。先日行われた国際医療連盟主催の献血キャンペーンにおいて、集めた血液が何者かによって盗まれるという事件が発生しました。』
 「なんだと!?」
 ニュースを見て光太郎は驚いた。
 「血液が大量に盗まれたって、ネオゴルゴムが関係しているんじゃないのか?確か前に、登山客の血液を狙った事件を起こしていたけど、また血液が必要になったからこのキャンペーンを狙ったんじゃないのか?」
 霞のジョーは事件について考察する。
 「確かあの時はゴルゴメスの実の成長に必要な血液が目的だった。科学者なら栽培用の拠点があの1ヶ所だけとは限らない。」
 光太郎はヤマビル怪人との戦闘時のことを思い出す。そこに、ニュースは新たな情報を発信した。
 『また、今回の事件を把握した国際医療連盟は、今週の土曜日と日曜日の2日感で同様のキャンペーンを再度実施することを決定いたしました。』
 「兄貴、今回の事件、なんか怪しくないか?」
 「ああ。盗まれたばかりだというのに、また開催すればまた盗んでくれと言っているようなものだ。」
 ニュースの内容を聞き、光太郎達は訝しむ。
 「兄貴、そういえばネオゴルゴムには血液を吸う怪人がもう一体いたよな。」
 「ヤブカ怪人のことか。だが、もしヤブカ怪人の仕業なら、わざわざ包装された血液を盗む必要がないだろう。」
 「そうか?個別包装されていれば、怪人が吸い取れる以上の量の血液が簡単に手に入る。」
 「そうか。霞のジョー、今度のキャンペーンのときは会場に行こう。」
 光太郎達はネオゴルゴムの暗躍を暴くため、作戦を立てるのだった。

 土曜日となり、光太郎と霞のジョーは献血センターの周辺を見張っていた。
 「あとはどのタイミングでヤブカ怪人が現れるか…」
 光太郎は考える。
 「兄貴、中も見ておくほうがいいんじゃないか?」
 霞のジョーの提案により、2人は献血センターの内部に入る。献血センターの受付は人混みで混雑している。そんな中で係員と目が合う。
 (あれは南光太郎とその仲間。早く麻木に報告をしなければ。)
 係員の正体は人間に化けたリシュナルであり、リシュナルは麻木に連絡をした。
 「今日もこれだけの人が来てくれているのか。」
 連絡を受けた麻木はすぐに現れる。そして、すぐに光太郎に近づく。
 「おや、貴方は南光太郎さんですね。お会い出来て光栄です。」
 麻木は物腰柔らかく光太郎に話しかける。
 「俺ってそんなに有名人なんですか?」
 「ここでは話しづらいこともありますでしょう。こちらへ来ていただけますか?」
 麻木の案内を受け、光太郎達は個室へ入る。
 「貴方の、いや、改造人間の話は常に医療連盟での議論の内容になりましてね。本郷猛を始めとした11ライダー、更に超科学によって生体改造を受けた3人のライダー。生物学上人間と同じように扱うべきかは世界的に注目を浴びるのですよ。無論、私は人間と同じように扱うべきだと話していますが。」
 麻木は身振り手振りを混ぜながら話す。
 「本当ですか?」
 光太郎は麻木の事を探るように言う。
 「ええ。もしよろしければ、お二人も献血をなされますか?この部屋にも機材はありますので、すぐにでもできますが。」
 麻木は光太郎達に献血を薦める。
 「俺達の血液でも大丈夫なら。」
 光太郎は承諾する。
 「それでは、当献血センターでは参加してくださる方には不安を安らげるために目隠しをしていただいていますので、こちらをおつけください。」
 麻木は黒い目隠しを渡し、光太郎達はそれを着ける。
 「それでは、始めますね。まずは南様からいきますよ。」
 麻木はヤブカ怪人の姿に戻る。
 「正体を見せたな。」
 光太郎の言葉にヤブカ怪人はビクリと驚く。
 「俺の目はこんな目隠しで何も見えなくなるほど弱くない。仮面ライダーの視力を侮ったな!」
 光太郎は目隠しを外し、ヤブカ怪人と向かい合う。
 「グブブ…」
 ヤブカ怪人は右腕の針で光太郎を突き刺そうとするが、光太郎はその腕を掴みそのまま個室から出て受付まで引っ張りだす。
 「キャー!」
 「逃げろ!」
 受け付けに来ていた人々は一斉に逃げ出す。
 「変…身!」
 光太郎の変身の掛け声とともに体組織を変化させる変身ベルト、サンライザーが出現し、キングストーンと太陽、2つのハイブリットエネルギーが全身を駆け巡り、南光太郎は、仮面ライダーBLACK RXへと変身するのだ。
 「俺は太陽の子!仮面ライダーBLACK!RX!」
 RXが名乗ると4体のクモ怪人達がRX目掛けて飛び掛るが、そのうち1体は霞のジョーによって押さえつけられる。
 「クモ怪人は俺に任せろ!兄貴はヤブカ怪人を!」
 「頼むぞ!」
 RXはヤブカ怪人と屋外へ出て交戦する。
 「お前達の企みはこの俺が食い止めてみせる!」
 RXはヤブカ怪人の針による刺突攻撃を避けながら言う。
 「グブブブ!」
 ヤブカ怪人は攻撃が当たらずに苛立ちを見せる。するとガシャン、ガシャンという金属音とともにクリムゾンエクリプスが現れる。
 「手こずっているようだな。」
 クリムゾンエクリプスはサタンサーベルを手に取る。
 「現れたな、クリムゾンエクリプス!」
 RXはロボライダーに変身する。
 「ボルティックシューター!」
 ロボライダーはボルティックシューターから光弾を連射するが、クリムゾンエクリプスはサタンサーベルを使い光弾をすべて弾く。
 「クリムゾンビーム!」
 クリムゾンエクリプスは雷のような深紅のエネルギー光線をロボライダーに放ちダメージを与え、装甲から火花が散る。
 「クッ!」
 ロボライダーは怯みながらもすぐに立ち上がり、クリムゾンエクリプスに近づこうとするが、ヤブカ怪人が横から針を突き刺そうとするのに気づき、その腕を掴んでクリムゾンエクリプスめがけて投げ飛ばす。
 「ぐぅ!」
 「グブッ!」
 2体が怯んだ瞬間にロボライダーは再びRXに戻り、ジャンプする。
 「RXキック!」
 RXは必殺のキックを放つ。
 「グブブ!」
 それを見たヤブカ怪人は咄嗟にクリムゾンエクリプスを突き飛ばし、RXキックの直撃を受ける。
 「グブー!」
 ヤブカ怪人はRXキックの威力に耐えることができず爆散し蒸発する。
 「ヤブカ怪人が!おのれ!」
 クリムゾンエクリプスはすぐに立ち上がり右拳にエネルギーを溜めるが、エネルギーが身体から漏れ出し火花が散る。
 「クリムゾンエクリプス、貴方様はまだエネルギーが安定していないのですからお身体を大事にしてくだい。」
 蹌踉めくクリムゾンエクリプスの傍にリシュナルが現れ、その身体を支える。
 「すまない、リシュナル。」
 「ここは撤退しましょう。」
 リシュナルは禍々しい深緑の突風を発生させる。
 「旧時代の世紀王よ、お前との決着は必ずつけてみせる。」
 RXは突風に近づこうとするが、突風は近づく者を切り裂くように鋭く、RXは撤退を許してしまう。
 「クリムゾンエクリプス、信彦のキングストーンはお前から必ず取り返してみせる!」
 RXは胸に誓いを秘めて変身を解除する。

 後日、麻木の失踪はニュースの一面を飾る。
 「まさか、あれだけ偉い人がネオゴルゴムの怪人だなんて、誰も思わないよな。」
 「ああ。それがネオゴルゴムの恐ろしいところなんだ。」
 ニュースを観て光太郎達はネオゴルゴムの脅威を改めて実感したのだった。
 続く

 次回予告
 人気アーティストPRE-T。爆発的人気の裏にはネオゴルゴムの影があった。果たして、ネオゴルゴムの策略とは…『悪魔の囁き』ぶっちぎるぜ! 
 

 
後書き
 怪人図鑑
 ヤブカ怪人
 身長:172cm
 体重:94kg
 能力:吸血、毒素の注入、右腕の針を利用した刺突攻撃
 ネオゴルゴムのメンバーでもある国際医療連盟日本支部役員の麻木昭三が改造手術を受けて再誕した、藪蚊の性質を持つネオゴルゴム怪人。右腕の針は吸血と同時に毒素を注入できる他、レイピアのように刺突攻撃用の鋭利な刃としても利用できる。 
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